
コラム
遺産分割協議を自分で進めるのはNG?
2022年6月1日
遺産分割協議について
相続人の間で争いがなく、穏やかに遺産分割協議を進められるのなら、わざわざ弁護士を入れなくても、自分たちだけで遺産分割を終わらせることは可能です。
相続人の全員が自らの取り分に納得し、実印を持ち寄って遺産分割協議書を作成できれるのであれば、何も問題になることはありません。
相続人の全員で、銀行に提出する書類等を必要に応じて作成する、という方法でも可能です。
しかし、たとえば遺産の中に不動産があると、その不動産を相続することになる相続人はあまり価値のない不動産だと言い、逆に他の相続人はとても価値のある不動産だと言い、それで協議がまとまらない、ということになりかねません。
また、せっかく作った遺産分割協議書でも、条項に不備があって実際の遺産分けに使えない場合があります。
新たな遺産が見つかったときに、トラブルを防止するための条項がない場合もあります。
法律的な知識がなかったばっかりに、よけいな紛争を招いてしまう場面が少なくありません。
このような場合を考えると、少なくとも最初から弁護士に相談をしたほうが、トラブルのない遺産分割を実現できると言えます。
もちろん、弁護士が代理人として登場すると、かえって身構える相続人がいて、話合いがうまく進まない場合もあります。
そのあたりは弁護士であれば見きわめができますので、必要に応じて弁護士に相談しながら、自分自身で話合いを進めていくことをお勧めする場合もあります。
遺産分割協議を弁護士に依頼するメリット
遺産分割協議は、相続人の全員が参加しなければ有効な合意ができません。
配偶者と長男だけが相続人であるような場合ならいいのですが、疎遠になっていた遠方の相続人と話合いをしなければならない場合もあり得ます。
このような場合、つき合いがないため信頼関係もなく、疑心暗鬼からお互いが強い言葉で主張しあうなど、ストレスフルな話合いになってしまいがちです。
ストレスを避けようとすると、相手の強引な主張を飲んでしまったり、自分の言いたいことを我慢したりすることになります。
そうなると、話合いが不利に進んでしまうことになりかねません。
このような場合、本人に代わって弁護士に話合いをしてもらえれば、ストレスはかなりの部分が軽減されます。
本人は、相手方と直接話をする必要がなく、弁護士の報告を聞いて意見を弁護士に言えばいいのです。
本人同士で話合いをするとスムーズに進まない原因は、結論を出すために何を話合えばいいのかを、きちんと理解していないところにあると言えます。
被相続人の生前のできごとに関する言い合いに時間ばかり消費して、実のある話合いが進まない光景はよく見るところです。
弁護士が話合いに介入することで、法律というルールに従って話合いの焦点を絞ることができます。
焦点が絞られることで、本人も冷静な対応ができるようになります。
一人の相続人に弁護士がつくと、他の相続人も弁護士を頼むようになり、弁護士同士でさらに迅速な解決を図ることができるようになるというメリットも期待できます。
相続争いになると、どうしても感情が先走りがちです。
しかし、そうなると結論は遠のき、大事なところで損をしてしまうことになりかねません。
弁護士に依頼すると、法律というルールに従いながら最も有利になるような方法を見つけることができますし、相手と強い立場で交渉できることにもなります。
遺産分割協議は、合意ができることはもちろんですが、遺産分けを実行できなければ意味がありません。
また、新たな遺産が見つかった場合など、将来トラブルが再燃しないようにしておく必要もあります。
弁護士であれば、このような点に配慮して遺産分割協議書を作成することができます。
さいごに
相続人は、赤の他人同士というわけではありません。今後の関係を考慮する必要があります。
多額の遺産を相続するメリットと、協議が長引くことのデメリットとを、冷静に考えなければなりません。
適切な落としどころを探ることは、法律的な知識のある弁護士に依頼してこそ可能になります。
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