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拾井央雄

知的財産や技術系法務に強い理系出身の法律のプロ

拾井央雄(ひろいおうゆう) / 弁護士

京都北山特許法律事務所

コラム

【離婚】流れ、戸籍、子どものこと、法律に沿って解説します!

2021年4月30日 公開 / 2021年5月16日更新

テーマ:身近な法律

コラムカテゴリ:法律関連

離婚の合意ができるとき

~双方の合意~

原則として、離婚は夫婦の合意で行います。
当事者が合意して結婚するのと同じです。

当事者が合意できるのであれば、離婚するのに理由はいりません。
「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」(民法第763条)ということです。

~親権者の決定~

婚姻中、「成年に達しない子は、父母の親権に服する 」(民法第818条第1項)ことになっています。
そこで、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない」(民法第819条第1項)ということになります。

未成年の子どもがいる場合は、離婚後どちらがその親権者となるのかを決める必要があります。
この合意ができなければ、離婚に合意していても、離婚はできません。

なお、離婚する際には双方の話し合いで親権者を決めることができますが、離婚してから親権者を変更するには、家庭裁判所の関与が必要になります。
《参考》:【親子】離婚した元妻との間の子の親権を取り戻したい。

~離婚の届出~

離婚は、離婚届を役所に提出したときに効力が発生します(民法第764条、民法第739条第1項)。
最低限、離婚することと、どちらが未成年の子の親権者になるかを合意できれば、そのことを離婚届に書いて役所に提出し、完了です。

京都市の手続きについては、こちらの京都市のページをご参照ください。

離婚の合意ができないとき

~調停の申立て~

離婚の合意ができないときはどうするかというと、「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる 」という民法第770条の規定に従って、離婚訴訟を提起することができます。

この離婚訴訟は、「人事に関する訴訟事件」(家事事件手続法第244条)にあたります。
その場合、「訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない」とされています(家事事件手続法第257条)。
そこで離婚訴訟を提起する前に、まず離婚調停を申立てることになります。

離婚調停の申立てをする裁判所は、「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」または「当事者が合意で定める家庭裁判所」(家事事件手続法第245条第1項)です。
こちらにとって便利な場所で相手方と合意することは困難でしょうから、結局、相手方の住所地にある家庭裁判所に申立てることになります。

調停は、二人の調停委員と一人の裁判官(または調停官)で構成される調停委員会が行います(家事事件手続法第247条第1項、第248条第1項)。
通常は二人の調停委員の前で15分くらい言い分を述べて、相手方と交代します。
相手方からも調停委員が言い分を聞いて、話し合いを進めていくことになります。

家庭裁判所では、双方が顔を合わせないように配慮がされています。
現在、京都家庭裁判所での1回の調停はだいたい1時間程度が目安となっていて、1~2か月くらい先に次の調停の日が決められます。

親権について対立が深いような場合は、調査官が調停に立ち会ったり、実際に子どもと面談して事実調査を行ったりします。
子どもがある程度の年齢に達している場合は、子どもの意見が尊重されます。

ここで話し合いがつけば、合意した内容を裁判所が調停調書にします(家事事件手続法第268条第1項)。
これは裁判所が作成する公的な文書で、判決と同じ効力があります(同項)。

調停調書の謄本が後日裁判所から送られてきますので、調停成立から10日以内に、これを持って役所へ行き、離婚届を提出します(戸籍法第77条第1項、第63条第1項)。

~訴訟の提起~

調停でも合意ができなかったときは、あらためて離婚訴訟を起こすことになります(人事訴訟法第2条)。
調停が不成立となってから2週間以内に離婚訴訟を起こしたときは、調停申立ての時に訴えの提起があったものとみなされます(家事事件手続法第272条第3項)。

訴訟を提起する裁判所は,「当事者が普通裁判籍を有する地」を管轄する家庭裁判所とされていますので,必ずしも離婚調停のように相手方の住所地で起こす必要はありません(人事訴訟法第4条第1項)。
ただし,それが離婚調停を取り扱った裁判所でない場合,離婚調停を行った裁判所で審理されることになる場合もあります(人事訴訟法第6条)。

裁判所が離婚を認めるのは、法律で定められた離婚理由があるときに限られます(民法第770条第1項各号)。
一般的には、不貞行為、暴力、長年の別居などが理由になる場合が多いです。

もちろん協議離婚や調停離婚ではこのような離婚理由は必ずしも必要ではありません。
しかし法定の離婚理由がない場合、相手方が離婚に応じてくれなければ、条件面での譲歩を余儀なくされます。

ですから、どうしても離婚したい場合は、不貞行為や暴力があったことの証拠を確実に手に入れておくと、心強い味方になってくれるでしょう。

離婚後の戸籍

~婚姻前の氏に戻る~

結婚するときに姓を変えた場合、離婚すると原則として以前の姓に戻ります(民法第767条第1項、第771条)。
そしてその場合、原則として結婚する前の戸籍に戻ります(戸籍法第19条)。

しかし、戸籍は、「夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する」(戸籍法第6条)ことになっています。
つまり、3世代にわたる戸籍は作れないということです。

ですから、「婚姻によって氏を改めた」者が親権者となり、子どもを自分の戸籍に入れたいのであれば、離婚届には「新しい戸籍を作る」のところにチェックを入れておくことになります。

もし離婚後も氏を変えたくないのであれば、婚氏続称届を提出することにより、婚姻時の氏を称呼上の氏とすることができます(民法第767条第2項)。

離婚後、子どもの氏は自動的には変わりません。
また、「婚姻によって氏を改めた」者が婚氏続称届を出したとしても、子どもとは民法上は別の氏ということになります。
たまたま姓が同じ田中さん、みたいなことですね。

ですから、「婚姻によって氏を改めた」者が親権者となった場合、このままでは子どもを自分の戸籍に入れることができません(戸籍法第6条)。

~子どもの入籍~

そこで、子どもについて、まず家庭裁判所から氏の変更の許可を得ます(民法第791条)。
その後、役所に入籍届を提出することになります(戸籍法第98条)。

子どもが15歳未満であれば親権者が法定代理人として行うことができます(民法第791条第3項)。
15歳以上の子どもは自分自身の意思で行うことになっていますので、親が子どもの意思に反して入籍させることはできません。

子どもを自分の戸籍に入れたいのであれば、離婚届には「新しい戸籍を作る」のところにチェックを入れておく必要があることは、すでに説明しました。

この手続きで氏を変更した未成年の子は、成人してから1年以内に役所へ届け出ることによって、変更前の氏に戻ることができます(民法第791条第4項)。

離婚するときに決めておくこと

~養育費・面会交流~

誰が子どもを育てていくか、子どもを育てるための費用の分担をどうするか、子どもと同居しない親が今後子どもとどのように関わっていくか、は重要です。

これらをどうやって決めるかですが、法律上、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。」(民法第766条第1項)ことになっています。

つまり、子の監護者、面会交流、養育費なども話し合って決めなさいということです。
その場合、「子の利益を最も優先して考慮しなければな」りません(民法第766条第1項)。

子の監護は親権に含まれますから、特別な事情がない限り、親権者が監護者となることがほとんどです。

養育費は、双方の収入に応じて決めるのが通常です。
どのように決めるのかについては、家庭裁判所が算定表を公表していますので、これが参考になります。
収入額の認定や、特別に必要となる費用の有無などで争いになることがあります。

~財産分与~

結婚している間に作った財産については、「婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。」(民法第762条第1項)とされています。
いわゆる夫婦別産制です。

したがって、結婚してから買った夫名義のマイホームは夫の所有財産ということになりますし、妻名義の預金は妻の財産ということになります。
どちらの名義か分からない物だけが共有財産になります(同第2項)。

しかし、一方だけが収入を得ているような場合、財産がその一方に偏ってしまいます。
他方も婚姻中は協力しあって財産を形成してきたのに、そのまま離婚したのでは不公平です。

そこで、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」(民法第768条)ことになっています。
これが財産分与です。

相手方に対してどれだけの分与を請求することができるかは、財産形成への貢献度によります。
通常は夫婦が互いに協力して財産を形成していると考えられますので、基本的に折半することがほとんどです。

不動産の評価額や共有名義となっている場合の処理方法、相手方が預貯金を隠しているのではないか、などという形で争いになることが多いようです。

養育費などの話し合いがうまくいかないとき

~調停の申立て~

これらの話し合いがうまくいかないときは、家庭裁判所が審判によって決めることになります(民法第766条第2項、第768条第2項、家事事件手続法第39条)。

しかし、審判では調停でのような柔軟な解決ができません。
養育費、面会交流、財産分与などは調停が行える事件ですので、いきなり審判を申立てると、調停に付されることがほとんどです(家事事件手続法第274条第1項)。

したがって、通常は調停の申立てから始めます。

~審判への移行~

調停でも話し合いがつかず、調停不成立となれば、調停を申し立てたときに審判の申立てがあったとみなされ、自動的に審判手続きに移行します(家事事件手続法第272条第4項)。

ただし、財産分与の請求については、離婚から2年が経過すると、裁判所に審判を申立てることができなくなります(民法第768条第2項但書)。

裁判所に強制されないとなると、財産分与したくないと考える相手方は話合いにも応じなくなるのが通常です。
この点は要注意です。

~離婚調停に付随した調停の申立て~

婚姻中に、離婚とともにこれらのことを話し合う場合は(通常はこのような場合がほとんどです。)、離婚調停を申立てるのに付随してこれらの申立ても行い、まとめて話し合いをすることができます。

付随して申立てをした場合、離婚の話し合いがつかずに調停不成立となっても、たとえば面会交流について個別に切り離して審判に移行することはありません。
離婚訴訟を提起する際に、養育費、面会交流、財産分与について、離婚と併せて請求することができます。

その場合、裁判所は、離婚を認める判決において何らかの判断をすることになります(人事訴訟法第32条第1項)。
反対に、離婚を認めない判決の場合は、面会交流について何も決められません。

離婚が決着するまでの生活費

~婚姻費用の分担請求~

「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」ことになっています(民法760条)。
夫婦関係が破たんしていて別居していたとしても、それぞれの収入に応じて子どもを含む生活を維持していかなければなりません。
これを婚姻費用の分担といいます。

分担すべき婚姻費用が支払われていない場合は、離婚が成立するまで相手方に請求することができます。
もっとも、不倫相手を作って家を出て行ったなどの責任がある方から婚姻費用の分担を請求することは、権利の濫用として認められない場合があります。

~調停・審判~

婚姻費用の分担について話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に審判を求めることができます(家事事件手続法第39条)。
これも家庭に関する事件として調停が行えますので、いきなり審判を申立てると、調停に付されることがほとんどです(家事事件手続法第274条第1項)。
したがって、通常は調停から始めます。

調停でも話し合いがつかず、調停不成立となれば、調停を申し立てたときに審判の申立てがあったとみなされ、自動的に審判手続きに移行します(家事事件手続法第272条第4項)。

双方の収入と請求できる婚姻費用のめやすについては、家庭裁判所が算定表を公表していますので、参考になります。
婚姻費用には子どもの養育費相当分だけでなく、相手方の生活費も含まれますので、そこそこの金額になります。

収入の多い夫側からは、「子どもを連れて勝手に家を出て行ったのに盗人に追い銭ではないか」などと不満がでるところです。
離婚すれば子どもの養育費分だけでよくなりますので、婚姻費用の分担を請求することは、離婚へのプレッシャーになることもあります。

慰謝料

離婚を考えるのは何か問題が発生しているからで、その問題によって苦痛を感じていれば、慰謝料を請求したくなるというのは当然のことと言えます。

この慰謝料は、民法の不法行為についての規定に基づいて請求できることになります(民法第709条、第710条)。
交通事故の場合は自動車の衝突が原因になるのに対して、離婚の場合は不貞行為や暴力、あるいはそのことによって余儀なくされた離婚というのが原因になるということです。

夫または妻に対して慰謝料を請求する場合には、「家庭に関する事件」として家庭裁判所に調停を申し立てることができますし,離婚調停に付随して慰謝料請求の申立をすることもできます(家事事件手続法第244条)。
離婚訴訟を提起するときは、これと一緒に家庭裁判所に慰謝料請求をすることができます(人事訴訟法第17条第1項)。

離婚について合意ができても慰謝料額の合意ができないという場合、とりあえず離婚だけして、慰謝料については離婚後に請求することも可能です。
その場合、家庭裁判所に調停を申し立てることもできますし、地方裁判所に訴訟を提起することもできます。

相談・顧問|京都の弁護士 拾井央雄 075-241-2588

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京都・烏丸二条/京都弁護士会所属
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この記事を書いたプロ

拾井央雄

知的財産や技術系法務に強い理系出身の法律のプロ

拾井央雄(京都北山特許法律事務所)

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