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拾井央雄

知的財産や技術系法務に強い理系出身の法律のプロ

拾井央雄(ひろいおうゆう) / 弁護士

京都北山特許法律事務所

コラム

【自己破産】誤解だらけ?手続きの流れ、メリット、デメリットを解説!

2021年4月28日 公開 / 2021年5月17日更新

テーマ:身近な法律

コラムカテゴリ:法律関連

「自己破産」とはどういうこと?

まず、債務者の財産を清算する手続きのことを、破産手続といいます(破産法第2条第1項)。
もう少しかみくだいて言うと、借金の返済ができなくなった債務者の財産を金銭化して、これを債権者に分け与える手続き、ということになります。

破産と言うと身ぐるみ剥がれて債権者に持っていかれるというようなイメージもありますが、債務者の経済生活の再生の機会を確保することも、破産手続の重要な目的の一つになっています(同法第1条)。
ですから、必ずしも「身ぐるみ剥がれる」というわけではありません。

次に、自己破産の「自己」という意味ですが、破産の申し立ては、債務者からだけでなく債権者からもできることになっています(同法第18条第1項)。
そこで、債務者から自分自身の破産を申し立てる場合を「自己破産」と呼んでいるのです。

破産手続開始の申立て

~受任通知~

実際の手続きがどのように進んでいくか、弁護士に依頼したところから説明しましょう。

弁護士が自己破産の依頼を受けると、各債権者に受任通知を送ります。
受任通知には、今後の窓口は弁護士であることを記載します。

弁護士からの受任通知を受け取ると、貸金業者や債権回収会社は、債務者への取立てを法律で禁止されます(貸金業法第21条第1項第9号、サービサー法第18条第8項)。
それ以外のクレジット会社なども、弁護士を無視して直接本人に連絡することはなくなります。

これで督促はいったん収まります。
しかし、まだ借金は残ったままです。
手続が中途半端で終わるといっそう厳しい督促が復活します。
ですから、督促が止まったことで気を抜かないで、最後まで手続きを進めることが重要です。

~支払の停止~

弁護士による受任通知の送付は、破産法上の「支払の停止」にあたります。
支払の停止があると、銀行取引約定により、銀行のカードローン残高全額について支払期日が到来します。

そのため、同じ銀行の口座に預金があると、銀行は、ローン残高と相殺します。
口座にいくらか残高が残っていたら、相殺によってゼロになってしまう可能性があります。
そのうえ、しばらくの間、その銀行の口座からは出金ができなくなります。

その口座が給与の振込み口座や公共料金の引落し口座になっていると、たいへんです。
受任通知の送付前に口座を変えておくなど、その対処をしておく必要があります。

~破産手続の開始~

受任通知発送後、弁護士は債務者とやり取りをしながら破産手続開始申立書を作成します。
この申立書で、収入、財産、生活状況、債務の内容、債務を負うに至ったいきさつなどを、資料を添付して裁判所に説明します(破産法第20条)。

申立書を受け取った裁判所は、申立書の内容を見て、債務者がこの先継続して債務を返済していくことができない状態にあるかどうかを判断します。
そして、そのような状態にあると判断されれば、裁判所が破産手続の開始を決定します(同法第30条第1項)。

ここから破産手続が始まります。
そして破産手続というのは、債務者の財産の清算手続きです。
そこで、その清算手続きを進める人として破産管財人が選任されます(同法第31条第1項)。

破産管財人は仕事をするわけですから、報酬が必要になります。
この破産管財人の報酬は、破産者の財産から支出されます。
ですから、破産管財人が選任されると、破産者は最低でも20万円程度を準備することが必要です。

~同時廃止~

破産手続は債務者の経済生活の再生を目的としていますから、何もかも取り上げて金銭化するわけではありません。
一定の範囲の財産は、金銭化する財産に含めないことになっています(同法第34条第3項)。

そうすると、債権者に分けるほど金銭化できる財産がないという場合も少なくありません。
そんな場合、破産管財人は仕事がありませんし、財産を清算する手続は不要です。
そのような場合には基本的に破産管財人は選任されず、破産手続開始の決定と同時に破産手続を終える(廃止)ことになります(同法第216条第1項)。
これを「同時廃止」と呼んでいます。

「同時廃止」となる場合は、管財人の報酬を用意する必要がありません。

~財産の清算手続き~

債権者に分ける財産がある場合は、選任された破産管財人が財産の金銭化を行います。
そのため、債権者に分けることになる財産は、すべて破産管財人が管理します(同法第78条第1項)。

住宅ローンの担保に入っている不動産は、破産手続にかかわらず、銀行などの債権者が担保権に基づいて競売することができます(同法第65条第1項)。
もっとも、破産管財人が債権者と協議して、競売ではなく業者を通じてより高値で売却をする場合も少なくありません。
※住宅ローンと税金滞納による差押えとの関係は、こちら《【債務整理】住宅ローンと税金の滞納》をご覧ください。

ローン中の車は、ローンの支払いが終わるまでローン会社が所有権を留保している場合がほとんどです。
ですから、受任通知を送付すると、ローン会社は車を引き上げます。
ローンの支払いがない自動車は、破産管財人が売却して現金化するのが原則になります。
しかし価値が20万円に満たない車であれば、手元に残せる可能性があります。

財産の金銭化が終わると、税金などの滞納がある場合、まずその弁済が行われます(同法第151条)。
それでも残った金銭がある場合、基本的に債権額の割合に応じて債権者に配当されることになります(同法第193条、第194条第2項)。

~免責手続き~

配当が終わった後に残った債務はどうなるのでしょうか。

会社の場合は破産手続の開始によって解散しますので(会社法第471条第5号)、債務を負う主体がなくなります。
個人は破産手続にかかわらず存続しますから、配当が足りなかった部分の債務は残ります。

しかし、それでは破産者にとって意味がありませんから、破産者の財産を清算しても残った債務について、免責許可の申立て(破産法第248条第1項)をします。

「免責」とは支払を強制されないという意味で(同法第253条第1項)、これを裁判所に認めてもらうための申立てということになります。
個人の自己破産の場合、基本的に破産手続開始の申立てと同時に免責許可の申立てがされたとみなされることになっています(同法第248条第4項)。

免責許可の申立てがあると、一定期間、債権者は意見を述べることができます(同法第251条1項)。
金融機関などは、このような事態をあらかじめ織り込み済みですので、厳しい意見を述べることは多くありません。
しかし、取引先などが債権者にいる場合は、免責を認めるべきでないという厳しい意見を述べる場合もあります。

では、裁判所はどんな場合に免責を認めるのでしょうか。

ギャンブルで過大な債務を負った、財産を隠していた、知人だけにこっそり借金の返済を続けていた等、法律に定められた不許可事由がないと判断した場合、裁判所は免責を許可する決定をします(同法第252条第1項)。

ギャンブルで作った借金が原因で破産したというような免責不許可事由があっても、経済生活の再生に向けたその後の生活態度が前向きであると判断したような場合、裁判所は免責を許可する決定をすることができます(同条第2項)。

金銭化できる財産がないような場合でも、ギャンブルやマルチなどで作った借金が大きく免責不許可事由がある場合は、それでも免責を許可するかどうかの判断のために、破産管財人が選任されることになります。
破産管財人から経済生活の再生に向けた生活態度を指導・調査され、その報告をもとに裁判所が免責許可をするかどうかの判断を行います。

あきらめないで生活再建の意欲を持てば、免責許可も十分にあり得るということです。

※税金、社会保険料、養育費などの未払いは免責されません。

破産することのデメリット

破産免責という大きなメリットを得ることができるのが自己破産ですが、その反対にデメリットもあります。

~「ブラックリスト」~

まず、いわゆる「ブラックリスト」に載ります。
ですから、クレジットカードを作る、ローンを組む、借り入れを行うなどは、数年間できなくなります。
ただし、これは自己破産に限らず、任意整理や個人再生をした場合でも同じです。
約定通りの支払いができない経済状況になったことに変わりはありませんから。

~特定の仕事ができなくなる~

破産をすると、法律の規定により、できなくなる仕事があります。
たとえば、警備員(警備業法第14条、第3条第1号)、探偵業(探偵業法第3条第1項)が挙げられます。
できなくなる可能性がある職業として、保険募集人(保険業法第307条第1項第1号、同法第279条第1項第1号)が挙げられます。

ただし、できなくなる期間は、復権するまでです。
そして、免責決定が確定すると復権します(同法第255条第1項)。
通常、免責決定が出てから1か月ほどで確定しますので、それまでということです。

~官報公告~

自己破産すると、官報に掲載されます(同法32条第1項)。
官報を欠かさず読んでいる人には知られるおそれがあります。
しかし、あまり一般的ではありませんので、それほど心配するには及びません。

~旅行、引っ越し~

破産手続き中は、旅行や引っ越しをするのに裁判所の許可が必要になります。
ただし、管財人と連絡が取れ、集会期日にきちんと出席できるのであれば、ほぼ許可されます。
また、手続きが終了するまでのことですし、同時廃止であればこのようなデメリットはありません。

~保証人への請求~

保証人がいる場合は、債権者から保証人へ請求が行くことになります。
これで保証人から文句を言われたりすることがあります。
しかし、そのための保証人なのです。
保証人とすれば最初から覚悟していたはずのことであり、文句の言える立場ではありません。

~郵便の転送~

破産手続き中は、郵便物が破産管財人に転送されます(同法第81条)。

以上、自己破産のデメリットを見てきましたが、免責のメリットをあきらめるほどのデメリットはないと言えるのではないでしょうか。

「破産」という言葉に拒否反応を示される方がいらっしゃいます。
しかし、言葉のイメージにとらわれて重い債務を追い続けることにどれほどの意味があるのでしょう。
債務が重ければ重いほど、合理的に考えるべきではないでしょうか。

相談・顧問|京都の弁護士 拾井央雄 075-241-2588

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京都・烏丸二条/京都弁護士会所属
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この記事を書いたプロ

拾井央雄

知的財産や技術系法務に強い理系出身の法律のプロ

拾井央雄(京都北山特許法律事務所)

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