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吉田清

年金に関するさまざまな悩みを解決に導く年金相談のプロ

吉田清(よしだきよし) / 社会保険労務士

社会保険労務士 よしだ事務所

コラム

「扶養親族等申告書」が届きます

2021年9月10日

テーマ:年金

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 所得税 控除年金給付年金対策


皆様こんにちは。
社会保険労務士の吉田 清(よしだ きよし)です。
9月中旬になると、「令和4年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が日本年金機構から順次郵送られてきます。
「振り込まれる年金の額が少なくなっている」という声をよく耳にすることがあります。
いつもよりも少ない金額が振り込まれていた場合は、なぜ年金額が減ったのか不思議に思われることでしょう。
年金額が減額されて振り込まれる原因は、いくつかの原因が考えられます。
今回はその一つの原因である「扶養申告書等の申告漏れ」について紹介します。

「扶養親族等申告書」とは

老齢年金(老齢福祉年金は除きます)には、所得税法により、「雑所得」として所得税および復興特別所得税の課税対象となります。そのため、年金の支払者である日本年金機構は、年金の支払いの際に、所得税を源泉徴収することになります。
それに対し、所得税の課税対象となる年金を受け取っている方は、公的年金控除・配偶者控除・扶養親族・障害者控除などの人的控除を受けるために「扶養親族等申告書」を提出することになります。提出されない場合は、各種控除が受けることができません。
なお、障害年金、遺族年金は課税対象ではないため源泉徴収されません。

「扶養親族等申告書」が送られてくる方ってどんな人?

源泉徴収の対象となる方には、「扶養親族等申告書」が、日本年金機構から送られてきます。一方、源泉徴収の対象とはならない方には、「扶養親族等申告書」は送られてきません。

所得税の課税対象となる方は、次の老齢年金の年金額を受け取られている方です。
1.65歳未満の方は108万円以上
2.65歳以上の方は158万円以上

各種控除に該当しない方(受給本人が障害者・寡婦等に該当せず、控除対象となる配偶者又は扶養親族がいない方)は、「扶養親族等申告書」が届いても提出する必要はありません。

「扶養親族等申告書」を提出しなかったらどうなるの?

「扶養親族等申告書」を提出しなかった場合は、障害者控除や配偶者控除といった控除を受けることができないため、「扶養親族等申告書」を提出した場合と比べ、多くの所得税が源泉徴収されることになります。
そのため、年金の額は変わっていないけれど、年金額から天引きされる所得税が多くなるため、実際に受け取れる年金の額は少なくなってしまいます。
ただし、税制改革により令和2年度以降の「扶養親族等申告書」については、提出された場合と提出されなかった場合で、所得税率に差がなくなったため、障害者控除や配偶者控除等、各種控除の適用を受けない方は、提出しなかった場合でも、提出した場合に比べ多くの所得税を源泉徴収されることはありません。

「扶養親族等申告書」の提出期限が過ぎているのに気づいたら?

期限が過ぎていても、速やかに提出しましょう。
期限内に提出しないと一旦控除がない状態で源泉徴収されますが、提出することで遡って所得税額を再計算され、多く引かれていた金額については、次回の振込み時に調整され受け取ることができます。

「扶養親族等申告書」の記入方法については、日本年金機構のホームページで紹介されていますので参考にしてください。

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