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一番ヶ瀬正明

小規模事業者・中小企業の広告コンサルティングのプロ

一番ヶ瀬正明(いちばかせまさあき) / 広告コンサルタント

有限会社ディーナ

コラム

第10回【経営者コラム】コロナ禍でも愛され業績がのびる店舗や企業の奮闘に⼿がかりが!OMOをはじめとする彼らのサービスから⾃社展開の道を探る。

2023年2月1日

テーマ:OMO

コラムカテゴリ:ビジネス




コロナの収束を、いまだ⾒ることができない現在。
⾃由に⾝動きが取れない状況という点で類似する「コロナ禍と⾼齢化社会」、
この⼆つを⾒据えた未来への事業展開を、
⼀⽇でも早く、考えなければならない時がやってきています。
今回は、「オンラインとオフラインを融合させたサービス」について考え、
「斬新な切り⼝」などの⽅策で前年⽐を上回る売り上げを上げる
店舗や企業をピックアップし、その歩みからヒントを探ってみます。



OMO(オンライン・オフラインの融合)を⾃社展開するには?複数の⽅式が存在するOMO の戦略を知る

『OMO』は「Online Merges with Offline」の略。
「オンラインとオフラインを融合する」という意味で、
「ネットとネット以外の店舗など、その垣根を超えたマーケティングの考え⽅」を指します。
「OMO」の⽅式は、次の5つです。

1)「クリック&コレクト」
オンラインで購⼊し、商品は実店舗で受け取ることができる


2)「クリック&コミュート」
オンラインで購⼊し、商品は⽣活の通り道で受け取ることができるサービス
[ 通勤途中や⾃宅近く(ロッカー) などで素早くピックアップ ]


3)「クリック&サブスクライブ」
オンラインから商品やサービスを定期購⼊するサービス
[ ルーティンで使う消耗品を定期購読のように⾃動購⼊したいという欲求に答えた ]


4)「クリック&トライ」
オンラインで注⽂し、実店舗または⾃宅で試せるサービス
[ 服、靴、メガネなど試着することが重要な商品に多くみられる ]


5)「クリック&リザーブ」
特定店舗の在庫をリアルタイムで確認しながらオンライン予約できるサービス
[ 店に⾏ったのに在庫切れだったという状態を回避できる ]

出典:堤 藤成,アメリカで⾒つけたコロナ禍で進化する⼩売のDX トレンド5 選+α,宣伝会議,アドタイ,2021.04.16掲載
https://www.advertimes.com/20210416/article346802/4/


5つのOMOから「⾃社展開可能なタイプを把握」することで、
まず、コロナ禍を乗り切る⽅向性の検討材料が⼀つできたと⾔えるでしょう。


業態はそのまま。時代のニーズを読み「商品宅配」に特化。『ダークストア』というスタイル

「オンライン」と「宅配」を融合させた
“特化型”というスタイル、『ダークストア』。

『ダークストア』は、宅配専⾨スーパー施設の通称です。
インターネットで受注し宅配するという仕組みはネットスーパーと同じですが、
実店舗での直接販売は無く⼩規模で展開することが可能なことから、
閉鎖店舗などを活⽤でき、宅配に特化したスタイルで展開します。

スーパーマーケットが運営する「⼀般的なネットスーパー」は?
注⽂が⼊ると、実際にお客さんが買い物をするスーパーの陳列棚から
スタッフが商品を取りまとめ配達する。

⼀⽅、「ダークストア」は?
利⽤客がいない倉庫のような店舗に置かれた商品をスタッフがピックアップし配達する
店舗で直接買い物ができない仕組み。基本的に店舗の場所は公開されません。
ダークストアは、コロナ禍に欧⽶や中国で登場し⽇本では2021年の夏ごろから
東京など⼤きな都市を中⼼に相次いで運営スタート。
新しい業態として急成⻑しています。

例)
東京⽬⿊区のダークストア。
店舗内は倉庫⾵。棚には商品が整然置かれ、レジはありません。
⼈気の理由は、注⽂から配達までの時間の早さ。
ダークストアを運営するほとんどの会社が注⽂から30分以内の配達を売りにしています。
配達範囲を半径2〜3km 程度の近い地域に限定し配達エリアを狭くし、
「エリアの広さよりも届ける早さ」を優先しています。
今後、店舗の数を増やしていくことでエリアの狭さをカバーする⽅針を⽴て、
配達料は、各社ばらつきがありますが数百円程度と安価に設定。
これは、すでに普及している⼀般的なネットスーパーに負けないよう、
「早さ」と「⼿軽さ」を強く打ち出しているため。


出典:鈴⽊貴彦, 「ダークストア」いま⼈気のネットスーパー どんなサービス?, NHK⾸都圏ナビ2022.03.28,
https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20220328a.html

コロナ禍によって⾃宅にいる時間を⼤切にし始めた⼈々。
⼦育てに忙しい親、共働き夫婦、⾼齢者など、多くの消費者にとって
ニーズが⾼いサービス「ダークストア」の今後のさらなる展開が⾒逃せません。



コロナ禍、密になりがちな業態でも 前年⽐20%増を打ち出した場所


例)
東京浴場 :⾯積 / 浴場約30坪、ロビースペース約16坪
1951年から営業していた銭湯を⼀時閉店した後、2000年に銭湯再⽣を⼿がける
ニコニコ温泉が引き継ぎ、現在、若いスタッフを中⼼に運営。


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参考/サービスほか展開
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・7000冊を超える漫画本が圧巻
個室スペースで、⼦どもに読み聞かせをする⺟親もいる。

・湯船は3つで温度の違いが味わえる
「ぬるいお湯」「熱いお湯」の湯⾈、地下の井⼾⽔を引いた古いブランデー樽の「井⽔掛け流し樽⽔⾵呂」。





・幼児向けの配慮
浮かぶアヒルのおもちゃを多数配置。

・新たなサービス「おこもりサウナ」
脱⾐場に昔の電話ボックスほどの⼤きさの「⼀⼈⽤プライベートサウナ」を設置。
密を避けるため、ネットからの完全予約制。
(⼀⼈1500円、特に男性⽤は稼働率65%を超える⼈気)



・ポスティングをうまく利⽤
開業時3万⼾に配布。
オープン⽇には700⼈の客が押し寄せるのに寄与した。
ポスティングは年末年始やGWは⽋かさず⾏い、店のサービスを最低7つは表記する。

「おこもりサウナ」の好影響もあり、コロナ禍でも2021年12⽉の売上は前年⽐20%増


出典:常連になりたくなるまちの愛され店舗探訪,番台奥には7000冊を超える漫画 幼児から年配者まで来店する銭湯,
販促会議, 2022年4⽉号,https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/202204/popular-store/023600.php


密になりがちな場所を「個室スペース」や「予約制1⼈⽤サウナ」などのアイデアで回避した好転例です。



地域環境に配慮することで⽣まれた専⾨店化
業績アップし続ける


例)
サイクルショップオギヤマ⼤森⼭王店 :⾯積/約70坪
同地で古くから⾃転⾞店を営む。
坂が多く⾼級住宅街を控える環境から、次第に電動アシスト⾃転⾞専⾨店に特化した。



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参考/サービスほか展開
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明るさのみでなく暖かさも⾃転⾞から放たれるよう留意
⾃転⾞の⾞体は⿊や⻘といった暗めの⾊が売れ筋のため、照明で⾒やすくした。

地域のバス広告はリスティング広告より安く効果が⾼い
古くから⾃転⾞店を営み近隣との結びつきが強いという特性。

店頭には試乗⽤機種を豊富に展⽰
⼦どもを乗せともに⾛る⾃転⾞は試乗して購⼊することが多いための配慮。



つかず離れずの⼼地よい接客
スタッフは客が疑問を持った点には簡潔に説明。
機種を⾃由に⾒たいと思える際はスッと離れるなどつかず離れずの接客スタイル。

点検・修理コーナー
店内には点検・修理を専⾨に担当するコーナーも完備。

きめ細かいネット対応、HPではブログ更新も頻繁
お買い得案件などを週数回はアップする。
「チェーンにスカートが絡まった場合の修理事例」や「⼩柄さんでもe-BIKEって楽しめる?」
と題したエントリーも。
修理や困った事に関してのアップはヒット率が⾼い。

購⼊の新⾞は定期点検永年無料、購⼊後1年間は賠償責任保険1億円無料付帯パンク修理無料対応

出典:常連になりたくなるまちの愛され店舗探訪,⽇本初、電動アシスト⾃転⾞の専⾨店 コロナに負けず業績UP,
販促会議, 2022年4⽉号,https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/202108/popular-store/021997.php


地域密着だからこその「きめ細かいサービス」が安⼼感を与えている好転例です。



まとめ

コロナ禍の事業者たちの奮闘と売り上げ増は、限られた条件下だからこそ⽣まれた
「知恵をしぼりにしぼったアイデア」のたまものでした。
そのアイデアは、社内から⽣まれたものはもちろん、社外の⼒を借りたものもありました。
また、同じ業種の成功例を参考にするのも良いのですが、
より新しいものを求めるのならば、他業種からヒントを得る⽅が、
⾯⽩いアイデアがひねり出されるはずです。
業態に関わらず、既成概念に縛られず、
既にもっているものと新しいものを融合させる勇気を持ち、
ぜひ、この時代を乗り切れるよう、舵を切ってみてください。

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