薩野京子プロのご紹介
死の準備を通して、残りの人生について考えるきっかけを提供(2/3)
母親の死をきっかけに得た死生観と大学で学んだ葬儀に関する知識を役立てようと、終活カウンセラーに
薩野さんが終活カウンセラーになったのは、自身の母親を亡くしたことがきっかけでした。喪失感に苦しみ、死について考えるようになった薩野さんは、生と死に関する本を読み漁ったといいます。そして自然に頭の中で「バケツリスト」を作り始めました。
残りの人生でやりたいことを考えたときに頭に浮かんだのは、高等教育を受けること。そこで慶應義塾大学文学部の通信課程に進み、死生学を学ぶため、哲学や社会学、民俗学などの単位を取得しました。卒業論文では『現代の葬送儀礼について』をテーマにし、葬儀に関する深い知識を身につけたのです。
その知識を生かそうと考えた結果、たどりついたのが終活カウンセラーでした。あえてフリーの終活カウンセラーとして活動を始めたのは、終活カウンセラーという資格を通して、やりたいことがはっきりとあったからです。
「生と死を考える集いのような試みを行うことで、ひとりでも多くの人が死を思いながら生きること(=メメントモリ)に気づいて、イキイキと生きていくきっかけを生み出せればと思っています」
そこから、死の準備を通して生きることを考える、二本立てのセミナーが始まったのです。
大学での研究で得た葬儀に関する知識や母親の死を迎えた経験は、葬儀に対するアドバイスにも表れています。家族葬など小規模な葬儀を希望する人が増えている最近の流れを踏まえつつも、「単に流行に流されるのではなく、葬儀の意味をわかった上で選択していただきたい」と口にします。
「葬儀は亡くなる人のためのものだけではなく、送る人の気持ちの整理する場でもあるんですね。自分がこだわりたい部分だけを決めておいて、遺族が気持ちを込める余白を残しておくのもいいのではないかと思います」
飾ってほしい花や、流してほしい音楽など、こだわりたい部分だけをエンディングノートに書いておくことで、本人の希望と遺族の想いの両方を叶えることができそうです。
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