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  1. 結婚や妊娠を理由に解雇など不当な扱いをすることは違法!
池畑博美

安心して働くための企業向けハラスメント防止研修講師

池畑博美(いけはたひろみ) / 研修講師

特定非営利活動法人虹色のたね

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コラム

結婚や妊娠を理由に解雇など不当な扱いをすることは違法!

2020年2月12日

コラムカテゴリ:ビジネス

マタハラ防止が企業において法律で義務付けられましたが、マタハラが無くなったわけではありません。
マタハラ問題の多くは、女性の妊娠中とその前後に集中して起こる傾向があります。ここでは、違法となるマタハラ行為や、違法行為を受けた時の対処についてお話しします。

結婚、妊娠を希望する働く女性を守る法律がある

女性の社会進出が進み、彼女たちの生き方も多様化してきました。

昭和の戦後すぐの頃は、女性は大人になれば結婚して家庭に入り、家事・育児に専念するというのがお決まりのパターンでした。
しかし現在は、男女問わず、長く働き収入を得ることが推奨されるようになっています。

このような時代の変化に対応するために、女性が結婚や妊娠のために働き続けることをあきらめなくてもすむよう、さまざまな子育て支援制度が法制化されています。

いくつか例を挙げてみましょう。
(以下、厚生労働省作成:「職場でつらい思いをしていませんか?」参照)

【1:「男女雇用機会均等法」で制定されている子育て支援制度】
・産前休業
・妊娠中及び、出産後の健康管理に関する措置
・軽易な業務への転換
・変形労働時間制における法定労働時間を超えた労働時間の制限、時間外・休日・深夜労働の制限
・育児時間
・坑内業務・危険有害業務の就業制限

以上の他に、同法においては、
・事業主は、女性労働者が、結婚、妊娠、出産したことを退職理由とはできません。また、解雇もできません。
・女性は妊娠や出産に際して、労働基準法第65条 第1項の規定に従い、休業を請求することができ、この休業によって解雇やその他の不利益な取り扱い(減給、降格、配置転換、契約打ち切り)を受けることはないとされています。
ただし、これらの理由以外についてはこの限りではありません。

<男女雇用機会均等法第9条>
・男女雇用機会均等法に記載された内容に違反した企業については、労働基準監督署から指導や公表、罰則を受けることがあります。
・指導後も報告がない、虚偽の報告をすれば、20万円以下の罰金が科せられます。
(男女雇用機会均等法第29条、第30条、第33条)

【2:「育児・介護休業法」で制定されている子育て支援制度】
・育児休業、介護休業
・子の看護休暇
・介護休暇
・所定外・時間外労働および、深夜業の制限
・育児や介護のための所定労働時間の短縮措置
・始業時間変更

なくならない不当な扱いとその事例

子育てを支援するさまざまな法律が制定されてはいるものの、現時点で、女性が特に妊娠や出産をする時に突然解雇されるなど、職場で不当な扱いを受ける事例は減っていません。

近年のマタニティハラスメントの事例を紹介しましょう。

【1:第2子妊娠後、軽い業務への配置転換を希望したら、役職(副主任)を外され、復帰後に管理職に戻れなかった】
原告は、降格後から退職までの間の副主任手当計30万円と、「職業人としての誇りを傷つけられ、降格したことで、職場内で孤立、軋轢が生じて退職せざるを得なくなった」として慰謝料100万円を求めた。

当初の地裁判決では、女性側の主張が認められなかったが、最高裁ではこの訴状内容を「違法」と判断、差し戻しを行った。
一審の地裁の判決では降格が適法とされたが、差し戻し後の判決ではこれを違法とし、慰謝料も含めて約175万円の賠償を認め、女性原告の逆転勝利となった。

【2:育児休業後、保育園がみつからず、一時休職を会社側に求めたが応じてもらえなかった】
退職を回避するため、週3日の契約社員として職場復帰をし、保育園の入園めどがたった時点で、当初の書面に記載された「(育休明けの)契約社員は希望すれば正社員への変更が前提」の通り正社員への復帰を希望したところ、会社側は「育児休業によるブランク」「子育て中に予期される、子どもの体調不良による欠勤を防ぐため」などの理由で、女性の要望を拒否、また女性を担当の仕事から外した。

そして、正社員復帰を求める行為は社内秩序を乱すものとして、懲戒処分の対象だと伝える。その後、女性は契約社員としての満了日を迎えた後、雇い止めされた。

判決では、会社側が、正社員復帰を求める女性に対し、誠実に対応する義務に反したとして不法行為があったと認定。慰謝料100万円と弁護士費用の合計110万円の支払いを命じた。
また雇い止めを無効と認定し、判決時点までの契約社員の給与を支払うように命じた。

一方、育児休業後の契約社員としての雇用契約書には「正社員復帰を前提」という記載がないことから、正社員復帰を拒否したのはマタハラだという原告側の主張は認められなかった。

その後、原告の女性は、提訴時に記者会見で話した内容について「名誉棄損」にあたるとして逆に会社から訴えられた。
判決では、会社側の訴えは退けられたものの、マタハラと戦おうとする女性たちにとっては、その後の人生に大きな打撃を与えるものとなった。

結婚・妊娠・出産・育児で、会社から不法な扱いを受けたら?

女性が働き続けながら、結婚、妊娠、出産、育児もこなすのは、大変な労力を必要とします。
そしてその間、出張や残業など、家を長期間離れる業務をセーブせざるを得ないことが多く、同僚たちにそのしわ寄せがいくことから、個人的な攻撃を受けることもあります。

もし、法で定められたことが会社で守られておらず、特定の社員から、誹謗中傷を受けるなどがあれば、黙ってがまんすることなく、はっきりと「やめてください」「いやです」という意思表示から始めてください。

自分の力で問題が解決しない時は、会社の人事部か、相談窓口に相談します。
社外においては、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)や、総合労働相談コーナーなどの利用も可能です。

マタハラを受けたら、一人で抱え込まずに、すぐに相談することが解決の近道です。

この記事を書いたプロ

池畑博美

安心して働くための企業向けハラスメント防止研修講師

池畑博美(特定非営利活動法人虹色のたね)

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