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杉山善昭

不動産任意売却の専門家

杉山善昭(すぎやまよしあき) / 不動産任意売却コンサルタント

有限会社ライフステージ

コラム

湯河原の別荘を舛添前東京都知事はどうやって売却するのか?

2016年6月30日

テーマ:時事

コラムカテゴリ:住宅・建物

今回は、物議を醸しだして結局辞任された、舛添要一前都知事についての話を書きたいと思います。
都知事を辞めたくない一心から、つい表明してしまった、「湯河原の別荘は売却します」

決して本心で、売却を望んでいるとは思えません。

しかし、言ってしまった以上、売却をしなければ、また世間から非難されることになりますから、都知事を辞めた今でも、別荘を手放さざるを得ないでしょう。

では、本題。
舛添前都知事は、どのように湯河原の別荘を売却するのか?
<h3>普通の不動産を売却する方法とは?</h3>
私の見解を示す前に、「一般的な不動産売却」の説明をしましょう。

不動産を売却しようとする場合、買取会社に直接買い取りのオファーを出すか、不動産会社に販売の委託をするかどちらかになります。
買取の場合は、一般に売却できる価格に比べて廉価になることが多いので、ほとんどの場合、販売の委託になります。
販売の委託の契約を、媒介契約というのですが、法律的に大きく分けて二つの媒介契約があります。

一般媒介契約と専任系媒介契約です。
専任「系」媒介契約と書いたのは理由があります。

専任系の媒介契約は、専任媒介契約と専属専任媒介契約に二つに分かれています。
この二つの違いはこのコラムの内容に影響しないので、以後専任系と表記します。

一般媒介契約の場合、売主は、不動産の販売を複数の不動産会社に依頼することができます。
専任系契約の場合、売主は、不動産の販売を1社の不動産会社にしか依頼することができません。
<h3>1社にしか依頼できない専任系契約が実は有利</h3>
これだけ書くと、専任系の契約は著しく不利になるような気がしますよね?

しかし、不動産の流通の仕組みを知るとそうでないことが分かります。

不動産業界には、レインズという不動産の情報データーベースがあります。
レインズには、日本全国の売却不動産情報が登録されていて、不動産業者しか見ることができません。

日本にある不動産業者は、どこの会社であっても、このデーターベースに登録された「他社から登録された不動産」の販売活動をすることができます。

レインズは、販売に出された不動産を、広く告知をすることにより、不動産業界全体で販売活動を行えるようにした制度であり、結果、早く高く売却することを実現するためのシステムなのです。

話を少し戻しますが、先ほど
『一般媒介契約の場合、売主は、不動産の販売を複数の不動産会社に依頼することができます。
専任系契約の場合、売主は、不動産の販売を1社の不動産会社にしか依頼することができません。』
と説明しましたね。

専任系契約の場合、売主は1社の不動産会社にしか依頼することができない変わりに、専任の依頼を受けた不動産会社は、レインズへの物件登録義務が発生します。

従って、売主は1社にしか依頼できませんが、レインズに掲載されることにより、日本全国の不動産会社が販売できることになります。
もし、売主が、日本全国の不動産会社、一軒一軒に依頼をしようとしたら。。。現実的に不可能ですよね。

専任系の契約は、売主が複数の不動産会社に依頼する手間を省くためにも役に立っているのです。

一方、一般媒介契約の場合、依頼された不動産会社は、レインズへの物件登録する義務を負いません。
理由は、もうお分かりですね。売主が複数の不動産会社に、販売の委託をすることができますからです。

専任系の場合は、レインズに登録され、不動産業界全体で販売活動されますが、レインズに登録されなければ、特定の販売会社だけしか販売活動をすることができません。

確率論的に、不動産業界全体で販売活動をする場合と、特定の販売会社だけで販売活動をする場合と、どちらが早く高く売れるかは明白です。

話が長くなりましたが、「一般的な不動産売却」の場合、目的は1円でも高く、1日も早く売ることが求められるので、レインズに登録して買主を探すことになります。
<h3>舛添前都知事が不利な一般媒介契約を選択する理由</h3>
では、舛添前都知事の場合はどうでしょうか?
舛添前都知事は、ご自身が持つ別荘をいくらで販売しているか?、いつから販売しているのか?
という情報を、極力世間に知られたくないと思うはずです。

情報が洩れれば、世間に騒がれますからね。
専任系媒介契約をしてレインズに登録し、広く買主を募集してしまうと、日本全国の不動産会社に販売活動を許すことになり、結果、販売価格や、販売情報が世間に広まってしまう危険性があるわけです。

これは何としても避けたいと考えるはずです。

そこで、使えるのが一般媒介契約です。
「一般媒介契約の場合、売主は、不動産の販売を複数の不動産会社に依頼することができます。」と書きましたが必ずしも、複数の会社に依頼する必要はありません。1社だけと一般媒介契約を締結することも、もちろん可能です。

極力、秘密裡に売却を進めたい、舛添前都知事は、今回の売却ではこちらを使うはずです。
一般媒介ですから、レインズの登録義務はなく、世間に販売価格が漏れる心配はありません。
また、成約した時期なども判明しづらくなります。

ちなみに、杉山予想の販売価格は・・・書こうと思いましたが、別荘の場所の特定をしている人がたくさんいるので、価格は伏せておきます。
<h3>宅地建物取引士杉山が大胆予想!</h3>
販売方法については、以上の通りとなりますが、更に深読みして書き進めたいと思います。

舛添前都知事は、この別荘を手放す気持ち。。。全くなかったと思います。
ケジメで売却する!と表明しましたが、世間からは、「ケジメになっていない」などと猛バッシング。
かと言って、「やっぱり売りません」では更に炎上してしまいます。

何か良い方法はないか・・・

!!!

一旦誰かに売却したことにして、ほとぼりが冷めたらまた買い戻せばいい!

このような発想に至っても、何らおかしくありません。
ということは、、、
舛添前都知事の大好きな「第三者」を使って、第三者に売却したことにして、一旦、不動産の名義変更をする。→数年後、売買契約の解除をしたとか、買戻しをしたという理由で、元に戻す。
という手法を採っても何らおかしくありません。

そんな手法をしてほしくはありませんが。

この記事を書いたプロ

杉山善昭

不動産任意売却の専門家

杉山善昭(有限会社ライフステージ)

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