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山崎宏

シニアの生涯主役人生を全面支援する濱の老い先案内人

山崎宏(やまざきひろし) / 終活コンサルタント

百寿グループ(株式会社百寿研 、百寿コンシェルジュ協会、NPO二十四の瞳)

コラム

議員天国、大衆地獄の国で生きていくための自衛策

2022年1月11日

テーマ:終活

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: 認知症予防財産分与終活 いつから

自助社会の実現…。日本は今、これに向けて突き進んでいます。そんなこの国で生きのびていくために、私たちは、目の黒いうちから真剣に長丁場にそなえておかなければいけません。読者のみなさんには、そのための問題意識と当事者意識と危機意識を持っていただくために、自助の国で老い先にそなえておかないとどうなるかを知っていただきたいと思います。

永田町と霞ヶ関は国民の犠牲の上に?

自助?字面からイメージできるのは、「自分のことは自分でできる国民は、自分のことは自分でやりましょう。自分ではどうにもならない弱者だけは国が援助の手を差し延べてあげますから…」ということです。どうやら、自分のことを自分でできる国民というのは厚生年金受給層のことのようです。国民年金のみを拠り所にしている階層および、それ以下の国民については、「しゃあネェな。国が何とかしてあげましょうかねぇ」ということで、自助ではなく、共助と公助に期待することが許される。これがわが国の将来設計です。

というか、市井ではすでにそうなっていいます。私たちが税金・年金・保険という名目で無条件におカネを搾り取られていく一方で、それが永田町と霞ヶ関で生息する人種の人生や生活に充てられています。要は、この国を動かしている側の人たちは、国民に身を切らせて、自分たちはまるまると肥えているわけです。

みずから苦難の道を選びたがる一般大衆

でも残念ながら、国民からすると許しがたいこの構図は、革命でも起こらない限り、私たちが生きているうちに変わることはまずありません。というのも、現役世代の半分は、国家公務員・地方公務員(400万人)とその身内、天下り・渡り族、今日でも護送船団方式の名残が残る銀行・病院・大学・社会福祉法人、国や自治体に媚びて仕事にありついている人たちです。もう半分がいわゆる一般大衆ですから、多数決をとったところで、現在の議員天国とか公務員天国とかが覆ることはあり得ません。

にもかかわらず、信じられない話ですが、前回の衆院選でも一般大衆は自民党を選んだのです。もしくは、投票自体を放棄したわけです。これはもう、100数十年前にギュスターヴ・ル・ボン(フランスの社会学者・心理学者)の書いた『群集心理』に書かれている通り、自覚しているかどうかは別として、私たち一般大衆は永田町や霞ヶ関に支配される人生を選択したということです。

自助社会の実現に不可欠な支援機能

こうした大前提のもと、私たちが資本主義国家ニッポンという枠組みの中で、自助を強いられながら、人生100年時代を全うしようと思ったら、やはり、計画的に自衛策を講じて実践していく必要があります。具体的には、50歳になって人生を折り返したら、自分と家族を守るために、後半戦(老い先)にそなえなければなりません。

コロナ禍で、「自粛を要請する」などという、言葉遊びのようなフレーズが市民権を得てしまった感がありますが、これになぞらえて言えば、私たちの税金で甘い汁を吸っている側に不条理を強いられながらサバイバルしていこうと思ったら、「(彼らが推し進めようとしている)自助を支援する」ためのインフラが、地域・職域に整っていることがどうしても必要です。というのも、そもそも人は自分ひとりでは死んではいけません。少なくとも、直系の子どもをはじめとする家族や、それに準ずる誰かの支えが不可欠です。これは、経済的に自立できている人であっても同様です。問題は、頼られる側の直系卑属の筆頭である現役世代にも、現役世代の事情があるということです。

相談現場の実態で浮き彫りになる老親リスク

ごくごく標準的な国民は、なぜ自分たちたけで人生を全うすることができないかということを、わかりやすい例で示してみます。20年間にわたって、1万件超の電話相談と2千件の個別支援に当たってきた現場感でお話しすることなので、老親や自身に何が起ころうと医療にも介護にも当然のように容易にアクセスできる政治家や役人にはピンとこないはずです。しかし、私たち一般大衆レベルの日本人は、この真実を知っておかねばなりません。それは……。

老後のことや老親のことで悩みを抱えている人たちの標準的な家族構成は、「老親ひとりに子ども2人」です。同じく、老親の家計状況は、「年金15万円/月。財産総額は相続税非課税の範囲内で、土地・家屋2,000万円、現金預金1,000万円」。大体がこんな感じです。こうした家族において、ある日、老親がなんのそなえもないままに、80歳で認知症を発症したとします。さて、この場合、この親子のいく末はどうなるでしょうか。

介護費用をわが子に持ち出しさせざるを得ない老親側の事情

都市部で民間の老人ホームに入るには、毎月30万円程度が必要です。年間360万円です。療養期間を10年としても3,600万円。20年間で7,200万円です。年金の15万円があったとしても、毎月15万円は預金を切り崩していかざるを得ません。預金1,000万円は5年半で底を尽きます。あとの4年半分相当1,800万円は子どもが持ち出すしかありません。なお、(対策を講じていなければ)認知症の老親名義の不動産は、親が生きている限り売ることができません。

親がそなえておかなかったばかりに、引き継ぐことになったかもしれない老親名義の預金だけでは足らないどころか、自分の貯えまでも切り崩していかなければならないわけです。過酷な現実です。老親の介護問題で子どもの家庭が崩壊するケースがままありますが、その最大の要因は、やはり経済的な理由に他なりません。

現役世代にとどまらない老親リスクの波紋

こうした具合ですから、老親が何の準備もないままに「まさか」が起きると、多くの場合、(法廷で争うかどうかは別にして)現役世代のふたりの子どもは、自分の人生と生活を死守するために争うことになります。少しでも、自分の家庭がダメージを負わないように。時間とおカネを損なわずに済むように。

ちなみに、その頃には、後始末に奔走する現役世代も高齢者になっています。そのまた子どもたちは、就職・結婚・出産・マイホーム購入といった一大イベントを控えている可能性が高い。要は、人生において、おカネのかかる時期を生きています。そんなタイミングで、自分の親がさらに高齢な老親のことで時間とおカネを費やさざるを得ない状況にあるとしたら、こんどは前途ある子どもたちにまで支障が及ぶことになる…。まさしく、親子三世代を襲う負の連鎖です。

だからこそ、100歳まで生きなければならない今日にあっては、老親世代(70代~80代)・現役世代(40代~50代)・子ども世代(10代~20代)の三世代の問題として、そなえる意識を持っておくことが大切なのです。

いわゆる終活の目的は、わが子に負担をかけないこと

これが一般大衆レベルのすべての国民が孕んでいる長生きリスクです。たちが悪いことに、このリスクは必ず起こります。そんなことは自明の理です。にもかかわらず、多くの人たちが見てみぬフリをして、ただ漫然と問題を先送りしています。子の親たるもの、自分が倒れた後に子どもたちの関係がおかしくなってしまうようなことを望まないのであれば、50歳ともなれば元気なうちに、可能な限り早いうちから老後設計をして、子どもに依頼する作業にかかるコストは先に渡しておくことをおすすめします。

でも、少数派ではありますが、一部の賢明な人たちは対策を講じています。老親の預金1,000万円のごく一部を保険的な意味合いで準備金として充てるだけで、入院・療養生活も、それに伴う医療・介護関連のあらゆる手続きや折衝も、葬儀や死後事務といったエンディングも、もちろん、財産の承継も、これらすべての老後の諸課題を、わが子の時間とおカネを損なうことなく、年金の範囲内で賄えるように事前に手を打っておくわけです。これこそが、本当の意味で、老い先にそなえるということ(真の終活)です。

用心したい老後問題に係る保証会社や信託会社

この場合、気をつけたいのは、数百万円の保証金や預託金の代わりに身元保証や死後事務を受託するビジネスには、預かったおカネに手をつけてしまうといったスキャンダラスな匂いが漂う点です。いわゆる「おひとりさま」や、親子関係上の問題で子どもを当てにできない高齢者がターゲットになるわけですが、大体、天涯孤独の人の場合、認知症になった場合のことや、死んだ後のことなど考える必要はありません。

必要がないというと語弊がありますが、少なくとも子どもたちに迷惑をかける心配はありません。ご近所や地域に手間をかけさせることにはなるでしょうが、そういう孤立無援な人たちを救ってくれるのが国の仕事(共助・公助)であるはずです。最悪、近くの役所か病院まで這って行ってそこで倒れさえすれば、その後はベルトコンベアーのごとく円滑に事が運びます。いずれにしても、余生を過ごすための貯えを見ず知らずの専門家もどきに渡してしまうなど考えられないことです。すでに冷静な判断能力が失せているといっても過言ではありません。

わが子はもちろん、老後を託す相手とは時間をかけて信頼関係を

可愛いわが子に過度な負担を強いず、その手の団体や法人に自助を支援してもらおうというのであれば、両者間には長い時間をかけて醸成された信頼関係が絶対的に必要不可欠です。契約を結んでおカネを払ったが最後、以降「まさか」が起きるまで顔を合わせないなどというのは論外です。最低でも月に一度は(様子伺いや安否確認の意味もかねて)時間を共有し、ひとりの人間同士として友人のような関係にまで高めていかない限り、預託金の持ち逃げリスクは低減できません。判断能力と意思疎通能力が確かなうちに、一緒になって老後設計のプロセスを担ってもらい、加えて、「まさか」が起きた時の同行や代行や、わが子と密に連携して対処してもらう旨、必ず書面で確約をとるようにしてください。

これは親子関係においても言えることです。わが子が思春期を迎えたころから長年かけて離れていった心の距離。これを一朝一夕に埋めるのは無理があります。意識的に接触頻度を高め、(くだらないバカ話や説教ではなく)実のある話を積み重ねていくことです。とくに注意すべきは、老後の支援だけをあれやこれや頼んでおいて、そのために必要となるコストや引き継いでもらう財産の話を一切あきらかにしないこと。それでは、子どもの側にも親の老後を支えようという覚悟が定まりません。人生の幕引きは自助だけでは成り立ちません。そのことを肝に銘じて、親子の絆を取り戻す創意工夫に取り組むことをおすすめします。

この記事を書いたプロ

山崎宏

シニアの生涯主役人生を全面支援する濱の老い先案内人

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