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  1. 家族信託(民事信託)の手続き・流れには何が必要?初めての方は必見!
小川文子

大手都市銀行や外資系資産運用会社等の金融出身の女性弁護士

小川文子(おがわふみこ)

恵富総合法律事務所/コンサルタント

コラム

家族信託(民事信託)の手続き・流れには何が必要?初めての方は必見!

2019年4月12日

テーマ:家族信託

「認知症になったときのために、誰かに財産を託したい」「財産の承継先を子ども、孫と次の次まで指定したい」。
そのようなニーズに応える手段として、家族信託が大きな注目を浴びています。

しかし、何からはじめるべきか、わからない方も多いと思います。 今回は家族信託の手続きと流れについてご説明いたします。



1.家族信託(民事信託)とは
民事信託とは、信託法に基づいて、持っている財産の管理と運用を信頼できる人に任せる制度です。

本人とその家族が信託契約を結び、財産管理を委託することが多いので家族信託と呼ばれますが、家族以外の友人や法人に委託することもできます。

2006年に信託法が改正されてから、一般家庭でも使いやすい制度となりました。これにより、高齢者や障害者の財産管理に信託を利用しようという動きが高まり、近年、専門家を中心に家族信託が提案される機会が増えています。

「信じて託す」の言葉通り、強い信頼関係がないと活用できない制度です。

2.信託に関わる委託者と受託者、受益者の役割を理解する

家族信託において、当事者となるのは「委託者」「受託者」「受益者」です。この三者のかかわりを理解すれば、家族信託がわかりやすくなります。

それでは、それぞれの役割をご紹介いたします。

【委託者】
もともとの財産の所有者で信託を依頼する人です。例えば、認知症になることに不安を感じている人や、2代先まで財産の承継先を決めておきたい人などが対象になります。
受託者と信託契約を締結し、財産を移転します。これによって委託者の財産の管理や処分は、受託者に委ねられます。

【受託者】
委託者の信頼のもと、財産の移転を受けてその名義人となります。そして信託財産を受益者のために管理・処分し、利益を受益者に分配します。

【受益者】
信託財産から出る利益の分配を受ける人です。委託者と同じ人物になるケースが多いですが、別の受益者を指定することもできます。利益分配を受けるので課税対象者にもなります。

3.高齢者の財産管理に有効
超高齢社会の日本において、高齢者の財産管理が課題となっています。

総務省統計局の調査では、日本の総人口に占める65歳以上の割合は27.7%で、前年・27.2%と比較すると0.5ポイント増となっています(平成29年9月)。

高齢となり、病気や判断力の低下などにより自身で財産管理ができなくなった場合、家族信託は財産を管理するうえで非常に有効な制度です。

信託を開始したあと、委託者が自分で財産管理などができなくなっても、受託者が代わりに行ってくれるので安心です。

4.信託の方法
信託は「信託契約」「遺言」「信託宣言」の3つの方法により設定することができます。

〇信託契約
委託者と受託者が信託契約を締結して信託を設定する方法です。信託の効力が発生するのは契約を締結した時点となります。

〇遺言
委託者が遺言を作成し、遺言書のなかで信託の内容を定める方法です。委託者が死亡した時点で信託の効力が発生します。
〇信託宣言 
委託者が自ら受託者となって信託を設定するので、自己信託とも呼ばれます。公正証書の作成等によって行います。

5.信託契約による家族信託(民事信託)の流れ
家族信託を開始する場合、通常は信託契約によることになります。信託契約を締結して家族信託を行う手続きの流れは、次のようになります。

信託の内容を決める
信託の内容を決めるためには、まず信託の目的を明確にすることから始まります。

信託には必ず目的があります。資金を運用して収益を得ることであったり、また高齢者の資産を管理する信託では、高齢者の健全な福祉を実現することであったります。

次に財産の内容を把握し、財産目録をつくりましょう。そのなかから、何を信託財産とするのかを決めます。信託財産は委託者の財産から分離され、受託者のもとで管理、運用されます。金銭、不動産、有価証券、生命保険、年金、事業など、様々な財産が対象となります。

さらに、受託者・受益者・信託監督人・受益代理人に誰がなるかを決めます。委託者・受託者・受益者は、信託成立のために必要ですが、信託監督人・受益代理人は、無くても信託としては成立します。第2受託者や第2受益者を定めることもできます。そのうえで、委託者の希望を信託行為に組み込んでいくこととなります。

信託期間あるいは信託の終了事由、残余財産の帰属先なども、あらかじめ決めておく必要があります。

家族信託契約書を作成し、契約を締結
決めた内容をもとに契約書を作成し、信託契約を締結します。
契約書は合意した内容を書面にして、署名、捺印した私文書でもかまいませんが、偽造や紛失の恐れがない公正証書で作成することをおすすめいたします。

各種手続きをする
必要な手続きは信託内容によってさまざまです。
金融機関への連絡や口座の開設、金銭の移動、口座振替の変更手続きなどがあります。信託財産に不動産が含まれていれば、信託登記が必要です。

一連の手続きは、弁護士や司法書士といった法律の専門家にコンサルティングを依頼し、相談しながら進めていったほうが良いでしょう。


この記事を書いたプロ

小川文子

大手都市銀行や外資系資産運用会社等の金融出身の女性弁護士

小川文子(恵富総合法律事務所/コンサルタント)

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