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時任真幸

アスレティックトレーナーとしてスポーツを支えるプロ

時任真幸(ときとうまさき)

神村学園専修学校

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コラム

捻挫等急性スポーツ外傷の応急処置にはRICE処置

足関節模型
【概要】
RICE処置とは,スポーツ外傷で多い捻挫や打撲などの応急処置方法で,安静(rest),冷却(icing),圧迫(compression),拳上(elevation)の4つの処置をそう呼んでいます。
ケガの直後にこの処置をすれば,ケガの悪化を防ぎ治癒を早めることができます。

【本文】

間違った方法で悪化するリスクもある。正しい捻挫の応急処置とは


つまずいて転倒した時に,手や足で支えようとしたら普段と違う動きが瞬間的に加わってしまい激痛が走ることがあります。
捻挫は,このようにちょっとしたことがきっかけでおこります。

捻挫は,擦り傷や切り傷で出血するのとは違い,ケガをした患部が腫れるのに少し時間がかかります。
そのため,つい放置して手当てが後回しになってしまい,数時間後に改めて患部を見て,その腫れ具合に驚いてパニックになってしまうことが多いのではないでしょうか。

捻挫をしたなと思ったら,その応急処置で一番大事なことは「患部を動かさない」「冷やす」ことです。
まずはこの処置をすぐに行いますが,その次の段階まで応急処置を進めることが出来れば,ケガの悪化を防ぐだけでなく回復も早くなります。

その方法について,特に捻挫を始めとするスポーツ障害時の応急処置方法には,"RICE"という応急処置法があります。

憶えておけば役に立つ捻挫応急処置のキーワード: RICE


RICEとは,
Rest: 安静
Ice:  アイシング(冷却)
Compression: 圧迫・固定
Elevation= 拳上
の頭文字で表す 米国発祥の応急処置技術です。
捻挫以外にも色々なスポーツでのケガの応急処置の基本として,憶えておきましょう。

Rest: 安静


ケガをした場所は,そのまま動かし続けることで悪化し回復を遅らせます。
安静にすることで早く回復します。動かさないといっても程度にもよりますが,絶対安静とかの意味ではありません。この安静というのは,患部を動かさないという意味になります。

下肢(足)のケガであれば関節機能の回復に合わせて両松葉杖→片松葉杖→杖なし歩行と徐々に馴らしていくと良いでしょう。

足関節の捻挫で,片松葉杖で歩く際,痛みが強くて片松葉杖が許可されていてもうまく歩けない場合があります。これは,腫れによって関節の可動域(動く範囲)が十分でない場合があります。この時は補高といって,踵の部分を特殊なスポンジによって,高くしてあげると歩きやすくなります。

スポーツ外傷による捻挫は関節であり,打撲は筋肉であることが多いです。関節には関節液という水分が極少量含まれていて,これにより関節運動がスムーズになります。しかし,捻挫による障害によって,関節内で出血することがあります。関節を動かすことで,出血がひどくなる場合があります。また,筋肉の打撲も筋肉内で出血が起こることがあり,同様の理由で安静が必要になります。期間としては2日間48時間が目安となります。

Ice:  アイシング(冷却)


痛みの軽減と腫れや炎症を抑える効果があります。
冷やすことで血管が収縮し出血の拡大を防ぐことができます。

先程の,安静の所でもお話ししたように,関節内での出血は,関節の可動域(動く範囲)が小さくなってしまいます。それによって,その後の機能障害を引き起こし,スポーツ復帰が遅れてしまいます。

また,筋肉内での出血は血腫という血の塊が筋肉の可動域(動く範囲)を狭めてしまいます。これらを防ぐ理由でIcingを行います。

Icingは,「冷やす」・「休む(冷やさない)」を繰り返します。
皮膚感覚が無くなれば冷却を中止し,戻れば再開することを繰り返します。
15分~20分冷却し,15分~20分休むのを1日に何度も繰り返します。
特にケガの直後は,冷湿布をするよりも氷嚢(ひょうのう)を使うのが効果的です。
ケガから2日目まで48時間これを繰り返します。
夜はもちろん,昼間もですがIcingは「寝落ち」に注意しなければなりません。
私が病院に勤めている時,陸上のジュニアオリンピックに出場するような若いアスリートが,自己管理下の練習時,昼間のIcingで寝落ちしてしまい,低温やけどして病院に来院したことがあります。それによって,皮膚科の治療も必要になり,復帰が大幅に遅れてしまいました。

アイシング

Compression: 圧迫・固定


捻挫は,患部を支えている靭帯が損傷しているため,患部を安定に保つためにも靭帯を固定しなければなりません。
副木,テーピング,包帯などを使って患部の固定を行います。

Icing時の圧迫は,出血を吸収させるのに効果的です。練習後,移動しながら冷却・圧迫できるので,写真のような伸縮バンテージと氷嚢を個人で管理し,捻挫等はなくても痛みや炎症があるような部分には予防的に行うと良いでしょう!プロ野球の投手なんかも投球後,肩と肘を大げさなぐらい冷やして圧迫していますね。今では当たり前のように見かけますが,これをチームに浸透させるのにはアスレティックトレーナーや理学療法士などによる正しい指導が必要になります。

また,ここも注意が必要でテーピング等による過度の圧迫は循環障害を引き起こし,治癒を遅らせる原因となります。したがって,テーピング等は可能であれば正しい理解で正しく巻くことができるアスレティックトレーナー等行ってもらうか,そのアスレティックトレーナーに正しく指導してもらい,選手個人で巻けるようになりましょう!
また,テーピングの有効期間は長くても3時間程度です。練習が終わったら外すよう心がけましょう。

アイシング&圧迫


Elevation= 拳上


患部を心臓より高い位置に持ち上げれば,重力の作用で心臓から出た血液が静脈に戻りやすくなり,腫れを抑える効果があります。
手の捻挫なら三角巾を使い手を上げた状態を保つことや,足の捻挫の場合は寝た状態で足を高い位置にキープするようにします。

挙上


受診前の素早い応急処置が捻挫の早期回復のポイントになります


スポーツ障害で最も多い捻挫は,見た目よりも回復に時間がかかるものです。
そして,場所や時間に関係なく起こるケガでもあり,病院で治療を受けるまでに時間がたってしまうことで悪化しやすいリスクがあります。

RICE処置を知り,医者でない人でも積極的に応急処置の知識を持っていることで,ケガをした人の痛みや不安をできるだけ早く取り除くことができます。

RICE処置は,スポーツだけでなく日常生活においてもとても役立つ知識です。

この記事を書いたプロ

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