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時任真幸

アスレティックトレーナーとしてスポーツを支えるプロ

時任真幸(ときとうまさき)

神村学園専修学校

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コラム

アスレティックリハビリテーション5つの段階とリハビリメニューの決め方

みなさん,こんにちは。
昨日までは「アスレティックトレーナーとは」について6回シリーズでお伝えしていきました。
本日から,少し具体的にケガの時の応急処置やリハビリテーションの方法等についてお話していきたいと思います。
まず本日はアスレティックリハビリテーションというケガからスポーツ復帰までの段階的リハビリテーションについてお話します。とは言っても具体的にはかなり複雑な話になりますので,一般の競技者や指導者向けの簡単な内容のみお伝えします。

アスレティックリハビリテーション1

【概要】
アスレティックリハビリテーションでは,ケガの回復と同時に競技への早期復帰を目指したリハビリテーションを行います。
そのメニューは大きく5段階に分けて作成されています。

【本文】

アスレティックリハビリテーションとは


スポーツ選手がケガをすることがあります。
この時,ケガの治療をするのはもちろんですが,アスレティックリハビリテーションでは,主にアスレティックトレーナーと医師やリハビリテーション専門職の理学療法士,競技のコーチなどが協力して,選手の体力や正常な筋力をできるだけ落とさないトレーニングも並行して行いながら,体の機能回復訓練を行っていきます。

一般的なリハビリテーション(医学的リハビリテーション)といえば,理学療法士から指導を受け日常生活復帰を目的として行いますが,アスレティックリハビリテーションでは,アスレティックトレーナーが,その段階よりさらに上のスポーツ競技復帰を目指します。

アスレティックリハビリテーションにおける到達目標は,対象者がスポーツ活動を受傷や発症前に実施していた同レベル以上で行えるようにすることです。しかし,対象者が有する身体的問題によっては希望通りにならないこともあります。外傷・障害とその重症度,競技に要する身体機能,競技レベルなどの兼ね合いにより,到達目標を設定することとなります。これは,医師や理学療法士を中心とした医学的リハビリテーションとの連携が必須です。

アスレティックリハビリテーションの5つの段階について


アスレティックトレーナーは,アスリートのケガの状況やスポーツの種類により,アスレティックリハビリテーションのメニューを作成します。

その内容はアスリートによりさまざまなものとなりますが,アスレティックリハビリテーションは5段階に分かれて行うように構成されています。
外傷部位(患部),患部以外のリハビリテーションやエクササイズに関わらず安全で効果的なアスレティックリハビリテーションを実施するために,段階的なプログラムの処方・進行を心がけましょう!

以下に一般的なアスレティックリハビリテーションの5段階について述べます。

第1段階-保護期・治療期


ケガをした直後の患部の炎症や腫れ,筋肉の萎縮や関節可動域の制限を速やかに取り除くため,患部を温めるか冷やすかのどちらかを適切に判断して実施する。また,痛みの出ない範囲でストレッチや,等尺性(関節を動かさないまま)での筋力維持練習を実施する。

第2段階-訓練前期・調整期


患部の腫れがなくなった状態で,その周辺の筋力を強化し,関節を安定化させる。また,筋持久力を向上させる目的で行う。

患部を温めて十分にウォーミングアップした後,痛みのない範囲でエアロバイクなどを使った心肺持久力アップ,チューブやダンベルを使って非荷重位のトレーニング,上半身,下半身別別にプッシュアップやスクワットなどの荷重トレーニングを行う。
患部外では,筋力アップ,運動協調性トレーニングや競技に合うトレーニング(例:サッカーならリフティング)などを行う。

スクワット


第3段階-訓練後期・活動期


競技練習参加を目指して,患部の筋力を7割程度まで増強させる目的で行う。
十分なウォーミングアップの後,患部については患部外の筋肉との協調性や巧緻性をもたせるトレーニング,患部外についてはランニングやダッシュ・ステップ,切り替えし動作を行い,ケガの再発防止を意識した内容を行う。
具体的には,フリーウエイトマシンを使用した筋力強化やバランスボードを用いたコアトレーニングなどを行う。

第4段階-復帰期


競技完全復帰を目標として,瞬発系・スピード系の練習,実践を視野に入れたシュミレーショントレーニングを中心に行う。
目的は,スピード強化,パワー増強,瞬発力の強化,実践経験と再発防止トレーニングなどである。
十分なウォーミングアップの後,患部のテーピングなどをしっかり行ってからスピードトレーニングを行う。
具体的には競技特性に応じたラダーなどのアジリティトレーニング,ジャンプ動作やコンタクト練習,部分的実践練習を行い患部安定性の確認を行う。
また,アスレティックリハビリテーションの初期に立てた復帰目標に到達しているかをチェックするため,筋力測定や50m走,12分間走,シャトルランのデータをとる。

足関節テーピング1




第5段階-再発予防期


再発予防を意識した最終期。筋力の保持や巧緻性の保持,さらには外傷・障害の発生転機を学習させ,競技特性も理解しながらトレーニングを続ける。
具体的にはチームスタッフ(指導者・マネージャー等)やチームメイトと協力しながら再発予防に関する注意事項を確認し,無意識に行っている動作の確認や,現在のパフォーマンスチェックを行う。
第4段階の競技復帰に向けたトレーニングでは,選手も乗りに乗っています。
この第5段階における様々な確認が競技復帰とパフォーマンス向上の鍵になります。
極端にケガを恐れてもいけないし,再発してしまえばチームにとっても競技者個人にとっても大きな損失です。協力体制をいかに整備するかがポイントになるでしょう!

アスレティックリハビリテーションを行う時の注意点


アスレティックリハビリテーションを行う時,最も大事なことは次の通りです。
■競技特性を踏まえたリハビリテーショントレーニングの処方
■段階的リハビリテーションを競技者本人はもちろんチームスタッフ,リハビリテーション関係者が十分理解していること
■再発や症状を悪化させないよう「リスク管理」を充分に考えたメニュー作り
■患部外トレーニングを安全かつ効果的に行い,競技復帰に必要な運動機能の強化を図ること
■長いリハビリ期間に起きやすいモチベーションの低下や焦りに対応した心理面でのサポート
■医学的な制限範囲の確認やひとつひとつの運動開始の判断などの指示を仰ぐため,ドクターとの連携を欠かさないこと

以上アスレティックリハビリテーションの考え方と基本的方法について述べさせていただきました。是非,理解を深めて競技者をサポートしていきましょう!

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