高い”デザイン性”と”住み心地”を兼ね備えた住宅を提案（2/3）

職人の伝統の技を次世代に伝えたい

　木材の肌触りや木の香り、釘を打つ音、汗を流して働く職人たち。実家が工務店だった杉下さんは、幼い頃から建築の世界を身近に感じながら育ちました。「物心付いた時から、五感で建築という世界を感じていたので建築に対する興味は自然に湧いてきました。小学校の卒業文集には『将来の夢は大工さんになってたくさんの家を建てること』と書いていましたね」

　とても身近な存在であった職人への漠然とした憧れを抱いていた杉下さんは、中学で建築の道に進むことを決意します。高校で建築の基礎を学び、大学へ進学。卒業後は大手建築会社に就職し、最先端の技術を身に付けながら実践的な経験を積みました。

　一度も迷うことなく建築の道を突き進んできた杉下さんは、5年後、地元岩手へ帰ることに。「やるんだったらやはり一社員としてではなく、自分自身の力で想いを込めて家を造りたかった」。
そんな建築一筋の杉下さんでしたが、実家に戻ったばかりの頃は大手企業とのギャップに驚いたこともあったそうです。「大手企業では監理の方法や作業の手法などがとても効率的だったので、小さな工務店でのやり方にはじめは戸惑いました。しかし、働くうちに大企業には大企業なりの、中小企業には中小企業なりの良いところがあることに気が付きました。小さなことでも気軽に相談でき、お客様一人ひとりのお話に親身になって耳を傾けられるところが小規模の良いところです。また、職人の伝統的な技術は、小さな工務店だからこそ持ち合わせている素晴らしい技術です。これからそうした技術が失われないよう、次世代に伝えていくことも自分の役割だと思っています」

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【次ページ】“一棟入魂”一つひとつの家に込める想い

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