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コラム
認知症を考える(3)
2021年5月24日
大切なのは行動の根底にある「思い」を探ること
夜中に歩き回る、食事や入浴を拒む、幻覚や妄想を訴える。認知症高齢者が繰り返す様々な行動が、介護施設などで問題視される例は枚挙にいとまがない。受け入れの継続が困難をほのめかされ、困惑する家族も。最近はコミュニケーション技法を導入して改善を促す施設や病院が登場している。
グループホームなどの介護施設は、ケアが難しくなった利用者の退去を求める際は、他の施設や病院を紹介するよう自治体のガイドラインを定めている。施設側が利用をはっきり断る例はまれだが「他の利用者が迷惑している」「職員が疲弊する」といった遠回しな表現で伝えてくることが多い。
ケアの継続が難しいとされた認知症高齢者を、介護施設併設・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などで積極的に受け入れている現場では「バリデーション」と呼ばれるコミュニケーション技法を実践。言葉で意思疎通が難しい利用者に対し、非言語のコミュニケーション傾聴を併用する。
施設での認知症高齢者の「問題行動」はこれまで、抑え込む対象とみなされてきた。高齢者が「家に帰りたい」と訴えても、はぐらかすのが一般的。バリデーションでは「家に帰って何をするのですか」「誰が待っているのですか」などと話を進める。肩や手に触れながら話したり、正面に座り向き合って高齢者の表情を再現したり、訴えの背景にある思いを語るように働きかける。精神安定剤などはほとんど頼らず「行動・心理状態(BPSD)」を消去しているという。
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