「よい着物をもっと身近に感じていただくために」。老舗だからできる充実の品揃えとアフターケア（2/3）

ヘアメイクと着付けのスキルを生かし、他店にはないきめ細かなアフターケアを実現

　濱上さんが二代目店主の誠さんと結婚したのは22歳。その時から、老舗呉服屋のおかみさん業への挑戦が始まりました。「若いころは早く年を取りたいと思ったことも。お客さまから信頼していただくためには、もっと年齢も経験も重ねたいと感じていました」と濱上さん。
着物のイロハを一から現場で学びながら、おかみさん業と三人の子供の子育てに奮闘する日々が続いたそうです。

　結婚前は美容師として活躍していたことから、当時の経験を活かして着物の購入者のアフターケアとして無料のヘアセットと着付けのサービスを開始。そのほかにも、着付け教室を開講するなど、おかみさんとしての細かな心遣いと着物に対する情熱で、着実に濱上呉服店のファンを増やしていきました。

「親子二代・三代で贔屓にしていただいている方も少なくありません。赤ちゃんの頃から存じ上げているお客さまが、成人式の着物を求めて来店なさったりするときは、その方の成長に立ち会わせていただいたようで本当に感慨深いですね」

　そうした長年の信頼に応えるべく、濱上呉服店では良質な商品をより安く提供し、呉服のプロとして質の高いサービスを提供するよう、日々努力を重ねているのです。そうした真摯な姿勢がおのずと評判となり、遠方から来店する顧客もしばしば。目の高い方たちから「ここは本当にいいものを置いているね」と声をかけられると、何とも言えない誇り高い気持ちになるそうです。

　誰もが認める着物のベテランにもかかわらず「まだまだ勉強することがたくさん。着物は本当に奥深いです」と話す濱上さんは、着物の良さと石川県の伝統工芸のすばらしさを再認識させてくれる数少ないプロのおかみさんといえるでしょう。

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