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松田勇

ホスピタリティ・サービスを実践する経営コンサルタント

松田勇(まつだいさむ) / 経営コンサルタント

株式会社セルネット

コラム

第18回 能面の世界を知る能面は、作者その人の心の鏡である

2021年4月5日

テーマ:おもてなしサービス…コラム全集

コラムカテゴリ:ビジネス

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般若の面など、能面を打つ面打師、Kさんという人がいる。
能面は、端正・可憐な若い女性の内面の美しさを併せ持つ「小面(こおもて)」、女性の嫉妬、怒り、悲しみ、恨みを表現した「般若」、憂いを含んだ、品性のある顔立ちの美人女性「増女(ぞうおんな)」、目元、口元に媚を含む、表情豊かな人間的な「万媚(まんび)」、他に橋姫など多々の能面があるらしい。
いずれも人間の憎悪、喜び、悲しみ…の感情を、手先器用に「のみ」を持って削り取り、表現していくらしい。
人間の感情を表現するものが“能面”である。

能面に映るものは、作者その人の心である。
人の心は諸行無常。
移り変わるものであるなら、心を映す面打ちの作は100体100様であり、1つとして同じものはない。

ヒノキの原木を台木として据え、のみをして面に表していく。
作者の感情の波動が同調・同化し、面となっていく。
能面に映し出す面影をイメージし、ただ一点に向かい彫り続ける…。
そこに何かの芯が見えてくるそうだ。
人間の感情・波動を手技を通して形作る。
作品には、機械づくりにはない味わいがある…色即是空の世界かも知れない。

今の世の中、デジタル化社会ー。
以前にテレビに映し出していた滋賀県長浜市にある650年前の能面を、3D(立体画像)を使って精巧に作り上げるそうである。見事な模倣である。

しかし、実物そのものであっても何かが違う。
3D能面には感じるものがないのだ。
そこには機械と手技の違いがあるのだと思う。

手技は、その作者の心の思いが波動を通して伝わっているのか、面が息づいている。
人の増悪や憎しみ、喜び…の感情が、面より語りかけるものがある。
デジタルは単に形であり、アナログは心が表現されている。

日本の伝統文化の美しさは、作者の息づく感性、心の表現の美しさであり、そこに人間の感動があるのだと思う。

失われゆく心、それが今のデジタル化社会だと思う。

人が人と触れ合う、心の文化創造。
アナログ社会の再考を、今の日本に問う必要があるのではないか。
心を添えてこそ、おもてなしであり、能面の真を知り、息づく人間社会の有様を私に教えてくれた能面作者K氏の存在であった。

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