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懲戒解雇を黙っていた従業員を解雇することはできるか。

2019年7月5日

テーマ:労務管理

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 解雇 条件退職 手続き

経歴詐称で採用した従業員を解雇することはできるか、
という相談がありました。

その従業員は採用面接時に前職の退職理由を偽っていたということです。
本当は懲戒解雇になっていたにも関わらず、
面接の際には、自己都合退職、と話していたとのこと。
履歴書にも一身上の都合による、と書かれていたといいます。
採用担当者は、この方の転職回数が多かったので、
退職理由についてはしっかりと質問をしたそうです。

さて、このような従業員を解雇することができるのでしょうか。

裁判例によると、解雇が認められる重大な経歴詐称とは、
その事実が事前に判っていればその労働者を採用しなかったか、
少なくとも同一条件で労働契約を締結しなかったという程度の経歴詐称であり、
客観的にみても解雇が相当であるものとなります。

これに照らし、懲戒解雇を自己都合退職と、偽った場合はどうでしょうか。

懲戒解雇を前職で受けたということは、
何かしらその会社の逆鱗に触れたということです。
そもそも懲戒解雇自体が厳格なルールの下でなされるものですので、
今の時代に懲戒解雇を連発する会社なんてありません。

とすれば、事前に懲戒解雇を受けた人と分かっていたら、
採用を拒否、少なくとも同一条件では採用をしなかったと思われます。

もちろん人である以上、ミスや過ちを犯すこともあります。
採用時にそれを隠したい気持ちもあるでしょう。

が、それを「隠し」、入り口である採用場面で「嘘をついた」ことは、
信頼関係がベースの労働契約において今後の労使関係にも大きな影響を与えます。

よって、このような従業員を解雇することに
一般的にも理解を得られるのではないでしょうか。

以上より、採用時に懲戒解雇であることを黙って、
聞かれていたにもかかわらず嘘をついていた場合には、
重大な経歴詐称といえ、解雇もできると考えます。

この記事を書いたプロ

三谷文夫

労使ともに幸せになるための労務管理のプロ

三谷文夫(三谷社会保険労務士事務所)

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