海外調達をやってみる⑤ < 為替ヘッジ >
半導体デバイス需給の実感
11月11日大きく円が持ち直しました。
専門家は日米の金利差が縮まらない限り円安が続くと指摘していましたが、この日は金利差が縮まったわけでなく物価上昇が予測値を下回ったというだけで円安が止まりました。
これを予測した学者、専門家はほぼ皆無だったように思います。
たとえ専門家であってもこれから起こることを正しく予測することは難しいことです。
もしかするとそれは、プロが過去に獲得した知識や経験、成功体験の中に正解のネタがあると無意識に考えてしまい、そこから回答を導き出す傾向があるのかもしれません。
これでは将来を予想するには柔軟性が欠如しているように思います。
私も購買、調達のプロとして過去の成功体験、やり方に囚われることなくいろいろな考え方、やり方を柔軟に吸収して、応用できるよう研鑽したいと意識しています。
COVID-19は世界経済を停滞させ、不況の発端になりました。
各国が景気対策を打ち出すなかアメリカの消費が旺盛で、アメリカ向けの輸出が好調でした。
この消費と港湾の荷捌き人員不足によって世界的コンテナ不足が発生しました。
また一部電子機器の好調やEVへの急速なシフトによる半導体不足が顕在化しました。
-国際物流-
日本でも入国制限が撤廃されて旅客便が増え、航空貨物はほぼ正常に戻りました。
船便も便数が増え、海外から日本へ直行する便も元に戻り始めました。
ただ燃料費が高騰したままで送料は高止まりしています。
-半導体需給-
供給不安は解消されていませんが、少しずつ改善しています。
供給量増加と実需に即した冷静な注文が大きいです。
そういう点では需要旺盛な車載が減産を決めたこと、中国のゼロコロナに対する諦めが非常に
大きいと思います。
-戦争による半導体輸出規制-
アメリカによる半導体販売規制は、市場を冷ますだけでなく従来の商流を根本から変えました。
-対象-
インテル、NDIVIA、テキサスインスツルメンツやアナログデバイセズなど米系企業
-経緯-
去る8月15日、これら米企業が世界の注文のほぼ全てを突如取消しました。
例外は、メーカー直販か正規代理店の顧客だけという有様です。
一次店と取引していないユーザー注文は削除対象でした。これはオンラインストアも同様です。
この措置は、実需を伴わない転売目的のブローカー注文を0にしました。
また日本の代理店は在庫を持ちすぎると指摘され、在庫数の見直しが入りました。
こうしたすぐに使わない部品を無駄に持たないよう調整が進みました。
昨年の今頃に比べてるとだいぶ需給改善し多様に思います。