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藤本尚道

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藤本尚道(ふじもとまさみち)

「藤本尚道法律事務所」

コラム

「無縁墓」があぶない

弁護士のひとりごと

2013年6月10日

 墓地には、管理者の違いによって、村落墓・寺院墓・民間霊園・公営墓地など、様々な形態がありますが、どこの墓地にも、古い墓石が積み上げられた一角があります。いわゆる「無縁墓」と呼ばれるものです。

 核家族化や少子化、未婚率の増加などの影響からか、お墓の使用権者が亡くなった後、お墓の権利義務についての承継手続が行われない事例が増えているようです。承継手続そのものを知らない場合もあるでしょうし、縁故者が遠方に移り住んだためお墓にまで手が回らない場合もあるでしょう。

 墓地の管理者は、管理費の未納や郵便物の「宛先不明」による返送などの現象により、使用権の承継に問題が生じたことを知ることになります。ただ、相続人など承継者を探す作業は必ずしも簡単ではないので、短期間のうちに無事に解決できることは少ないようです。

 管理費の未納は管理者側の財政を直撃しますし、お参りをする人がいないお墓(放置墓)は月日の経過により確実に荒れてしまいます。「放置墓」の存在は、墓地全体の雰囲気を暗くしますので、けっして他人事ではありません。

 そこで、このような無縁化した墓地を更地に戻すために、埋葬された遺骨を他の場所に移す「改葬」の手続が必要になります。「改葬」にあたっては、墓地の使用者や縁故者などが存在しないことの証明が必須です。具体的には、死亡者の縁故者及び無縁墳墓の権利者に対し、1年以内に申し出るよう「官報」に掲載(公告)する一方、無縁墳墓の見やすいところに官報と同内容の立札(看板)を設置します。立札の設置期間は1年です。

 その後、市町村長の「改葬許可」を得て、無縁墳墓の墓石を撤去し、遺骨を慰霊塔や納骨堂などに移し、墓地を更地に戻すことで、改葬手続は終了です。これにより墓地は「再生」され、新しい利用者による使用が可能になるわけです。

 さて、たとえ何代かは供養してくれる子孫がいたとしても、縁故者が遠方に転居したり、子孫が途切れたりすれば、必然的にお墓は無縁化してしまいます。子々孫々まで永代にわたり供養してもらえることなど「夢のまた夢」であり、お墓の多くが何時かは無縁化する運命をたどるのではないか…などと考えてしまいます。

 ライフスタイルの変化もさることながら、死後の供養のスタイルについても、大きな意識改革が迫られる時代に入ったような気がしてなりません。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
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