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コラム

バス事故の「真犯人」は誰か?

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2012年5月6日 / 2012年5月9日更新

 今回の夜行バスの事故は、運転手の「居眠り運転」が原因とされています。バス会社側は、運転手が「直前3日間は勤務していない」として、加重勤務シフトに基づく過労運転ではない旨をしきりに弁明していたのが印象的です。

 しかし、この運転手は「スポット契約」つまり「日雇い労働」であったことが判明しました。これは明白な法令違反です。「旅客自動車運送事業運輸規則」の第36条は「旅客自動車運送事業者は、次の各号の一に該当する者を前条の運転者その他事業用自動車の運転者として選任してはならない。」と定めています。ここにいう「各号」とは以下の1~4です。
  1  日日雇い入れられる者
  2  2月以内の期間を定めて使用される者
  3  試みの使用期間中の者
  4  14日未満の期間ごとに賃金の支払いを受ける者

 上記法令がこのような「短期雇用者」を運転者としてはならない旨を定めている理由は、そういった雇用形態では、運送事業者の運転者に対する安全管理・監督が十分に行き届かないことを危惧したからです。殊に「日雇い」だと、働いていない期間の運転者の行動が把握できません。幾つかの会社を掛け持ちして、連日運転業務に従事している可能性も否定できないわけです(現に、逮捕された運転手は、別途個人名義のバスを保有し、無許可で観光バス事業を営んでいた疑惑が浮上しています)。その意味で、今回の事故は、まさに「危惧されていた事態」が起きただけ…と言っても過言ではありません。

 思い起こせば、小泉純一郎内閣は、「規制改革」の美名のもとに種々の規制緩和政策を敢行しました。自動車運送関係だけでも、①タクシー台数の制限撤廃、②貨物自動車運送業への新規参入の条件緩和、そして、③バス運送事業への新規参入の緩和…などが挙げられます。いずれの業界でも、「価格破壊」が進み、一見すれば消費者にとって喜ばしいことのように見えました。しかし、その反面では、零細業者が乱立し、各社間の競争の激化などが進んだ結果、運転手の収入が大幅に減少するとともに、運転手の労働環境悪化、過重な長時間労働、過労による重大事故の増加などの由々しき事態を招いています。

 今回のバス会社が、法令に違反してまで「日雇い労働」の運転手を乗車勤務させた理由は、運転手をスポットで雇い入れることで会社の労務費負担を軽減させようと考えたからに他なりません。価格競争の「しわ寄せ」は労働者に及び、そのツケは消費者(乗客)の安全に向けられたというのが実情です。

 「見えざる手」による「価格破壊」は、結局のところ、我々消費者(乗客)の安全を大きく脅かすことになったというのが結論です。その意味で、今回の事故のホントの「真犯人」はいったい誰なのか、真摯に考え直す必要があると思います。

兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
http://mbp-kobe.com/lawyer-fujimoto/

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