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河口千弥

世界各国で潜ったダイビングインストラクターのプロ

河口千弥(かわぐちちや)

株式会社カナウ

コラム

スキューバダイビングで安全に浮上するポイント

ダイビングで水中の世界を楽しんだ後、陸へ戻るために行う浮上は安全にダイビングを終えるために重要なスキルなのですが、ダイビングを終える安心感もあり、気がゆるんでおざなりになってしまうことがあります。

しかし、浮上を失敗するとその時のダイビングの思い出が台無しになってしまいます。安全性の面で大切な浮上のポイントをご紹介します。

ダイビングの終盤。水中から戻る時になぜゆっくり浮上するのか

ダイビングを終えて浮上する場合に、急いで戻ろうとして速いスピードで浮上したらどうなるかというと、肺の中の空気が水圧の変化で膨張して破裂するといった危険があります。

さらに、ダイビング中に体内に溶け込んだ窒素が気泡となって体の組織を圧迫したり壊したりする可能性もあります。

水深5mでの安全停止後にあっという間に浮上してしまう人がいますが、本来なら30秒以上をかけてゆっくりと水面に上がるようにしましょう。

安全にダイビングを終えるには、「ゆっくりと浮上すること」が重要です。

ダイビングの重要なスキルである浮上のポイント

浮上する時は、バディ同士でお互いに浮上のシグナルを出して意思疎通を行います。

そして、浮上開始時間を確認し、右手を頭上に伸ばして左手をパワー・インフレーターの排気ボタンに添え、ホースを持ち上げてBCの空気を抜き、浮上準備を行います。

この時に空気が抜け切っていなくて、浅いところにいくと浮力で急に浮いてしまうことがあるので、余分な空気が残っていないか確認しましょう。

この時点で沈みがちであれば少し空気を残しておき、水深が浅くなるにつれて排気しながら、微調整しながら浮上しましょう。しかし、少し難しいテクニックなので注意しながら行ってください。

BCの空気が抜けたら、上を見上げて手を上げてゆっくりと体を回して頭上に何もないことを確認しましょう。頭上の安全を確認したら、フィンキックをしてバディ同士で浮上します。息を吐きながら浮上するのが基本ですが、息が吸いたくなった場合はいったん止まって息を吸います。

ダイビングの浮上速度と安全確認について

ゆっくり浮上するといってもどれくらいかわかりにくいと思います。一般的に浮上速度は1分間に18mが目安です。1秒間でいうと30cm程度。「自分が吐いた泡の中で、一番小さい泡を追い越さないスピードで浮上しましょう」とよく言われると思います。

水深3m~6mのところで3分間安全停止を行います。適度に体を動かすと窒素の排出が促進されます。上体が浮き沈みしにくいよう、水平姿勢で常に一定の水深をキープしましょう。

水深が浅いほど圧力の変化が大きくなるので、最後の6mは1分間9mとさらにゆっくり浮上することをおすすめします。大体1秒間でいうと10cmほどなので、思っている以上にかなりゆっくりのスピードを意識してください。

ゆっくり浮上していると「周りに迷惑を掛けているのでは」と錯覚してしまうことがあるのですが、ゆっくりすることが安全につながるので心配はいりません。

また、浮上する場合の安全確認をインストラクターに任せっきりにしていませんか?水面の安全性は高いのですが、他の船舶が近づいてくることがあるかもしれませんので油断は禁物です。必ず水面を確認しながら浮上することが大切です。自分の安全は自分で確保すると心得てください。

そして、バディが近くにいるかどうかや、浮上するグループを間違えていないかなど、しっかり周囲を確認しましょう。

ダイビングを終了するために浮上したら浮力を確保しよう

浮上して水面に顔が出たら、BCに空気を入れて浮力を確保しましょう。それまでマスクやレギュレーターは外してはいけません。もし、水面に出てすぐにマスクやレギュレーターを外したら、浮力を確保できていないので沈んでしまいます。

最悪の場合は溺れてしまう人もいるため、必ず浮力確保を行ってください。浮上したらすぐに落ち着いてBCを膨らませて浮力を確保します。波が高い場合は少し多めに給気するようにしてください。顔に水がバシャバシャとかからない位置に浮力を確保できます。

ビーチダイビングとボートダイビングで違う浮上のポイントとは

ビーチダイビングは、なだらかに水深が深くなる地形が多いのが特徴です。このビーチダイビングの際は、移動に伴って浮上するケースが多いです。安全停止も移動中にできたり、浅場でフリータイムを兼ねて行うケースもあります。自然に浮上することが多いのですが、水深が急に変わる地形のビーチではゆっくりとした浮上がポイントです。

ビーチダイビングとは違い、ボートダイビングは真上に近い角度での浮上になるケースがほとんどです。ボートの下の水深によりますが、中層で中性浮力を使うか、ロープにつかまるかして安全停止を行います。

流れがあるポイントの場合は、ロープでの安全確認がおすすめです。ボートの下の水深が5m前後やボートの近くに浅場がある場合は、フリータイムを兼ねた安全停止を行って浮上することもあります。

浮上してボートの周辺に近づくと気持ちが焦って浮上速度が速くなるケースが多いので、「ゆっくり」を心がけて気をつけて浮上してください。

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