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今里寛

中小企業の経営労務のプロ

今里寛(いまざとひろし)

今里大西経営事務所

コラム

経営者・役員のための社会保険の仕組み基礎講座

2016年7月9日


会社を設立すれば社会保険には必ず加入しなければなりません。ただ加入に際して、経営者や役員も従業員とまったく同じ条件なのかというとそうではありません。

例えば会社と従業員との契約は雇用契約です。これに対し会社と役員との契約は委任契約です。つまり会社と雇用関係にあるわけではありませんので、雇用保険には加入できません。労災保険も一部を除いては従業員のための保険です。

しかし実は厚生年金や健康保険も、法律上では「適用事業所に使用される者」というのが加入の条件となっています。となると経営者や役員は社会保険には加入しなくともよいのでしょうか?今回は経営者、役員のための社会保険の基礎的な情報をご紹介します。

厚生年金、健康保険は役員の加入義務はなし?

健康保険法、厚生年金保険法どちらにも加入の条件として「適用事業所に使用される者」という表記があります。これだけを見ると経営者、役員は「適用事業所に使用される者」ではないため、加入しなくてもよいということになります。しかし現在、実際にはほぼすべての経営者、役員が健康保険、厚生年金に加入しています。

これに関しては、法人の代表者または業務執行者の社会保険資格について、昭和24年に出された行政通達によって明文化されています。以下、文章を一部抜粋します。

「法人の代表者または業務執行者であっても、法人から、労務の対償として報酬を受けている者は、被保険者の資格を取得させるように致されたい。」

これによって、経営者、役員であっても健康保険、厚生年金には加入資格があるものとなっています。

経営者、役員は無報酬であっても社会保険に加入しなくてはいけないのか?

起業したての経営者で、まだ売上が立っていないため無報酬にしているという方もいらっしゃると思います。役員は無報酬でも法令違反にはならないため、それ自体は問題ありません。問題は「無報酬であっても社会保険料を払わなくてはいけないのか?」ということです。
現実的には無報酬の役員は、年金事務所の方から会社の社会保険加入を断ってくる可能性が高いといえます。この場合、社会保険ではなく国民健康保険と国民年金に加入ということになります。

注意しなくてはいけないのは、もし結婚されている場合、配偶者やお子さんたちを扶養にできなくなるという点です。そのため、できれば無報酬ではなく社会保険料が支払える程度の報酬は受け取るようにした方がよいでしょう。

役員報酬額と社会保険料の決定方法

役員報酬の決め方は、会社の経営状況や自社と同規模の会社との比較、自身の毎月の生活費などさまざまな項目を加味して決められると思います。

ここでは、社会保険料の観点から役員報酬の決め方を見ていきます。

例えば厚生年金の保険料は以下の計算式で決定します。

標準報酬月額×厚生年金保険料率=厚生年金保険料(会社負担+本人負担)

ここでポイントとなるのが厚生年金保険料率です。現在、厚生年金保険料率で定められている標準報酬月額の最高額は62万円です。これは厳密には60万5千円以上となります。

これがどういうことかというと、月額の役員報酬は62万円を超えると後はいくらであっても厚生年金の保険料率は変わらないということです。

もちろん報酬が高額になれば、所得税など税金は高額になりますので、必ずしも62万円以上の方が得だということではありません。しかし社会保険に限っていえば、この62万円という額が一つの役員報酬の目安にはなるでしょう。

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