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遠藤亜紀

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遠藤亜紀(えんどうあき)

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コラム

実家の片づけは捨てるだけではない。親の暮らしを支えるそれ以外の方法

シニア世代の片づけ

2016年5月4日 / 2018年4月14日更新

「実家の片づけ」が巷で話題に上るようになってから、それまで気にならなかった実家の状態に、目がいくようになったという人は少なくないかもしれません。緊急性のない程度に雑然としている場合であればやり過ごすこともできますが、暮らしが立ち行かないほどとなると、そうもいきません。帰省中の短い滞在日数の中で、できる限り改善してあげようと考えます。

今は亡き母が独り暮らしをしていた実家も、そのような状況でした。ガンを患い余命を宣告されていた母は、抗がん剤治療のせいもあり、かなり体力が落ちていました。雑然としていたというより、母の身体能力と家の仕様が見合っていなかったのです。遠距離なうえに、そうしょっちゅう帰ることができない事情がありました。そのような状況下で、母がなるべく問題なく暮らせるように考えた工夫をいくつかご紹介します。

寝室の移動


ガンが分かるや否や、急に体力が落ちるわけではありません。最初の数年間は、それまでと変りなく生活ができました。ただ、そうはいってもゆるやかには低下していきます。そのうち母は、階段を上がると息が切れると言い始めました。当初、寝室は2階にあったため、1階の和室を寝室にしてはどうかと提案したのですが、そこは来客用に空けておきたいと言います。泊まる予定の来客は、せいぜい私たち家族しかいないのですが、1階和室は客間、寝室は2階主寝室と言い張り、頑として提案を受け付けません。

そこで、2階で寝るのはいいとして、とりあえず1階にもベッドを置くことを納得してもらいました。来客用ベッドという提案の仕方です。そうしておけば、2階に行くことができないと自分自身で気がついたとき、すぐに対応ができます。結局、その後すぐ1階の和室が母の寝室になりました。実際にベッドが1階にもあることで、寝室が1階にある生活が楽だと実感できたのでしょう。亡くなる数か月前からは、本当に2階へ上がるとはできなくなっていました。

本人の気持ちが固まるまで、できるだけ無理強いはしないことです。ただ、ふたつ目の選択肢も用意しておき、どちらも選択可能な状況にしておくと、移行がスムーズになります。



階段に目印


実家の庭にウッドデッキがありました。ステップを使って庭に降りるようになっていたのですが、そのステップの色は、濃い茶色。太陽の照り返しがあると、段差がよく見えません。元気な頃は、毎日庭の手入れに精を出していた母。何度もそこを上り下りしていたはずです。見えにくくて危ないから目印をつけようと提案したところ、「1段しかないのだから大丈夫」と言うのです。実は、ステップは2段。すっかり1段と思い込んでいました。見えにくいだけでも危ないのに、数を間違えていたのです。いつ転落してもおかしくありませんでした。

高齢者の家庭内事故の9割は、転倒や転落によるものという統計があります。事故が予想される場所は、なるべく先回りして改善しておくに越したことはありません。すぐさま近所に住む弟に連絡して、ステップ先端にペンキでマーキングしてもらいました。



食器棚の配置換え

食器棚の中の食器の配列に、かなりバラつきがありました。もともとは、人を家に招き入れ食事をふるまうのが好きな人だったので、客用皿や大皿が庫内の使いやすい場所をかなり占領していました。実は、その頃には圧迫骨折を患い、なるべく横になっている必要があったのです。当然、客をもてなすような機会はありません。それどころか、なるべく短時間で自分の食事の用意ができるよう、食器棚内の配置換えをする必要がありました。

ただ、片づけといえば捨てられると構えていた母は、食器棚の整理を嫌がりました。また、本人の中では、状態が良くなればまた人を招待できると信じてもいました。そこで、まずは「絶対捨てない」と約束したうえで、普段から使っている皿とそうでない皿を教えてもらいました。食器棚まで来て仕分けをしてもらうわけにはいかなかったので、タブレットに撮った画像を見てもらいながら、指示を受けました。それに沿って、よく使う皿を使いやすい場所へ、客用など使わない皿を棚の上下に振り分け、大皿はキッチン隣のユティリティーの棚に移動させました。

捨てられると思わせてしまうと、身構えて協力してくれなくなります。実際、全てが収まるスペースがあるのなら、無理に捨てさせる必要などないのです。問題なのは、使うモノと使わないモノが一緒くたになって収まっていること。そこを解消してあげるだけで、環境はかなり改善されます。捨てられることに抵抗されて片づけが進まないくらいなら、思い切って「捨てない」と約束してしまった方がいいでしょう。





ゴミ捨て場の設置


そのように、かなり身体が弱ってきた母は、ゴミ捨てもままなりませんでした。実家には、玄関から門まで20段近い階段があり、そこが難所となっていたのです。生ごみは捨てないわけにはいきませんでしたが、それ以外のゴミであれば、何も無理して回収日に捨てに行かなくても、臭うことはありません。

そこで、階段下の収納庫をゴミ置き場にすることにしました。いろいろなモノが収納されていましたが、そこに置かなくてもいいモノばかり。例えば、手前の棚の奥には、もう一つ棚があり、手前の棚の死角になっている場所には、履いていない靴が詰め込まれていました。どう考えても、今後履くことはなさそうでしたが、捨てようとは言いませんでした。身体が弱っている母に対して、何かを捨てるように勧めるなど、死に支度を促しているととられかねない危険な行為です。気持ちが下向きになるようなことは言わずに、今は履かないだろうから、2階に保管しておくと伝え、実際棚にきれいに並べておきました。

そして、空っぽになったそのスペースに、溜まったゴミを置いておくように伝えました。回収は、近所に住む弟に任せます。近所とはいえ市が異なっていたため、その市の分別ルールを母に伝えました。



片づけは捨てることだけではない


そのように遠く離れていた実家ですが、弱っている母でもなるべく自力で暮らせるよう、帰省のたびに工夫しました。

昨今、親がモノを捨てないと、実家の片づけで悩む人が多いのですが、片づけは捨てることが目的ではありません。片づけることにより、親がなるべく自分の力で暮らせる環境を提供することが目的です。捨てることに抵抗されるなら、捨てないでもできるところから始めてみてははどうでしょうか。今回挙げた4例は、全て捨てないで改善しています。片づけは捨てることだけではありません。

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