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遠藤亜紀

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遠藤亜紀(えんどうあき)

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コラム

もったいない世代の実家の片づけ。片づかないのは捨てさせるから?

2016年4月9日 公開 / 2018年4月14日更新

テーマ:シニア世代の片づけ

もったいない世代の実家の片づけ


モノの溢れる現代社会と、「もったいない」と生きてきた親世代。現実と価値観の間に大きなずれがあるために、結果、「もったいない」と一生懸命ため込んだモノに家の中を占領され、かろうじて空いているわずかなスペースで細々と暮らす高齢者が増えています。





片づいていない家の弊害は、ただ単に暮らしにくいだけにとどまりません。床にモノが放置されている状態は、転倒の原因になりうる大変深刻な問題であり、暮らしにくい家は、親から自活する気力を奪いかねない危険があります。

そこで、それではいけないと考えた子供世代は、実家の片づけを申し出るのです。

ところが、せっかく親の暮らしを良くするために片づけていても、作業を始めるや否や親子間で揉めだしてしまうことがあります。家にあるモノひとつひとつで、捨てるのか捨てないのかで意見が割れてしまうのです。中には、そのことがきっかけで親子関係に亀裂が生じてしまうケースもあり、実家の片づけというのは、一つの社会問題にまで発展してしまいました。

捨てることだけで進める実家の片づけとその弊害


そこでさまざまな指南書が、実家の片づけを成功させるテクニックを提案しています。

例えば、「捨てる」と言わずに「片づける」と言ってみる、「孫が遊べるスペースを作りたい」と孫を引き合いに出し納得させる、また、3年間着ていなかった服は捨てるというルールを決めるなど、親のモノに対する思いを逆なでしないようにしつつ、片づける方向にどうにか気持ちを持っていく方法をアドバイスしているのです。

実は、これらの提案はあくまでもテクニック。この方法で根本的な解決を図ることは難しいでしょう。なぜなら、それらの根底にあるのは「捨てさせる」ことであり、もったいないと感じている親世代の気持ちとは対極にあるからです。

例えば、持っているモノの中からどれを残すか選び出すという片づけの進め方は、一度全てを捨てると仮定し、その中から改めて拾いだすというのと同じです。捨てることが前提になっているのです。

それらの指南書には、親の気持ちに寄り添いながら片づけを進めましょうとあります。ところが、手元に残したがる親世代の本心は、「捨てたくない」。捨てさせることで片づけを進めようとする限り、寄り添うことはできません。上述のようなテクニックを駆使し、寄り添う風を装っているだけなのです。

それでも、それによりその場の作業はともかく進むかもしれません。子供にそう言われた親が、「孫のために捨てなければいけないのだ」と自分の気持ちを押し殺し、「この服を着ることはもう絶対ないのだ」と自分を無理やり納得させれば、一見成功したかに見えるでしょう。

ただ、何十年と「いつか使えるかも」と取っておくことを当たり前に生きてきた人にとって、取っておいたモノを捨てるという作業は、身を切られるようにつらい作業であることは疑いようもなく、ましてや高齢ともなれば、その作業が人生の後始末のように感じられたとしても無理はありません。

そのため、せっかく家は片づいたものの、肝心の本人がすっかり気落ちしてしまう、「捨てさせる」ことを敏感に感じ取った親が、子どもと揉めてしまうなど、親のためにしたはずの片づけが、結果的にあだとなってしまうのです。

それは、「捨てたくない」「残しておきたい」という気持ちを、「捨ててもいい」という気持ちになんとかスライドさせて進めているだけの片づけだからです。心から納得して断捨離ができていないため、根本的な解決には至らないのです。



繰り返しになりますが、捨てることが前提の片づけでは、「もったいない」と思う親の気持ちに真に寄り添えることはありません。根底にある思いが、「捨てたい」と「捨てたくない」とで真逆だからです。そのまま片づけを進めても、満足する結果は得られないでしょう。

親の気持ちに添える片づけ法はない?


それは結局、「もったいない」世代の親の気持ちに寄り添える片づけ法はないということになるのでしょうか。

そうではありません。親の「もったいない」という気持ちに、本当に寄り添って片づけを進めればいいのです。

親の「もったいない」に寄り添える片づけとは


「もったいない」と溜め込んだモノは、「いつか使えるかも」という気持ちで手元に置いています。実際は、手元に残したことで安心してしまい、いつか使おうと思ったことなどすっかり忘れ、ただ置いているだけになっています。子どもに「これ、使わないのなら捨てていい?」と聞かれるまでは、その存在すら忘れていたモノなのです。

ところが、そう言われたことで再びそのモノの存在を思い出し、「いつか使えるかも」という思いがまたフツフツと沸き起こります。そして、「使うから取っておいて」「使わなかったじゃない」「使うから」「捨てなよ」と、もめ事の火種になってしまうのです。

そこで、この「いつか使うかも」という気持ちに、一度寄り添ってみます。再燃したその思いに共感してみるのです。

具体的に、「これは何に使えそうか」「どんなチャンスに使えそうか」とアイデアを聞いてあげてください。ポイントは、否定的にではなく肯定的に尋ねることです。非難めいた聞き方ではなく、興味深めに聞いてあげるのです。

予備のために取っておくのか、全く別の使い方をするのか、誰かにあげるのか、はたまたそれを使って何かを作り出すのか。そのアイデアに問題点があれば、一緒にその解決方法を考えます。あくまで活かそうという立場になって、一度とにかく「いつか使うかも」の気持ちにとことん寄り添うのです。



そして、使うイメージが湧かなかったモノだけ処分してもらうのです。イメージが湧かなければ、取っておいた本人も「これは使えない」と納得できるはず。万が一、それでも納得できないのであれば、いったん保管箱に入れ期限を決めて、その間にアイデアを考えておいてと一旦保留にすればいいのです。

また、その時に活かす方法が思いついたモノは、その時点で活かせばいいし、活かす方法が思いついたものの、今すぐ活かせそうになければ、その目的に沿って保管しておけばいいのです。使うイメージをカテゴリーのネーミングに込めれば、活かす可能性は高まります。保管期限を決め、その間に一度も活かされることがなかったら、その時点でもう一度考えましょう。

実はこの、一回活かすことを考えるという工程が大切になります。それを考えることにより、本人が満足できるのです。



大切なのは活かすことで生まれる充足感


使わないモノをただ捨てさせる片づけ方では、そのモノに対して不完全燃焼な気持ちが残るため、それが罪悪感や喪失感につながってしまいます。ところが、そのモノの持つ先々の可能性まで一度考えていれば、考え尽した感が残ります。そのため、手放す決心がよりつきやすく、そこには、あとになって「使えたかも」という後悔が生まれることがありません。

モノを大切にしたい世代に寄り添って片づけるというのは、一度一緒に活かすことを考えて、充足感を感じてもらうこと。手を変え品を変え、徐々に捨てさせる方向に気持ちを切り替えさせることではありません。



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この記事を書いたプロ

遠藤亜紀

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