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伊勢珠樹

工学博士・中小企業診断士資格を有する経営支援・企業研修のプロ

伊勢珠樹(いせたまき) / 中小企業経営診断&コンサルティング

ZION(ザイオン)株式会社

コラム

【従業員数名の食品加工会社の淘汰の津波がそこまで来ている!】

2021年1月18日

テーマ:中小企業の経営支援

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 事業計画書ビジネスモデル

最近、従業員数名の食品加工会社の2社から立て続けに、

「先日、小売店のバイヤーが工場視察にきて、『すみません、このような衛生管理では取引停止です』と言われました」

「地元のスーパーから『5月末までにHACCPに対応していなければ、残念ですが取引を停止することになります』と言われました」

という、切実な支援要請を受けました。

ということで、この2社は急いで食品の衛生管理体制を構築し、HACCPの制度化に対応しなければならなくなりました。

こんにちは、小規模食品加工会社の衛生管理をサポートするHACCP普及指導員(日本食品衛生協会登録)の伊勢です。

さて、あまり衛生管理を意識していなかった小規模食品加工会社では、衛生管理をHACCPレベルに高めるには施設的に限界があるようです。
この2社の工場もこのままでは、HACCPどころか一般的衛生管理すらもままならない状況でした。
そのため、最低限の施設の増改築をすることを決めましたが、その2社にとってはかなりの金額の設備投資となっています。もちろん金融機関の支援がなければ、とても実施できません。

そして、小規模であっても、最低限の衛生管理体制を構築できる食品加工場への建築・改築には、一般的な建物に比べて坪単価で3~4倍の金額になることを覚悟しなければならないでしょう。
なぜなら、衛生区・準衛生区・汚染区・その他非製造区に施設内を区分けし、それぞれで十分な作業面積を確保しなければなりません。
そして、食品の取り扱いエリアは、室内の全てを洗浄できる防水処理し、施設の洗浄殺菌剤や調味料による腐食を防止する壁材・床材・配管などの使用、防虫対策や温度管理ができる空調設備、衛生的な排水や食品残渣の管理など、食品工場だからこそ整備しなければならない費用が積み上がります。

資金的に余裕のある企業であれば、それらすべての設備投資を実施することができるので、働く人は衛生管理の最低限度の知識と経験があれば、衛生的に作業ができます。

一方で、資金的に余裕があまりない小規模食品加工会社の場合、十分に衛生管理の知識を勉強してから食品の安全を確保するための最低限の設備投資で済ませられるように設備計画を立ててから実行しなければなりません。
そして、設備で賄えない部分は、働く人が食品衛生の知識を十分すぎるくらいに習得し、食品の衛生的な取扱いのためのルールを徹底して守ることが必要になります。

ですから、もしHACCPの制度化に対応するために設備投資をするのなら、安全で効率的で機能的な食品工場にする工夫に関する情報を十分に入手してから、設計を開始してください。
そうしなければ、後になって「あれをしておけばよかった」「これは必要なかった」という後悔が多くなると思います。

食品事業者のHACCP制度化の完全な実施は、2021年6月からなので、取引先から『取引を停止します』と言われる前に工場の改修を終えたいですね。


参考)
厚生労働省の「HACCPに沿った衛生管理の制度化」の重要なお知らせはこちら↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html

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伊勢珠樹

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