
コラム
「働き方改革」の目指すもの
2023年5月15日 公開 / 2023年5月19日更新
中小企業の経営者の皆さん、「働き方改革」は進んでいますか?
当コラムで取り上げる題材は想定規模が常時30人くらいまでの中小企業が対象となります。
今回は「中小企業向けの働き方改革」の具体的かつ有効な進め方について解説していきたいと思います。と言っても働き方改革、そのボリューム感は相当なものになります。
今回のコラムだけでは、そのすべてについての解説はできません。ですので、中小企業向けの労務管理策としての重要項目について順次、集中的に解説していきます。
働き方改革の基本的な考え方
「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。
3つの点に注意して進めて行きましょう。
① 職場環境の改善などの「魅力ある職場づくり」が人手不足解消につながるとされることから、
人手不足感が強い中小企業・小規模事業者においては、生産性向上に加え、「働き方改革」に
よる魅力ある職場づくりが重要です。
② 取組に当たっては、「意識の共有がされやすい」など、中小企業・小規模事業者だからこその
強みもあります。
③「魅力ある職場づくり」→「人材の確保」→「業績の向上」→「利益増」の好循環をつくるた
め、「働き方改革」により魅力ある職場をつくりましょう。
働き方改革の柱は、8つ
厚生労働省の示している働き方改革には、幾つかの項目があり、以下の通り、8つの重要なことが定められています。
1 | 時間外労働の上限規制 | (中小企業2020年4月1日施行) |
2 | 年次有給休暇の確実な取得 | (全企業2019年4月1日施行) |
3 | 中小企業の月60時間超の残業の、割増賃金率引上げ | (全企業2023年4月1日施行) |
4 | 「フレックスタイム制」の拡充 | (全企業2019年4月1日施行) |
5 | 「高度プロフェッショナル制度」の創設 | (全企業2019年4月1日施行) |
6 | 産業医・産業保健機能の強化 | (全企業2019年4月1日施行) |
7 | 勤務間インターバル制度の導入促進 | (全企業2019年4月1日施行) |
8 | 正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の禁止 | (中小企業2021年4月1日施行) |
ご覧のとおり、常時50人未満の従業員の中小企業(特に常時30人くらいまでの中小企業)では、制度はあるのですが、実際にはなじまない項目もあります。
その例として、フレックスタイム制の拡充や、高度プロフェッショナル制度の創設、産業医の機能強化などが挙げられます。これらは常時30人未満の中小企業では正直なところ、費用面もですが、限られた人員配置の中で日々の業務を行う関係上、あまり現実的な労務管理策とは言えません。
もちろん、これらの制度の導入はできれば好ましいですが実情に合わせた施策が求められます。
あまり使えない要素がある一方で、残りの部分に中小企業にとっての肝となる重要なことが載っています。
時間外労働の上限規制と新36協定、60時間超の割増賃金の割増率の引き上げ、勤務間インターバル制度の導入、不合理な待遇差の禁止(=同一労働同一賃金)などは働き方改革の非常に重要なポイントになっています。
中小企業に働き方改革が必要な理由
昨今では働き方改革の必要性を強調されているように見える場面が少なからずあるように思います。人材不足を取り上げている新聞記事やテレビのニュース、インターネットの求人広告にその傾向が見られます。その手法を挙げてみます。
スマートフォンのアプリを使った人材募集やオンラインを使った単なる面接ではない「面談」の実施(求職者の人となりを知るために行うカジュアル面談と言うそうです)、人材紹介会社を使った人材募集などが挙げられます。テレビCMで見かけるインディードは皆さんもご存知ではないでしょうか。
こうしてみると、明らかに従来型のハローワークや求人情報誌への掲載、他者からの紹介とは少々違ったアプローチをしているのが分かります。
なぜ、このような動きが見られるのでしょうか?考えられることとしては、今までの求人方法が少しずつ通用しなくなってきているからだと思われます。
時代に適合した手法での人材不足解決策が求められていて、何らかの打開策を得るために、時には勇気を持って今までの慣例を見直すことが必要になります。
これらを頭に入れて、人材を確保するにあたって中小企業は、多くの面において、少し知恵を絞る必要があります。「貴社独自の魅力」を感じてもらえるように、地道に対策を講じる必要があります。その第1歩として「当たり前のことを最適に行うこと」をぜひ考えてみてください。今後につながる、とても重要な意味合いを持ちます。
今回のまとめ:
働き方改革で重要なことは、法で定められた実行すべき対策について中小企業各社がその施策を確実かつ効率的に行うことです。その準備には各社の実情に合わせて相当の時間・費用・労力がかかります。まだ、具体的な対策をしていない企業は早急に進めていかなければなりません。次回のコラムでは、8つの柱の1つ目、時間外労働の上限規制と新36協定の重要性について、順を追って解説させて頂きたいと考えております。
過去のコラムは遡って検索して頂ければ、閲覧できますので、宜しければご覧ください。
(毎月一回15日付掲載予定です)
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