マイベストプロ北海道
藍直樹

安定した雇用のための企業と人をつなぐ人事・労務のプロ

藍直樹(あいなおき) / 社会保険労務士

アイ社会保険労務士事務所

コラム

中小企業が2023年4月に行いたいこと

2023年4月15日 公開 / 2023年5月1日更新

コラムカテゴリ:法律関連

新しい制度が始まります
4月に入り、新年度がスタートしました。企業では従業員の入社、転勤、所属部署の異動、退職など、人の動きが活発になる時期になりました。新体制が始まる企業もあるでしょう。

また、入社・退社等が少しあってもそれほど大きな動きはなく、自社の抱える課題解決に向け、今後を見据えた対応を考えておられる企業も多いのではないでしょうか。この4月から新しく導入される制度が始まりました。何をすればいいか、まずは新制度の中身を知っておく必要があります。

そこで今回は新年度の始まるこの時期、比較的に経営規模の小さい中小企業(零細も含みます)を対象とした、進めておきたい労務管理の重要事項について解説させて頂きたいと思います。

新年度はやるべきことが多い
4月は、10月と並んで新しい制度が導入されることが多い時期です。年度の始まりとその半年後ということで、法律の運用面や行政の都合から来るものですが、新たに制度が導入または変更された場合、企業の規模を問わず中小企業も対応しなければならなくなることがあります。
この4月から中小企業が行わなければならない施策が幾つかありますので、見ていくことにしましょう。

中小企業が執るべき労務管理策は、2つあります
中小企業が新しい対策を講じる必要がある施策は以下の通りとなります。
①この4月から新たに導入されたもの(2つ)
②毎年4月に行う事務手続き(3つ)

①について、対応しなければいけない重要項目になります。

1月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げ(中小企業)
2賃金のデジタル払い解禁
月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げ(中小企業)2023 年4月より、中小企業の月60 時間を超える時間外労働(法定時間外労働に限ります)の割増賃金率が、25%から50%へと引き上げられます。
賃金のデジタル払い解禁2023 年4月より、賃金を従業員の指定する銀行口座ではなく「〇〇ペイ」などのキャッシュレス決済口座に振り込むことが可能となります。実際にデジタル払いを行うには、労使協定の締結や従業員の同意などの条件を満たすことが必要になります。

②について、毎年4月に処理しなければならない事務手続きになります。

1給与支払報告に係る給与所得者異動届出
2社会保険料率の変更
3労働者名簿の調製(=作成)
給与支払報告に係る給与所得者異動届出住民税の徴収方法が特別徴収である事業者で、4月1日現在で昨年の給与支払報告書を提出した従業員のうち、給与の支 払を受けなくなった従業員がいる場合には、4月15日(2023年は4月17日)までにその従業員が住んでいる市区町村長に届出をします
社会保険料率の変更2023年度の雇用保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに引き上げとなります。協会けんぽの健康保険料率及び介護 保険料率は、3月分(4月納付分)からの適用となります。
労働者名簿の調製新年度が始まりましたので、労働者名簿を調製(=作成)する必要があります。退職者については退職日と退職事由を記入し、入社した者については新たに作成しておきましょう。また、この労働者名簿については退職の日から3年間は必ず保存しておくことになっています。
3の補足説明になります「各事業場毎に作成し、従業員の個人情報であることに留意して適切に保護し、慎重に保管しなければなりません。記載内容に変更があった場合は遅滞なく変更後の情報に更新しなければなりません。」この3年間の保存期間については、紙か、電子データで保存する必要があります。


今回のまとめ
企業にとって新年度は何かと忙しい時期です。業務は多岐に渡りますが、労務管理の改正点についての対応はできれば効率的に行いたいものです。

前回のコラム(3月15日付)では、年度末まで進めておきたいこと、引き続く今回は新年度にやらなければならない項目ごとに解説してきました。
詳細につきましては、3月15日付の当コラムで中身をご確認ください。

今回、コラムで取り上げた1点目は法定時間外労働が多い企業ではできるだけ無駄な残業を削減するなど、業務体制の見直しを含めて対策を講じる必要があります。働き方改革の観点からも従業員を過重労働から防止するために配慮が必要となります。

この記事を書いたプロ

藍直樹

安定した雇用のための企業と人をつなぐ人事・労務のプロ

藍直樹(アイ社会保険労務士事務所)

Share

藍直樹プロへの
お問い合わせ

マイベストプロを見た
と言うとスムーズです

お電話での
お問い合わせ
011-577-8757

 

事務所に不在の時は、折り返しご連絡させて頂きます。その際にはお名前、電話番号、要件をお伝えくださいませ。

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

藍直樹

アイ社会保険労務士事務所

担当藍直樹(あいなおき)

地図・アクセス

藍直樹プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ北海道
  3. 北海道のビジネス
  4. 北海道の税務会計・財務
  5. 藍直樹
  6. コラム一覧
  7. 中小企業が2023年4月に行いたいこと

© My Best Pro