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藍直樹

安定した雇用のための企業と人をつなぐ人事・労務のプロ

藍直樹(あいなおき) / 社会保険労務士

アイ社会保険労務士事務所

コラム

有期労働契約について考えます!

2023年2月15日 公開 / 2023年4月14日更新

コラムカテゴリ:法律関連

有期労働契約の大前提
まず、大前提として「有期労働契約」とはどのような働き方のことを言うのでしょうか。確かに分かりにくい表現になっています。契約期間について、簡単に言えば「働く期間がいつからいつまで決まっている」契約のことを言います。

例えば、4月1日から6月30日までの3ヵ月働くことで企業側と契約したとします。その間、何事もなければ契約した期間の最後の日である6月30日になると仕事をする期間が終わることになるので、続けて同じ職場で働くためには企業側と新たに働く期間について合意しなければ、職を失うことになります。

このように「決められたある期間、働いてその期間が終われば、新たに契約しなければ仕事を続けることができなくなる」不安定な働き方が「有期労働契約」になります。

ですので、企業側は従業員と「有期労働契約」を結ぶのであれば、トラブル防止のために、企業側は有期労働契約について制度を正しく理解する必要があります。

有期労働契約の契約期間
契約期間の原則と例外を確認しておきましょう。有期労働契約は原則、法律で最も長くても1年から3年と定められています。注意すべきは「3年を超える期間について結ぶことができない(=禁止されている内容)と、されていることです。
原則、3年とされている契約期間ですが、例外が2つあります。以下の表の通りです。

高度の専門知識を持つ特定の資格を持つ者と結ぶ労働契約
満60歳以上の従業員と結ぶ労働契約

この2つについては、最長で5年まで結ぶことができます。原則との違いは労働契約の最長期間が3年ではなく5年となることです。もしも、一般的な「3年の有期労働契約」と同じように有期労働契約の期間が5年を超える契約を結んだ場合はどちらも法違反となってしまうので契約期間はそれぞれ最長の3年、5年になりますので注意が必要です。

違いを理解しましょう
よく聞く「解雇」と「雇い止め」についてです。混同されている方もが多いかと思われますので、違いを正しく理解する必要があります。
有期労働契約は働く期間が決まっていますが、原則、「解雇の規制がない」ことが挙げられ、契約期間の存在と並んで有期労働契約の大きな特徴になっています。
原則として、有期労働契約は契約期間が決まっていますので、契約期間が満了しますとそこで労働契約が終了してしまいます。この有期労働契約の終了は文字通り、次の契約を更新しない「終了」であって「解雇」ではありません。これを「雇い止め」と言います。
これに対して契約期間が定まっていない従業員との労働契約を終了しようとする場合、少なくとも30日前に予告をするという、「解雇」の手続きを取ることになります。契約期間が定まっていない従業員との契約を終了するには、この「30日前に解雇の予告をする」と言う、法規制が有期労働契約には当てはまらないのが実情です。有期労働契約は様々な契約期間が定められていますので、一律に予告期間を決められないと言った事情があるからです。

有期労働契約でも「雇い止め」の予告が必要になる基本的場面
原則として雇い止めとはならない有期労働契約ですが、気をつけておかなければならない「例外」がありますので注意が必要です。以下の場合、雇い止めの予告(=契約期間の終了通知)をしなければなりません。短期の契約を繰り返す雇用形態も含めて表にしてみました。

有期労働契約が3回以上更新されている場合
1年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、雇用関係が通算して1年を超える場合
1年を超える契約期間の労働契約を結んでいる場合


30日未満の契約期間の労働契約を3回以上更新した場合
30日未満の契約期間の労働契約の更新を繰り返して1年を超える場合


④、⑤とも、30日前までの予告ができない場合であってもできる限り速やかに雇い止めの予告をする必要があります。


雇い止めしてもいい場合があります
雇い止めの際には予告など必要なことがありますが、契約更新しなくても法違反とはならない場合があります。
雇い止め(=契約期間の更新をしないこと)ができるパターンを押さえておきましょう。

前回の契約更新時に、契約更新をしない合意がされている場合
契約当初から、更新回数に上限を設けていて、その回数に達した場合
担当業務が終了(中止)した場合
事業が縮小した場合
業務を行う能力が十分でない場合(能力不足)
業務命令違反や無断欠勤などの場合(勤務不良)


今回のまとめ

「有期労働契約の契約期間」や「解雇と雇い止めの違い」を中心に解説してきました。
有期労働契約の契約期間などの問題は、雇い止めとの関係もあるので、対応はより慎重にならなければなりません。企業としては、契約期間の更新に関し、契約時、従業員側に詳細な説明を丁寧に行い、同意を得て契約書を作成しておくことがトラブル防止に役立つことになります。
今後も法改正があると思われますので、その都度、対応は適切に行って頂ければ企業の発展や成長に好結果をもたらすことと思います。

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