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藍直樹

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藍直樹(あいなおき) / 社会保険労務士

アイ社会保険労務士事務所

コラム

働くときに必要になる書類・それが「雇用契約書」です!

2022年6月21日 公開 / 2022年6月28日更新

コラムカテゴリ:法律関連

働くときに必要になる書類・それが「雇用契約書」です!



北海道の大自然に改めて感激です!

6月の北海道は本州などと違い、基本的に梅雨がないので爽やかな気候です。私も、趣味で登山をするのですが先日、羊蹄山に登ってきました。登るにつれ8合目付近から残雪が本格的に出てきて下界との違いに改めて気づかされます。ようやく今シーズン初の羊蹄山の山頂に到達!景色が本当に素晴らしかったですね。カッコウやウグイス、セミの鳴き声が聞こえてくる中で、「こんな静かな環境で社労士の仕事ができたら」なんて事を考えながら登ったものです。下山後、わが肉体に襲い掛かるのは2日間に渡る筋肉痛に苦しむのはご愛嬌(笑)また近々登れれば、と考えています。

よく聞く、「雇用契約書」っていつ、どんな時に作成する必要があるのか?

さて、本題・労務管理についてのお話ですが、今回は従業員を雇う際に、作っておかなければならない書類の一つ、「雇用契約書」の書き方・必要性について簡単に触れてみたいと思います。雇用契約書、場合によっては労働条件通知書の作成は従業員を雇う際に作成義務が生じます。このとき、ある疑問を持つ方がいらっしゃるのではないでしょうか?例えば、「そのような面倒な書類、作らなくてもいい」、とお考えの方もいるかもしれないですね。あるいは、「従業員に言われたら作る」と言う方もいるかもしれません。色々な意見があると思います。ですが、正解を言えば従業員を雇う前に作成義務がある書類であることをしっかりと認識して、実際に作る必要があります。これは労使トラブル防止の観点からも作成には重要な意味があります。作る時期については、原則、「労働契約の締結に際し」と明らかな決まりがあります。その根拠となるのは労働基準法第15条の第1項です。この中身は「労働条件の明示」と呼ばれる内容でして、この条文に違反すると罰則規定が適用されます。注意が必要です。企業に課された、雇用契約書を作る義務があるのがお分かり頂けた所で「じゃあ、何を書けばいいのか?」という疑問が出てきます。

では、「雇用契約書の記載事項」のうち、最低限必要な項目は何でしょうか?

皆さん、上記の理由から雇用契約書の重要性が分かったと思います。問題は何を必ず載せるのか?分からないと言った声をよく耳にします。そこで従業員の方と交わす雇用契約書の必要最低限の項目を載せてみました。以下の内容になります。
①まずは何といっても賃金についてです。働く方にとって、毎月支払われる賃金は当然のことながら記載しなければなりません。②次いで労働時間についてです。よく「所定労働時間」という言葉を聞くことがあると思いますが、これは従業員の方が各々働く企業で実際に働く時間のことを指していて、労働基準法でいう「法定労働時間」の範囲内で企業が独自に決めることができます。この2点は必ず書かなければならない内容となります。因みにこの「法定労働時間」を越えて従業員の方に労働させた場合に割増賃金の支払い義務が出てきますので参考までに述べておきますね。詳しくまたの機会に分かり易くお伝えしたいと考えております。明示事項はまだあります。③点目以降ですが、大まかに言うと、(1)労働契約の期間について、(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準について、(3)働く場所や仕事内容、(4)始業・終業時刻(何時に仕事が始まり何時に終わるか)についてですが残業時間は除きます。所定労働時間を超える労働があるかどうか、休憩時間、休日、休暇に関する項目などがあります。(5)従業員を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関すること、(6)賃金の決定、計算、支払方法、締切時期、支払日、昇給に関すること(7)退職に関すること(これには解雇の理由を含みます)などが挙げられます。以上のように「雇用契約書の記載事項とされる内容」は大事なものばかりです。そうそう、雇用契約書は「労働契約の締結に際し」と初めの所で言いました。一度、整理してみましょうか。ポイントになります。

明示が必要             明示の必要なし
★新しい労働契約を結ぶとき
★労働契約を更新したとき    ★就業規則などを変更したとき


雇用契約書の必要な記載事項は、まだありますか?

労働基準法上の義務的な内容について説明してきましたが、実はこれだけではありません。この他にも記載事項は企業さんの制度によっては出てきます。これは、企業さんで定めている制度がある場合は記載しておく必要がある項目になります。以下にその項目を挙げて簡単に説明していきたいと思います。どのような項目があるか参考になさってください。
トップバッターとなるのが、「退職手当」を支払う企業さんの場合、その退職手当を受けられる従業員の範囲、退職手当の決定・計算、支払の方法支払時期に関することです。次いで、②臨時に支払われる賃金、賞与、最低賃金額に関すること ③従業員の負担となる食費、作業用品などに関すること ④安全や衛生に関すること ⑤職業訓練に関すること ⑥災害補償・業務外の傷病扶助に関すること ⑦表彰・制裁に関すること ⑧休職に関すること、などが挙げられますね。上記の雇用契約書の最低限の記載事項(賃金、労働時間、などの記載事項とされた部分)については、昇給に関する事項は入りませんが、原則として書面の交付を義務付けられている点に注意してください!例外として従業員の方がファクシミリ、電子メールを利用しての送信の方法を希望した場合は、それぞれ、いずれかの方法によるものとなっています。従業員の方の判断に委ねることになりますね。

労働条件を明示しなかった場合の契約はどうなるのか?話と違う場合はどうなるのか?

このような疑問が出てくる方がいらっしゃるのではないでしょうか?契約は無くなるのか(無効)、契約は残るのか(有効)解釈によっては色々と仮説が立てられますね。必要最低限の項目にせよ、企業さん独自の項目にせよ、上記の労働条件の明示をしなかった場合に、そのときに結んだ労働契約はどうなるのでしょうか?使用者(企業側)は法律(労基法)に違反することになるので罰則を受けることになりますが、労働契約そのものの効力に問題はありません。明示された労働条件が事実と異なる場合、従業員の方は即時に労働契約を解除することができます。ただ、気を付けなければならないことがあります。と言いますのも、「明示された労働条件」とは、労働契約を締結したときに明示されたすべてを指すものではないからです。詳細は説明が長くなるので、割愛しますが、法律的に明示する必要があるのは先ほども述べた通り、必要最低限の項目に限られています。(絶対的記載事項と呼ばれるものです。)明示された労働条件と違っている場合、従業員は労働契約を即時に解除できる権利があります。明示された労働条件は労働契約の内容となってますので、従業員は企業側に明示したとおりの労働条件が実施されるように求めることができます。その求めに企業側が応じない場合は、債務不履行を理由に損害賠償請求を求めることができます。労働契約の解除について、民法の規定では2週間前までに企業側に通知しておけば、即時に労働契約を即時に解除することができ、労働契約は解除と同時に終了となります。
ここで注意しなければならないことが出てきます。それは明示された労働条件が事実と異なっていることを知りながら、長期間異議を述べないで労働していると、その事実が労働契約内容となったとみなされますので、事実と違うことを知ってから相当期間内に解除しないと、その権利がなくなると解されるので注意が必要です。

ここで、一つのケーススタディです!
社宅を貸し与えるというのは、「明示された労働条件」に当たるか?という疑問ですね。
Q:労働契約を結ぶときに、社宅を貸し与えるという契約をしたにもかかわらず、これをしなかった場合、「明示された労働条件が事実と違う場合」に当たりますか?
A:その社宅を貸し与えることがどのような性質のものであったかによります。つまり、
①社宅を利用することによって得る利益が法11条に定める「賃金」となる場合には、社宅を貸し与えることを明示した条件は、「賃金、労働時間その他の労働条件」となりますので、明示された労働条件が事実と違う場合に当たります。
②社宅を貸し与えることがたんなる福利厚生的、恩恵的なものである場合、社宅を貸し与える条件は「賃金、労働時間その他の労働条件」には含まれないので、「明示された労働条件と違う場合」には当たらない、いう判断になります。

  ①、②を通して何が言いたいのか、です。社宅を貸し与えることが「賃金、労働時間その他の労働条件に含まれるかどうか」によって判断が分かれることになるので、重要になります。賃金に当たるのなら、従業員の方の直接の利益となりますので、社宅を貸し与える企業さんは、注意してくださいね。


今回はこれぐらいですね。またの機会にお会いしましょう!次回は・・・

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