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新生活、上手なアパート選びのポイント~後編~

2022年3月9日 公開 / 2022年3月17日更新

テーマ:アパート選び

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: ファイナンシャルプランナー 相談消費者問題

暮らしを自分らしくするための、働き方やお金の使い方を提案している
ファイナンシャルプランナーでキャリアコンサルタントの大野です。


前回の続きです。
“新生活、上手なアパート選びのポイント~前編~”を読んでいない方は、こちらから読んでいただくのが効果的かと思います。
新生活、上手なアパート選びのポイント~前編~





1 表を作って比較検討する


物件検索サイトなどで探して気になる物件が数件見つかったら、表1のように自分なりに表などを作成して比較検討するとわかりやすいかと思います。特に入居前費用は物件検索サイトによって掲載のされ方が違いますし、同じサイト内でも物件によってかかる費用が違います。ですから、表などにすることで金額が明確になりますし、不明点なども明確にできます。ここで”上限オーバーの物件を外す”とで物件が絞りやすくなります。
表1

また、家賃も同様に物件によってかかる費用が違います。家賃だけなのか、毎月別に管理費や○○費のようにかかる費用があるのか、こちらも表2のように表にすると毎月トータルでいくらかかるのかがわかりやすくなります。
表2

初期費用と家賃以外にも、ランニングコストの比較検討ができるとよりベターな検討ができます。

例えば、ガスは一般的にプロパンガス(LP)よりも都市ガスの方が使用料は安くなります。独り暮らしの物件であればオール電化の物件もランニングコストは比較的安くなります。
(家族人数などでオール電化の方がランニングコストが高くなる場合もあります)

ちなみに僕の感覚だと、一人暮らしで都市ガス物件なら水道光熱費が10,000円くらい、プロパンガス物件だと13,000円くらい、夏のエアコンを多く使用する季節はそこから2割り増しくらい、北海道の暖房を使用する季節はプラス10,000円くらいです。

これは、あくまで比較検討する時の参考金額です。実際には、地域や使い方で高くも安くもなります。

学生さんあるいは在宅ワークをするような場合、ネットが無料で使えるか、使えないかもランニングコストに影響を与えます。ネット環境が無料ではない場合は月5,000円程度の費用が必要になります。

ランニングコストは毎月決まった金額にならないので、金額は細かく計算せずに目安の金額で考えます。どれくらい費用が掛かるのか不明なときは色々なサイトでかかる費用や目安が書かれていますので参考にしてください。ざっくりで十分です。わからない場合は設備の種類などだけでも確認しておきましょう。

ガスコンロやIH専用調理器具などの専用の器具が必要になる場合があります。買い揃える必要がある場合は入居前費用に多少影響を及ぼします。ですから、設備も確認するのがベターです。

それから、交通費も毎月発生しますのでランニングコストになります。家賃が安くても学校や職場まで遠ければ交通費がかかります。

さらに、通勤通学に時間がかかることでストレスを抱える可能性もあります。近くにスーパーなどがない場合もストレスの原因になりえます。このように周辺環境によってストレスがたまる場合はすぐに引っ越しをしたくなったり、体調不良で病院にかかる可能性もあります。

そうすると、結果的に費用が余計に掛かることになります。ですから、よりストレスが少ない物件がベターですね。特に田舎から都会へ出る場合は思わぬところでストレスが発生しますので要注意です。

これらの費用や周辺環境は新天地での暮らしを想像すれば容易に予想できます。今はググるだけで周辺環境が確認できます。新天地での暮らしを思い浮かべながら調べると色々なことが見えてきます。

というわけで、コストだけでなく周辺環境も含めてトータルで比較検討するとよりベターな物件を見つけることができます。

ランニングコストや周辺環境も表3のように表にするとわかりやすいです。
表3


2 優先順位を決める


比較検討しやすい状況になったら入居条件の優先順位を決めましょう。費用面、室内設備や駅までの距離、周辺情報など、その中で一番譲れない条件は何でしょうか?

希望条件すべてを備えている物件があればベストですが、皆さんがオーダーして作った物件ではなく、オーナーが万人受けするように作った物件なので、すべての条件を満たす物件はほぼ皆無だと考えても良いでしょう。

ですから、一つか二つだけ譲れないものを決めましょう。迷ったら、譲れない条件に一番近い物件を選択するのがベターです。

ちなみに僕は立地を重要視することが多いです。生活導線と利便性を考えて一番スムーズに活動できる場所を選びます。家にいる時間がそれほど多くないので、利便性が譲れない条件で、それ以外は妥協しても良いかなという感じです。

逆に家にいる時間が長い方であれば、居住性や室内設備が気になるかもしれませんし、女性でしたらセキュリティーが一番かもしれません。料理が趣味なら台所の広さとかになるかもしれません。

このように、譲れない条件を1つか2つにすると物件はかなり絞りやすくなります。

優先順位は一人ひとり違うので、
”どのような暮らしをするのか”
”どのような暮らしになるのか”
を楽しく想像しながら比較検討してください。

物件が2つまたは3つに絞られたら次のステップに移ります。

3 現地確認

次のステップは”現地を確認する”です。
遠方の場合は難しいこともありますが、見に行けるなら内覧をしてください。物件検索サイトに記載がある不動産屋さんに連絡すれば内覧できます。
(まだ入居中の物件は内覧できないことがあります)

内覧以外に見に行けるなら、時間や曜日を変えて外観や周辺状況確認すると内覧の時に気づかなかったことがわかることがあります。それだけで、入居後のトラブルやストレスを軽減できます。

内覧の時のポイントは以下の4つです。

  1. 物件共用部、空き室および周辺の環境を確認する
  2. 玄関ドアや廊下などの幅や大きさを確認をする
  3. 室内の導線、窓、収納などを確認をする
  4. キズや壊れている個所を確認する

順番に解説します。

物件共用部、空き室および周辺の環境を確認する

共用部の汚れ、ごみ置き場の状況、自転車のおき方、駐車している車など、これらを観察することでどのような人が住んでいるのかがなんとなく想像できます。これらをみて不快に感じたりすると、入居後にトラブルになる可能性が高くなります。

また、他の部屋の窓やドア、郵便受けを見ることで空室かどうかがわかります。あまり空室が多い物件は何か問題があるかもしれませんので管理会社に質問したり、より注意深く観察しましょう。また、雪国の場合は冬の除雪方法、雪の置き場などのことも確認しておきましょう。

玄関ドアや廊下などの幅などの確認をする

引っ越し荷物が運びやすいつくりか確認しましょう。ドアから荷物を搬入できるか、搬入できなければ他に搬入できる箇所があるのかを確認しましょう。最近の家電製品(※1)は大きくてドアから搬入できないものも結構あります。また、2階以上に引っ越す場合は階段幅や階段の踊り場(※2)なども確認しましょう。

引っ越しは業者がやってくれますが、荷物がなかなか入らないとストレスの原因になります。引っ越し時がスムーズにできないと、その後の暮らしにも影響することが多々あります。

※1ドラム式洗濯機や両開きの冷蔵庫は入らない可能性が高いです。
※2荷物を運ぶときに踊り場で旋回したりするので広い方が荷物を運びやすいです。


室内、窓、収納などの確認をする

室内を見るときもそこでの生活や生活導線を想像しながら確認しましょう。
採光性、照明のスイッチの位置、ドアの開き方(うち開き、外開き)、下駄箱の有無、洗濯機や冷蔵庫の設置位置、洗濯ものを干す場所などです。細かいかもしれませんが、ちょっとしたことがストレスになります。

収納も重要なポイントです、大きさや高さなどを確認しましょう。例えば、クローゼットにポールがついているがスーツをかけた時に裾を擦る、コートが収納できない、〇〇が置けない、などがあるとストレスになる可能性があります。

郵便受けもストレスの原因になりえます。ドアにポストがあるが内側に受けがないと郵便物は下に落ちますので、汚れたり、濡れたりします。

下駄箱もあった方が良いですね。

あとは、来客用の駐車スペースや止められる場所があるのかどうか。親や友達などがよく車で遊びに来たり、泊まりに来るような場合、変なところに車を止めるとトラブルに発展しやすいので気をつけましょう。来客がないのであればその限りではありません。

キズや壊れている箇所などを確認する

室内を確認するときは、壊れている箇所やキズなども確認しておきましょう。

内覧の時に発見できれば直してもらえる可能性が高いです。直してくれない場合は写真を撮ってメモしておきましょう。こうすることで、退去の時に万が一請求されても対抗できます。

細かい話になりますが、台所に魚焼きグリルがあるときはそこも確認しましょう。かなりの確率で汚れていたり壊れています。他には備え付けの家具などがあればそれらも確認しましょう。

先ほども書きましたが、暮らしを想像しながら確認することで色々なことが発見できます。これらを確認しておかないと入居後の暮らしの中に多数のストレスが発生します。

もし、遠方に引っ越す場合で物件を内覧できない時は、嫌な物件ならすぐに引っ越する
、くらいの感覚でコストの安い物件で決めるのも一つの考え方になります。

まとめ

前編後編にわたってアパート選びのポイントについてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。

色々とポイントを書きましたがは全部を気にする必要はありません。

一番のポイントは自分がどのような暮らしをしたいのかを想像することです。

自分がしたい暮らしと物件にギャップがあればあるほどストレスがたまります。逆にギャップが少なければストレスは減ります。

今回お伝えしたポイントはギャップをなくして快適な暮らしをするめのヒントだと思ってください。不便やギャップがあっても気にならないのであれば問題ありませんので、自分の好きなように物件探しをしてください。

もし、どうしても不便やギャップが気になる方は以下をお読みください。ギャップを埋めるヒントになると思います。

最後に
”暮らしを自分らしくするお金の使い方を提案するFP”
の考え方をお伝えして終わりにします。


賃貸物件を選ぶとき、良い物件や満足する物件に入居したいと考えますよね。

時間とお金をたっぷりかければ、そんな物件が見つかるかもしれません。

ただ、実際には限られた予算、限られた時間の中で探さなければいけないことがほとんどです。

最初にお話ししたように僕は15回引越しをしています。最初の方は良い物件を探しました。しかし、そのような物件は見つけられませんでした。

それに気づいたので、後半は60点から70点くらいの物件を探して住みました。そんな物件たちでしたが、それまでよりも快適に暮らせました。なぜだと思いますか?

ちょっと脱線しますが、賃貸物件選びは既製服を買うことに似ています。

ショップですごく気にいったアウターを見つけたとします。100点満点のアウターに出会ったとします。メッチャ気分良く購入します。

ですが、家に帰って持っている服と合わせると、着回しがしにくかったり、バックなどの小物とバランスが悪かったりした経験はありませんか?

そのような100点の服を買ったとしても、着回しとかでダサくなるし、バックなどの小物とバランスが悪く見えることもあります。そのような状態になったら、アウターにあう服や小物を買ったりしていくと思います。

つまり何が言いたいかというと良いものを求めてもキリがないということです。

僕は賃貸物件もこれと一緒ではないかと考えます。

どんなに気に入った物件に住んでも満足することはなく、次々と求めていきます。

一方で、60点とか70点の物件でも暮らし方をほんの少し変るだけで、快適に暮らせるようになります。

では、60点とか70点の物件をどうすれば快適な物件に変身させられるのか。

それは、そのまま使うのではなく、使いやすくなるように考えて工夫して使えばいいのです。どうやったら使いやすくなるかを想像して工夫することで快適な暮らしができるようになります。

そんなこと、当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、意外とできていません。先ほどの服を買う行動のように次々と求めていく方が多いです。

次々求めていくのは消費と言えます。工夫は創造です。
消費はあまり考えないので楽ですが疲れます。創造は一見しんどそうなのですが実は疲れずに楽しいです。

仕事などでもそうなのですが、自分で考えずに言われたことだけをする仕事は消費と同じで、楽ですが疲れます。

逆に主体的にする仕事は創造と同じで、忙しかったり、しんどいこともありますが疲れませんし、楽しくなります。

暮らしの中に工夫するという創造活動を入れると、不便や不足を解消するグッズを探すという楽しみができたり、次はこんな住宅に住もうというヒントを得ることもできます。

何より、満足なものを買った喜びよりも、自分で工夫して使いやすくした時の方が喜びは大きく充実もあります。飽きたら、違う工夫を考えれば、いくらでも楽しめます。

このように、満足する物件を探すのではなく、視点を少し変えて工夫して暮らすことで楽しく暮らすことができるようになります。

ですから、失敗したくないとか、良い物件を探すと意気込むよりも、不便や不足があった方が楽しみは増えるくらいの感覚で物件探しをすると楽しくなります。そして、ストレスも少なくなります。

このように、60点や70点の物件でもちょっと考え方や視点を変えるだけで快適な暮らしにすることは十分可能です。もし、疑っているのなら確かめるのにTRYしてみてください。

いかがでしたか、FPオフィスOHNOではちょっと違った視点でお話をさせていただいています。不動産屋さんの目だけではなく、FPの目で見ることによって不安やモヤモヤが晴れたりもします。引っ越しをお考えの方、引っ越しで不安なことがある方、気軽にご相談ください。

また、住宅購入や保険の見直し、家計管理の相談、勉強会の講師やセミナーなども承っておりますのでこちらもお気軽に相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。


以下は引っ越しの用語について解説しましたので、必要でしたら参考にしてください。

用語解説

敷金・保証金
敷金、保証金は大家さんに預けるお金です。家賃未払や退去時の修繕等がある場合はそれらの費用に充てられます。何もなければ返戻されるお金ですが2年未満で退去する場合なども返戻されない場合が多いです。

礼金・敷引き
礼金はお礼的な扱いで返戻されないお金です。敷引きは敷金や保証金から引かれる返されない金額になります。これらは、東日本と西日本、あるいは地域によって呼び方や性質が違う場合がありますので、どのような性質のお金なのかは申し込みの時に確認しましょう。

保証料
昔は入居に際して保証人が必要でしたが、世の中の流れから今は保証人の代わりに保証会をつけることが多くなっています。その保証会社に払うお金です。契約時に2年間分支払い契約更新のごとに2年分支払う形式や契約時に一時金+毎月という形式もありますので一回だけなのか毎月発生するのかを確認しましょう。

保険料
賃貸住宅居住者向総合保険というような名称の保険になります。入居者の家財の火災保険+大家への賠償+個人賠償がセットになった保険です。ほとんどの場合、契約が入居条件になっています。

仲介手数料
管理会社に支払う手数料です。上限は家賃の1か月分+税になります。上限は決まっていますが下限は決まっていないので交渉の余地があります。

前家賃
家賃は通常先払いになります。4月分の家賃は3月中に支払います。契約時はその月の日割り分+翌月の家賃を支払う形になります。

その他
鍵交換代や水回り清掃料、退去時の清掃代を預ける場合もありますので確認しましょう。また、払った費用の明細や領収書は必ず取っておきましょう。

この記事を書いたプロ

大野雅志

暮らしを自分らしくする働き方、お金の使い方を提案するプロ

大野雅志(FPオフィスOHNO)

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