管理職の抱える悩み
- 「バカ・アホ」などの罵倒の言葉
- 「辞めてしまえ、能無し、お前なんか要らない」などの人格否定の言葉
- 体型や外見を指摘する言葉
- 必要以上に大きな声での叱責
- 会議中・朝礼中など多くの人がいる中で個人に向けた強い叱責
- 部署内一斉メールでの個人叱責
- 面談中のため息や舌打ち など
パワハラなどのハラスメント事件の裁判事例で、
このような発言・行動が継続的に行われた事実があると、
パワハラとして認定される可能性が高まります。
会話の前の両者の関係性や、事件に至るまでの背景によって判断基準は変化しますが、
実際のパワハラ関連の裁判では「加害者の言動が客観的に見て指導の範囲を
逸脱しているかどうか」が重視されているようです。
「最初は正しく部下への指導・指摘をしていても、途中からイライラが募り、
最後は相手を罵倒してしまうこと」も起きがちな事例です。
例として、営業部門で日報提出を怠りがちな部下に対して上司が
「何度も言っているが日報は毎日提出しないのはダメだ」
「君一人だけが提出できていない、今のままではこの仕事を任せられない」
「どうしてできないんだ、何か理由はあるのか」
などと叱責しているのであれば、パワハラではありません。
日々の営業活動の結果を日報として会社(上司)に提出することが会社のルールであれば、それを怠ることは社内での義務を果たしていないので叱責の対象になります。
上司としてもルールを守らないスタッフにそれを守らせるよう指導することは、
上司としての部下指導の業務です。
上司は部下の仕事の最終的な責任を負っているので、ルールを守らない(守れない)部下を指導することは上司自身の業務になるわけです。
しかし、それらの言葉の後に
「同じことを繰り返すなんてお前はバカか?」
「こんなこともできないなら辞めてしまえ」
「いつまで経ってもお前は給料泥棒だ」
「次遅れたら、罰金1万円払え!」
「やっていることが小学生以下だな」
というような相手の人格否定や強い非難、侮辱、暴言などを付け加えると、
言われた部下がパワハラを受けたと感じてしまいます。
このような言葉を投げかけられた部下は、叱責の原因が自分にあるにも関わらず、
後半の「人格否定や強い非難、侮辱などの言葉だけ」が記憶に残ってしまいます。
さらに、同様なやり取りが続くと「自分だけが上司に否定されている=自分は継続的にパワハラを受けている」という意識が刷り込まれ、上司の声を聞くだけで恐怖を感じてしまうことに繋がります。
問題となる原因があり正しい言葉で叱責をしていても、その後に悪いワードが重なるとパワハラと思われてしまうのは、上司にとっても部下にとっても良いことは一つもありません。
上司も人間なので叱責中の部下の態度・言動が悪い(不貞腐れる、失敗を他人のせいにする、開き直る、反省の色がない、など)せいで、つい頭に来てパワハラワードを発してしまうこともあり得ます。
しかし感情的になっても問題は解決しませんし、より悪い方向に進むことも考えられます。
日頃から、感情のコントロールを意識して部署内のコミュニケーションをとることが大切です。