職場におけるハラスメントとは?

越田雅人

越田雅人

テーマ:ハラスメント


1.ハラスメントとは?

ハラスメントという言葉が当たり前のように広まっていますが、
具体的な定義が理解できている人は少ないと思います。
あらためて、ハラスメントの定義を解説します。

ハラスメントの歴史

ハラスメントは1970年代初めにアメリカの女性雑誌編集者らが作り出した言葉です(諸説あり)。
日本では1989年に女性社員が上司を訴えた初のセクハラ民事裁判が
起こった事と同年の新語・流行語大賞で「セクシャル・ハラスメント」
が金賞を受賞したことで一般化しました。

ハラスメントの意味と定義

ハラスメントを広い意味で簡単にいうと「嫌がらせ」になります。
定義は[ある言動・行動によって、相手に「不快な思いをさせる」「恐怖を感じさせる」こと]
です。
また、ハラスメントは受けた側が不快・恐怖を感じれば 成立
してしまうことが重要なポイントとなります。
行った側に嫌がらせの目的がなくても受けた側が
不快・恐怖を感じた行為はハラスメントに該当します。

2.職場のハラスメント

職場は、年齢、性別、出身地、雇用形態の違う人が集まる場所です。
さらに個人毎にそれぞれ価値観が異なります。
それだけに職場はハラスメントの発生しやすい環境であるといえます。
実際に都道府県労働局の相談窓口にて寄せられた「嫌がらせ、いじめ」の相談件数は、
令和元年において8万件を超えており、
10年前にあたる平成21年の約3.5万件の2倍以上となっています。
職場のハラスメント実態調査(厚生労働省:令和2年度)でも、
過去3年間にパワハラを経験した割合が31.4%という結果が出ています。

3.ハラスメントがある職場で起きていること

職場でハラスメントが起きるのは人対人が中心

上司がある特定の部下に向けてパワハラ行為を行うと、
受けた側の仕事の質・量は低下し、場合によっては
メンタルダウンで出勤できないことにもつながり、
離職の可能性の低くありません。
周囲の人も被害者のことを心配して注意したいが、
その上司の矛先がいつ自分に向かうかビクビクしながら
仕事をすることになります。

人と人で行われたハラスメント行為が職場全体の環境を悪化させる

そして、従業員の仕事に対するモチベーションが下がり、その結果
・業務効率の低下
・生産性の低下
・品質・サービスの質の低下
・離職者の増加
・求人しても集まらない
などという企業にとっての大きなマイナスに繋がっていきます。
今日ではSNSの普及でハラスメント事件は表沙汰にならなくても、
個人の発信で世間に伝わることは珍しくありません。
企業活動において、ハラスメントの発生はマイナス面しかありません。

4.ハラスメントを放置するとどうなる?

ハラスメント事件が起きた時の企業の法的責任

現在、ハラスメントは加害者本人の法的責任に加えて、
会社などの使用者の義務と法的責任が明記されています。
パワハラ/セクハラ/マタハラ/育児介護ハラにはそれぞれ行政による
指針が設けられ、防止措置が義務付けられました。

社内の問題

社内にハラスメントが起きているのに、
会社が何も行動を起こさないでいると様々な副作用が起きます。
企業にとってダメージが大きいのは「離職の増加」です。
新入社員の定着率も下がっていきます。
高いコストをかけて採用した、新入社員・中途採用者が
短期で離職することは企業の未来をも左右します。
新入社員の離職理由で最も多いのは「人間関係の悪さ」で、
多くは何らかのハラスメントが関係していると考えられます。
現在のように欠員補充が非常に困難な時代に
「離職の増加」は何としても避けなければなりません。

5.ハラスメントの防止対策

ハラスメントに対する会社の姿勢を明示する

ハラスメント防止に向けての最も重要なことは、
経営トップから全従業員に向けて
「うちの会社ではハラスメント行為を許さない」
という明確なメッセージを発信することです。
この明確なメッセージ無しに対策を進めても、
従業員側には「会社が本気でハラスメント対策に取り組む意思」が伝わりません。
ハラスメント対策は経営トップの本気度が定着の鍵になります。

従業員全員がハラスメントの知識を持つ:ハラスメント研修

ルールを守るためには、そのルールを知らなければなりません。
身近な事例を多く取り入れたハラスメント研修で学ぶことが望まれます。
ハラスメントの多くは意図的な「嫌がらせ」ですが、
本人が自覚なしにハラスメント行為をすることも発生します。
他人のハラスメントには敏感であっても、
自分自身の行動がハラスメントに該当することを考えない人は少なくありません。
このような人は外部からの働きかけがないと、
自身の無自覚ハラスメントには気づきません。
会社は規模や業種、社員構成(性別・年齢層)、拠点の有無などにより抱える問題が異なります。
無料でダウンロードできる研修資料や広い対象に向けたパッケージ研修ではなく、その会社に合わせた研修が望まれます。

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越田雅人
専門家

越田雅人(コンプライアンスマネジメント)

株式会社コンプラ・マネジメント

製薬メーカー各部署(営業、マーケ、法務、総務、コンプライアンス)での活動と業界団体委員会活動など、内外から課題を捉えてきた知見をもとに、企業や団体の風通しの改善とコンプライアンス体制構築・運用を支援。

越田雅人プロは北海道テレビ放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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