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高正樹

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高正樹(たかまさき)

社会保険労務士法人ジャスティス

コラム

なぜ賞与を出しても従業員のやる気が上がらないのか

労務管理

2016年12月8日

 従業員の仕事へのモチベーション(やる気)は業績に直結します。このことについて異論がある経営者の方は少ないと思います。

 従業員のモチベーションを上げるためには、どのようなものが考えられるでしょうか?

 一番始めに考えられるのは、給与や賞与の金額アップではないでしょうか?

 多くの経営者の方が「無理をしてでも賞与を出したのに従業員から感謝の言葉はない。むしろ不満さえ聞こえる。」という思いを持たれているのではないでしょうか?

 では、なぜ賞与の支給や昇給が従業員のモチベーションアップにつながらないのでしょうか?

 人は良い行動が出た後に、すぐに褒められると(褒め方は様々です)、その行動の出る確率やその行動が維持されることが多くなることが証明されています。
 たとえが動物で恐縮ですが、テレビで見る麻薬探知犬は、麻薬を探知してその隣に座ると即座に餌を与えられ褒められています。その結果その行動は維持されているのです。
 これを人に置き換えると、たとえば、「会議で発言する→褒められる→会議で積極的に発言する」というようになるでしょう。
 一方、「会議で発言する→空気を読めと怒られる・頭ごなしに否定ばかりされる→会議で発言してもムダ」となって会議で発言する行動は減るでしょう。
 従業員の行動は案外、”行動直後の周囲からのフィードバック”に左右されているのです。

 ただし、従業員は人なので動物のように即時フィードバックだけで左右されているわけではありません。人は、言葉があるため言葉で「先週のあの行動よかったよ。」と褒めることができるのです。

 ここからが大切なところなのですが、言葉によるフィードバックにも”有効期限”があるのです。
 言葉によるフィードバックの有効期限は、心理学的には”最長2週間”と言われています。

 鋭い経営者の方であれば、ここで「なるほど!」とおっしゃっていただけると思います。

 そうです、賞与は良い行動を起こしたとしても、通常半年後に褒められる(支給される)のです。
 昇給も同じです。多くの会社で年に1回褒められる(昇給される)のです。
 これだとどのような行動をして、褒められているのか(賞与がもらえたのか、昇給してもらえたのか)を従業員は自覚できないのです。
 ですので、ただ単にわずかな賞与がもらえた、わずかな昇給があった、という金額面の事実だけを捉えるため、何のモチベーションアップにもつながらないのです。

 ではどのようにすればモチベーションアップにつながるのでしょうか?

 方法はいろいろと考えられますが、良い行動が起きたらすぐに褒められる環境になっていることが大切と言われています。

 有名な例ですと、某アトラクション施設ではよい行動を見つけた社員はその場で褒めるカードを渡します。そこには具体的な行動が記載され、その後の人事評価にもつながります。
 毎週面談をして、具体的な行動ができていたか、できていなかったかのフィードバックをすることがオススメです。

 始めは「そんな面倒なこと出来ない。」だとか「そんな時間はない。」などという声が聞こえてくるのですが、習慣づけると案外ラクだったりします。
 それどころか、「最近、部下とのコミュニケーションが円滑になった。」とか「幹部が管理職意識を持つようになった。」などという声も聞こえてきたりするものです。

 大切なポイントは、会社として、従業員が望ましい行動をした時にできるだけ早く適切に褒められる状態・環境になっているかどうかです。
 そういう意味で言えば、一般的な人事評価・フィードバックの期間である半年や1年というのでは、望ましい行動を継続させるモチベーションアップには全くつながっていないと言えます。

 このポイントでぜひ社内の評価のあり方などを見渡していただければと思います。

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