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林克哉

人物力向上メソッドと経験力、熱意で、進路実現を支援するプロ

林克哉(はやしかつや) / 若年世代の可能性を拡大する教育訓練のトレーナー

有限会社フォスター

コラム

麴町中学校の教育から見える新たな教育の展望

2020年11月20日

テーマ:教育

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

 東京都千代田区立麹町中学校――。
 公式サイトはこちらをご覧ください。

 政治家をたくさん輩出してきた学校として認識している方も多い学校ですが、ここは、区立中学校ですから、立地や保護者の職種など背景の違いはあれど、学校生活を教員に囲まれて送るという構造に大きな違いはなかったはずです。

 しかし、数年前にこの学校が注目を浴びるようになった原因は、こんなに有名で真面目でがっちりと勉学に勤しむ子供たちで充実しているイメージだった学校が、いつのまにか、偏差値教育、受験競争の泥沼に脚をとられてしまい、生徒から気迫や活力が失われたようになり、疲れてしまっている姿が増えて、それに応じた色々な問題も浮上してくる――という様相だった(のではないかと筆者は推測しますが)、にもかかわらず、突然、クラス担任を廃止し、中間期末テストも廃止、宿題も廃止――、次いで、単元の小テストを実施し、ディスカッションから生徒主体のイベント、創意工夫で生み出したものづくり、英語劇、動画撮影編集してSNSにUPする――といった、大人世界にあるアツイものを、軒並み実行し始めたことにあります。外部のプロフェッショナルを講師として招き、生徒に社会で通用する知見を獲得させようとしていることが、明確に見える取り組みをしておられます。そして、驚いて押し寄せたマスメディアの目に最初に飛び込んできたのは、子どもたちの元気いっぱいな姿だったと言います。

 私は、大学を出て最初に働いたのが教科書や辞書を出版する大手出版社の通信テスト、模試を行う事業部でした。そこで、小論文の担当をさせて頂いたことから、小論文試験にいきなり深く関わることになりましたが、元々、成績だけは良かったため、高校1年生の時から家庭教師を始めて以来、ずっと家庭教師のアルバイトをさせて頂いてきていたので、教えるということは、生徒の何をどう変化させることなのか、はある程度分かっているつもりでした。そして、小論文という、学習者の認識基盤が色濃く表れる試験の担当者になって、大勢の添削者(ここでは、現役教員の方がほとんどでしたが)の指導水準や観点を知ることとなり、学習者との間にある溝を感じ始めていました。指導する側には、指導する根拠、背景がありますが、学習者には、与えられた課題に向かう以前に個々の事情や背景があります。そして、指導する側は、学習者だった経験だけでなく社会経験もあり、子どもの事情と大人の世界の事情を踏まえた指導も可能です。しかし、多くの添削者が、一方的に、大人の世界の基準でものを言ってしまい、要求を出していました。子どもの認識を把握してそこからワンステップ上がるように、手を引いていくという優しさ、寄り添う姿勢は、見られませんでした。

 平成ミレニアル世代の人の言葉では、そういう指導、指導者は、『上から目線』と簡単に排除されます。

 私は、しばしば、企業やその相談を受けておられる立場の方から、昭和世代と平成ミレニアル世代とのジェネレーションギャップの問題を解決する方法を教えて欲しいと問われます。そう言って頂く理由の一つが、我が社の姿を見て、直感的に、この会社には、そのノウハウがあると感じるからだ、と言われたことがあります。確かに、我が社は、昭和世代の私と、他は、全員平成生まれで、年齢にして30歳以上の開きがあります。
実は、私も悩んだ時期がありましたし、上手くいかなくて、バックオフィスに問題があると指摘されたこともありました。しかし、あるとき、林先生の考え方は実践U理論ですよね、と言われたことがきっかけで、そうだとしても、自身の会社内で、そこを意識して采配していなかったと猛烈に反省し、社員の皆とのやり取りや、対処法のすべてを見直そうと決めて、考え方をU理論に替えていきました。

 その結果、今では、私を除く社員の平均年齢27歳の皆と私との関係は、大きく変わりました。いつも笑いが絶えず、一緒にご飯を食べ、冗談とやる気に溢れ、毎日が楽しくてたまらない職場へと生まれ変わることができました。


 もともと、昭和世代が培ってきたPDCAは、大変優れた合理的なアプローチ法ですし、これはこれからも活用されていくことは間違いありません。しかし、よく言われるアクティヴ・ラーニング、アクティヴ・トレーニングは、自発的でなければ意味がありませんので、主体的にやりなさい、と指示された時点で、もう、主体的ではなくなっていきます。

 ましてや、これは子育てや教育の世界では特に重要ですが、昭和世代の知見がどんなに優れていても、未来を見る力があり、その未来に備えた学習、訓練を施すことが出来ない限り、適切な対策を行っているとは言えません。昭和世代の見識は、昭和時代に有効であっても、これからの未来にも有効だとは断定できないものもあります。

 私の友人の中に身体障碍者手帳を持つ人が男女数名います。世代は、いずれも私より20歳~40歳位若いので、いちおう人生の先輩として彼らに教えるとかアドバイスするという場面が何度かありました。しかし、彼らに苦手なことがあるとか出来ないことがあると意識して接したことはありません。やりたいことをどうやって実現するかを考えているときに、できるかどうかを基準にして選択肢を用意していると、可能性を削いでいくことにしかなりませんから、私は、やりたいことをどうやってやるかを考えるときは、どうやってやりたいかを尋ねます。そしてそのやり方を少しでも実現しやすいように協力することが私の役割だと考えています。

 麹町中学校の取り組みにある考え方は、どの現場に対しても、インカネーションする価値があると思います。

 教育の観点に絞り込んでみるならば、麹町中学校の優れた取り組みは、学校現場の主役が、子どもたちであることを再確認し、それなら、子どもたちが何を目指したいか、どうやりたいか、その経験から何を獲得したいのかを、しっかり考えてもらい、自らの発想を生かして、協力し合いながら、活動を生み出していけるように、生徒主体で活動を実現できるよう教員組織が応援するということに徹しています。その点で、他ではなかなか見られない優れた取り組みだと言えるのです。

 一方、主体性を持てるのは、どの世代も同じ、ワクワクすることをやろうとするときです。その経験に期待を抱けることが何よりも大事なのです。だから、やってみたいことを自由に選ばせ、事故の無いように大人が支え護り、そうして最大、主体的に取り組めるようにしていくと、それが成功しても失敗しても、子どもたちは、そこで大きな学びを経験し、目を見張るほど成長します。

 その成長は、単なる学習で得た記憶ではありません。

 教員や、大人の支持する企画をお客さんのように見ていたり、指示されたことを指示通りにやって褒められるといったお人形さん扱いをされる経験とは、次元が違います。

 どんな苦難が待ち受けていようと、その状況を理解するために調べ、疑問を晴らしながら、状況を変えていくためのカギを探し、自力で難しい場合は他者と協働し、互いの違いを活かしあいながら、支え合いながら、守り合いながら、成就していく、主体的で、深い学びを通してのみ実現可能な、現実的なアプローチであり、そこで得たものは、人間力、生きる力と呼ばれる、本当の学力基盤です。これを手に入れた人は、必要に応じて、どんなことでも学び取っていけるから、すごいんです。人間の可能性は無限大だと言えるのです。

 昭和世代の私は、ゴリゴリの昭和の価値観が大好きですし、両親に深く感謝し、先輩たちの培って下さったもののお陰で今があると分かっていますが、だからこそ、次の世代には、次の世代に必要な力を身に付けさせてあげるべきだと、心から訴えたいと思います。

余談

 ある私立の学校で、この学校では我々教員が一番偉い、なぜなら国立大学の大学院を出ているからだ、と私(筆者)のように大学院も出ていない非常勤講師は大したことないと生徒たちに言った先生がいました。それを、生徒が、涙を流し、悔しいです、と私に報告してくれたことは終生、忘れません。

 大学院の教材を作り、全国40カ所以上の国公立大学で授業をし、何度も大学教授会のセミナーで講師として呼んでいただいてきた私は、いつも、最初の自己紹介でこう言います。私は、研究者でも教育者でもありません。私は在野の人間です。しかし、だからこそ、出来た経験があります。

 小学生、中学生、高校生、浪人生、大学生、一般社会人、保護者、そして大学教員の皆様に、教えさせて頂くという経験をこれまで40年間してきた、珍しい経験を持っていますので、その経験の中で得たことでしたら、お伝えすることが出来ます、と。

 そうすると、腕を組んで目をつぶり、この時間は眠ろうと決め込んでおられた風の名誉教授の立場の先生も、すっと目を開き、私の顔をまっすぐに見てくださいます。

 そして、いつも、講演を終えると、先生の方から握手を求めて頂き、非常勤ででも来て欲しいと言って頂いて参りました。

 ワクワクは、子どもの得意技です。疑問を持ったらその答えを発見しようとするワクワクに眼を輝かせ、あの手この手で答えを探すときの元気いっぱいのパワー。そして、答えを見つけたときの爆発的な喜び。それは、小学生も大学生になっても、大きくは変わりません。

 もしも、目の前の大学生、高校生が、そういうワクワクを抱くエネルギーに欠けているように感じられるとしたら、ぜひ、そのお子さんの生活、学習環境に気を付けてみてください。そこには、昭和の価値観、経験を押し付け、競争原理の中で勝者になることが素晴らしいといった、妄想を押し付けている時代錯誤の大人がいるに違いありません。

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人物試験専門教室 PORTA・ポルタ高等学院【提携校 八洲学園大学国際高等学校】

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