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改正民法物語18(保証債務9)

2021年2月20日 公開 / 2021年2月22日更新

テーマ:法律コラム

コラムカテゴリ:法律関連

今回は、事業性貸金等債務に関する個人保証の制限に関連して、契約締結時の情報提供義務(法465条の10)の問題を解説します。ここで言う情報提供義務は、保証契約締結時において主たる債務者が(受託保証人に)負う義務として規定されています。

世間で良くあると思うのです。例えば、お金を借りようと思って金融機関に相談したら、保証人を連れてくるように言われ、親族等に「絶対迷惑をかけないから保証人になってほしい。」と言って保証人になってもらうことです。もっとも、結局主債務者において支払ができず、保証人に迷惑をかける結果となってしまうことが数多くありました。

これまでは保証人が泣き寝入りをする他なかったのです。しかし、保証人は、普通主債務者の経済状態について何らの情報も無く、また、通常何らの対価を得ることもなく、情宜に訴えられてやむを得ず保証債務を負担するわけです。

にもかかわらず、一方的に重い責任を負わされるのはおかしな結論です。主債務者の経済状況について何らの情報も与えられないとすれば、保証人は騙されたと感じるでしょう。

主債務者の経済状況を把握した上で、自らの判断で保証債務を負うのであれば、自己責任としてやむを得ないといえます。しかし、その判断の対象となる情報を提供されていないとすれば、一人保証人のみが責任を負わせられることになりますが、これはおかしな結論です。

そこで、受託保証人の利益を守るために、主たる債務者が保証人に保証の委託をする際に、主債務者の状況について情報を提供する義務を負わせ、場合により保証契約自体を取り消すことを認めました。以下解説します。

民法465条の10第1項では、次のような情報について主債務者が受託保証人に情報提供をしなければならないと定めました。
①財産及び収支の状況
②主たる債務以外に負担している債務に関する情報(債務の有無、額、履行状況)
③主たる債務の担保に関する情報

問題は、第2項です。上記情報を正直に提供すれば問題はありません。しかし、それらを正直に話してしまうと保証人になってもらえない場合もありうると思います。

そこで、主たる債務者が保証人にキチンとした情報を提供せず、又は虚偽の情報を提供した場合で、そのことについて債権者(貸す側)において故意又は過失があった場合は、保証契約自体を取り消すことができると定めました。

民法はこれと同じ規定を外にも設けています。つまり、いわゆる第三者詐欺(民法96条第2項)の場合であり、これと同じ法律構成を採用したことになります。金融機関たる債権者において故意又は過失があることを条件としつつも、保証契約自体の取消というラジカルな手段を認めたのです。

主債務者が嘘をついていることを金融機関が知っているという事態は、それほど多くないと思います。しかし、過失がある場合、つまり本来であれば知り得たと言える場合にも、保証契約の取消しが認められます。

その意味で、これ金融機関にとってかなり大変な改正と言えます。これまで以上に与信業務に慎重さが求められることになりますので、金融機関側の負担が増えることは間違いないでしょう。

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この記事を書いたプロ

中根弘幸

企業法務・事業再生のプロ

中根弘幸(中根・車元法律事務所)

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