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改正民法物語17(保証債務8)

2021年2月19日 公開 / 2021年2月22日更新

テーマ:法律コラム

コラムカテゴリ:法律関連

今回は、事業性貸金等債務に関する個人保証の制限についてのもう一つの例外についてご説明します。いわゆる経営者保証の例外(法465条の9)です。
この問題については、既に保証債務5で触れております。

第三者保証を原則的に制限しつつ、会社経営者ないしこれに準ずる者については例外的に保証を認める訳です。従って、会社への融資を行うに当たって経営者を保証人にする際には、保証意思宣明公正証書を作成する必要はないことになります。

会社が融資を受けようとする際、同社の代表取締役である者は連帯保証を求められます。これが金融機関側の論理では、決算書の粉飾防止の意図が込められていることは既に説明しました。

問題は、ここで言う経営者とはどういう人を指すかになります。民法(法465条の9)は、これに三つの規定を設けております。
①理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者(一号)
②主要株主等実質的支配者(二号)
③共同事業者又は現に事業に従事している配偶者(三号)

まず、第一号の「取締役」について簡単に解説します。実際に取締役として経営に参画している人がこれに当たることは問題ありません。では、名目的取締役についても同様に言えるのでしょうか。

会社法には、そもそも名目的取締役という概念は存在しません。同族会社などで実際には経営に関与せず、名前だけ商業登記簿に記載されている存在があることは知っていますが、その人も普通の取締役です。経営責任が軽くなるわけではありません。そこで、ここで言う経営者に該当することになります。

次に、社外取締役についてはどうでしょうか。ここでも、社外・社内の別は、取締役の出身母体の問題に過ぎず、取締役の責任に関係しません。そこで、ここでも経営者として保証人になりうる結果になります。

最大の問題は、第三号の配偶者です。ここで注意すべきは「事業に従事している配偶者」とされていることです。従って、事業に何らの関与もしていない専業主婦は除かれます。

しかし、同族会社の場合など考えればおわかりのように、配偶者が何らの関与もしていない状況は考えにくいのです。例えば、配偶者が会社の経理を手伝っていることが良くあります。このとき、事業に従事しているとして経営者と判断されるのでしょうか。

この点は、個別事案として今後の判例等の集積に待つしかなさそうです。ただ、弁護士的には、単に会社の経理を手伝っている配偶者は、ここで言う経営者には入らないとも考えうるのです。

では、どういう場合がこれに当たるのでしょうか。ヒントは、第三号の前段「共同事業者」という文言に求められます。つまり、法文が共同事業者と同列に「又は」という文言で括ったのは、少なくとも共同事業者に匹敵する程度に経営に関与している者を前提としている、と考えるべきではないかということです。

そこで、配偶者が共同事業者と同等程度に会社事業に関与している場合は、経営者保証の例外として保証人にできるが、単に会社の経理事務を代行している程度であれば、保証人に取ることはできない、と考えるべきでしょう。もっとも、この点は異論もありそうです。

最後に条文構成は前後しますが、求償保証への準用(法465条の9)について触れておきます。本来求償債務は、貸金等債務には含まれません。しかし、準用条文が設けられた結果、例えば、信用保証協会の保証委託債務について個人が連帯保証する場合にも、同様に規律の対象となることになります。

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この記事を書いたプロ

中根弘幸

企業法務・事業再生のプロ

中根弘幸(中根・車元法律事務所)

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