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改正民法物語5(閑話1)

2021年1月23日 公開 / 2021年2月22日更新

テーマ:法律の改正

コラムカテゴリ:法律関連

前回、不動産に関する貸主の地位の移転について、コラムを書きました。今回は、改正民法(債権)の話から離れ、不動産について少し気ままに話してみようと思います。

ところで、不動産とは何でしょうか。民法は、動産・不動産について定義規定を設けています。すなわち、土地及びその定着物をもって不動産とし、不動産以外の物は全て動産とされています(民法86条1項・2項)

そこで不動産といえば、普通は土地とその定着物としての建物の二つになります。そして、これらは別個に取引され、独自に公示制度(不動産登記)が設けられています。台湾や韓国でも同様のようですが、欧米では、むしろ一体的に取引されるようです。

土地と建物は、同じ不動産として、法的にも全く別個の権利義務の主体として扱われることになりますが、そもそも土地と建物は、本当に完全に同じ不動産として取り扱うべき実態があるのでしょうか。私は、少し疑問に感じていました。

というのは、土地は、原則的に再生産ができないと考えるからです。もちろん、土地も海を埋め立てたり、山を掘削したりして作り出すこともできます。現実に埋め立てや山を崩す等して団地開発等が行われています。しかし、これらは日本全体で見れば極めて限られた面積だと思います。

これに対して建物は、基本的に鉄骨や木材で作られ、材料があればいくらでも再生産できるものと考えられます。そこで、同じ不動産であるとしても、このような特性の違いが両者の法規制に微妙な影響を与えるのではないか。否、与えざるを得ないのではないか。

このように考えて、土地と建物に関する法律上の規制の違いが、前記土地・建物の特性の違いによってどのように影響を受け、法規制において変容されているかを考察した人がいます。

もちろん、私ではありません。私の尊敬する先輩だったのですが、大学院時代の修士論文のテーマだったと言っていました。この話、私のような頭の固い人間には、本当に驚きでした。

土地と建物という二つの不動産の法規制の違いが、このような本質的な価値と結びついていたとは?ただ、もっと驚いたことがありました。それは、司法試験の勉強のために、薄い民法の教科書を読んでいてハット思った記述に出くわしたのです。

それが、まさに、今まで述べてきた土地と建物の(再生産の容易さという)本質的な価値の相違が、両者の法規制の相違となって現れているとの記述を見つけたのです。

退屈だと思って読んでいた普通の教科書の総論部分にさりげなく書いてある記述を発見したとき、やっぱり学者はキチンと研究した上で教科書を書いていることがわかり、尊敬の念を禁じ得ませんでした。

一定のテーマで論文を発表することは、それはそれで大変だと思います。でも、教科書はそれらのテーマを全て消化して平均的なウェイトでまんべんなく記述する必要があるのですが、その中にきらりと光る記述を見つけることができました。学者は、やっぱり偉い!

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この記事を書いたプロ

中根弘幸

企業法務・事業再生のプロ

中根弘幸(中根・車元法律事務所)

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