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改正民法物語1(債権譲渡)

2021年1月10日

テーマ:法律コラム

コラムカテゴリ:法律関連

私の話はどうしても債務に関する内容が話の中心になりますが、今回は債権の譲渡について述べてみようと思います。

その前に、債権とは何でしょうか。物権とどこがどう違うのでしょうか。これ、教科書では、債権と物権の相違として解説されています。本コラムの後半でも、譲渡禁止特約付きの債権譲渡の効力に関して、「債権的」「物権的」との表現が出てきますので、簡単に説明しておきます。

債権とは、ある人(債権者)が他のある人(債務者)に対して一定の行為を請求することができる権利と定義されます。その意味で、債権は、相対的で対人的な権利なのです。

これに対し、物権とは、ある人が特定の物を直接支配して(つまり、人の行為を介することなく)利益を享受する排他的な権利と定義されます。つまり、排他的で直接的な権利です。

以上のように、債権と物権は対照的な権利なのですが、債権も物権もその権利を譲渡することができます。物権の場合、物に対する直接的な権利なので譲渡可能性も理解しやすいのですが、債権は、人に対して一定の行為を要求する権利とされるのですが、同様に譲渡することができます。

このような債権譲渡は、いわゆる免責的債務引受の反対の行為と説明した方が理解しやすいかもしれません。免責的債務引受は、ある人(債権者)に対する債務をA→Bに移転することですが、債権譲渡は、ある人(債務者)に対する債権を甲→乙に移転する行為です。

この債権譲渡については、譲渡に制限(禁止特約)が付けられていることがあります。では、そのような譲渡制限(禁止)特約付きの債権について、その約束を破って譲渡した場合の効力については、どう考えるべきでしょうか。約束違反なので、その点に関して問題があることは当然なのですが、譲渡そのものの効力がどうなるかという問題です。

旧民法には規定(旧466条2項)があり、いわゆる物権的効力があるとされていました。つまり、原則的には譲渡が物権的に無効となるとされていたのです。もっとも、その無効を善意の第三者に対抗できないとされていたので、知らずに債権を譲り受ける第三者の権利は保護されていました。

しかし、現行法では債権的効力しか認めないことから、譲渡制限特約が付いていたとしても、譲渡そのものは有効としつつ、悪意・重過失の譲受人(第三者)に対して例外を認めました(法466条3項)。つまり、今回の民法改正では、原則と例外が逆になったのです。

また、権利供託(法466条の2)と義務供託(法466条の3)という二つの制度が設けられました。これらの解説は少し難しいので項目のみ指摘して内容の説明は省略します。今の時点では、債権譲渡後に譲渡人が破産した場合に意味が出てくる規定だと理解しておいて下さい。

譲渡制限(禁止特約)付き債権については、その差押えの場合の処理が問題となります。現行法は、譲渡制限の対抗不可として、第三者に対する例外規定(法466条3項)の適用を排除しました。そうしないと私人間の合意で差押禁止財産を創設することが可能になるからです。

一番問題となるのは銀行預金等の預金債権ですが、このような預金債権に譲渡禁止特約が付けられていることは世の常識と思われます(いわゆる銀行取引約定書に条項が設けられています)。そこで、最初から例外として、譲渡契約を物権的に無効とすることにしました(法466条の5)。

こうすることで、通帳と印鑑(届出印)を持参する人への支払いが可能となり、預貯金の円滑な弁済を確保しようとしています。

少し、難しい解説になったかもしれません。次回からは、もう少し具体的な事例を交えながら解説したいと思います。

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この記事を書いたプロ

中根弘幸

企業法務・事業再生のプロ

中根弘幸(中根・車元法律事務所)

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