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中根弘幸

企業法務・事業再生のプロ

中根弘幸(なかねひろゆき)

中根・車元法律事務所

コラム

破産・再生余話17(収益弁済型民事再生)

2019年8月11日

テーマ:破産・再生

今回は、収益弁済型の民事再生でのファイナンスの問題を取り上げてみましょう。会社が民事再生手続きによって再生開始決定を受け、一定の債権放棄を受けてその後10年間での分割弁済の再生計画を作ったとします。

債権額と債権者数の双方で過半数が賛成すれば、その再生計画は認可され、大幅な債権放棄が行われます。例えば、10億円の負債で苦しんでいた会社が負債の9割をカットして、残り1億円を10年で支払うという再生計画が認可されれば、かなりの好条件だと思います。

そうすると、再生会社の資金繰りは大幅に改善し、再生後の会社運営はかなり楽になるはずです。それなら上手くいかないはずはない、と思われます。ところが、ここからが意外に難しいのです。

再生会社は、これまでの過大債務を切り離すことができますが、そこからの資金繰りは容易ではないのです。というのは、新規借入は困難となり、受取手形の割引も難しいからです。

このことは、会社が有している売掛金を回収して資金繰りを回していかねばならないことを意味します。会社経営者なら分かると思うのですが、新規借入を受けられず、また、受取手形を満期まで保持して回収するしかないとすれば、会社の資金繰りは本当に回るのでしょうか。

そもそも、当該再生会社は、10億円の負債があったことでおわかりのように、それなりの規模を持った会社です。ということは、仕入れもそれなりの規模と考えられます。その資金を売掛金の回収だけで回していけるか、極めて疑問です。

というのは、現在健全に運営されている会社でも、銀行借入無し、受取手形の割引なしで、10年間という長期間会社を運営していける、つまり、資金繰りに支障を来さず営業を継続できる会社が何社あるでしょうか。これができるのは、相当の優良会社でしょう。

普通はどこかで資金ショートが発生し、資金繰りが困難となります。そこで、このような再生会社に資金を融通するいわゆるDIPファイナンスが必要になります。ところが、このファイナンスが地方では整備されていません。

過去には、某政府系金融機関がアリバイ作り的にDIPファイナンスを付けてくれたことがあります。金額は二千万円で、しかも、日本経済新聞の地方版に某政府系の金融機関初のDIPファイナンスとして大々的に取り上げられました。そのくらい、珍しことなのです。

このファイナンス不足によって、資金繰りが回らず、資金ショートを起こして破産に到ることが多いのです。非常に残念です。

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