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中根弘幸

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中根弘幸(なかねひろゆき)

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コラム

破産・再生余話10(責任制限手続き)

2019年7月10日 公開 / 2019年7月21日更新

テーマ:破産・再生

今回も少し法律的な話をしてみますので、お付き合い下さい。
皆さんは、「責任制限手続き」という言葉をご存じでしょうか。知らなくても無理もないのです。弁護士でも内容を知らない人もいます。

この責任制限手続きが、破産・再生とどういう関係があるかですが、実は深い関係があります。というか、深い関係が生じうるのです。

これについて破産法は、条文を2つ用意しているのみです。つまり、第263条で、「破産者のために開始した責任制限手続きについて責任制限手続きの廃止の決定があったときは、破産手続きは、その決定が確定するまで中止する。」と定め、その次の264条で細かい規定を設けております。

破産手続きと責任制限手続きとの関係について、皆さんに詳しい説明をしてもあまり意味がありません。そこで、解説は省略しますが、現実に問題になった事例をお話しすれば、多少とも興味が湧くかもしれません。

皆さんは、世界の海で石油タンカーが海難事故を起こして石油を海に流したニュースを聞いたことがあると思います。このような場合、タンカー所有者の賠償額が膨大なものになることは想像できると思います。

実際、日本でも、例えば台風によって関西国際空港へつながる通路に船舶が衝突して、空港の機能が麻痺したことは、覚えている人も多いのではないでしょうか。

最近では、周防大島への連絡橋へ船舶が衝突して島への物流機能が麻痺したニュースもご記憶のことと思います。特に、この最後の事例では、責任制限手続きが発動されたこともニュースで流れておりました。

この責任制限手続き、正確には「船主責任制限法」といい、海難事故などが起こった場合、往々にして損害賠償額が巨額になることから、海上運送の維持と保護のために設けられた法律です。

船舶を運航した船主の破産を避けるために、船主が一定の金額を拠出して基金を作り、その中から損害を受けた人が配当を受ける制度です。その意味で、破産手続きをスマートに行う手続きと言っても良いかもしれません。

こんな制度が活用される事例があるのか不思議に思っていたところ、周防大島の件では、船会社が25億円だか30億円拠出して基金を作り、この制度を利用したとの報道を目にしました。現実にあるのですね。

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