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吉村隆裕

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吉村隆裕(よしむらたかひろ) / 介護福祉士

もみじケア株式会社

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コラム

収入制限がヘルパー不足に拍車をかけている

2020年9月4日 公開 / 2020年9月13日更新

テーマ:人材不足

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: ホームヘルパー労働時間働き方改革

介護人材不足対策に収入制限の緩和または撤廃を

介護業界は女性の比率が圧倒的です。
ヘルパー、訪問看護師、ケアマネジャーの9割以上が女性です。

医療・介護人材不足が深刻なのはみなさんご承知の通りですが、
対策として最も効果的なのは、これしかありません。

それは、「収入制限の緩和または撤廃」です。

近年は男女雇用機会均等法などで女性の社会進出の必要性が叫ばれていますが、
日本は先進国に比べてまったく進んでいませんね。
全産業を見てもそうなのですが、これが進んでいない問題のひとつとしてあるのが
収入制限です。扶養というやつです。
毎年のように税制改革の話に出ては消えていますが、これには反対意見も根強くあるため、
政治家としては強く推し進められない事情があるのでしょう。

しかし、これからの少子化の中で労働力をいかに確保するかは喫緊の課題ですから、もうそろそろ先送りできないと思います。

うちの登録ヘルパーさんの中にも収入制限の中でお仕事されている方がいらっしゃいます。
この時期になると事務所に来られて、
「あと〇〇万円しか仕事できません。」という方が出てきます。
そこから我々は地獄が始まります。
替わりになれるヘルパーを探し、同行の時間を作り、ご利用者様に断りを入れる。
これが毎年です。

収入制限のあるヘルパーさんたちも仕事をしたくないわけではないのです。
どちらかといえば、仕事をしたいのに扶養に入れられてるから。とか、
もう少し金額の設定が高ければ、もっと仕事をしたいのに。とか、
そう思っている人が多いのです。

もう一つ、収入制限の制度があることの弊害があります。
それは、「時給を引き上げづらい」ということです。
時給を引き上げると、それだけ上限額に達するまでの時間が短くなるわけです。
こちらとしては、もっと時給を上げてあげたい優秀なヘルパーさんであっても、これ以上働く時間が短くなっては事業所の運営が成り立たなくなってしまいます。

国は国民の所得を増やすために最低賃金の引き上げを進めていますが、
それなら合わせて収入制限の緩和または撤廃を同時に進めるべきです。
そうしなければ医療・介護人材はますます不足していくでしょう。

政治家の勇気と決断が問われていると思います。

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