マイベストプロ広島
  1. 弁護士コラムvol.202 「改正相続法における配偶者相続人の保護」 山口卓
山下江

「相続」と「企業法務」を得意とする法律のプロ

山下江(やましたこう) / 弁護士

山下江法律事務所

お電話での
お問い合わせ
0120-7834-09

コラム

弁護士コラムvol.202 「改正相続法における配偶者相続人の保護」 山口卓

2019年6月7日 公開 / 2019年12月12日更新

テーマ:弁護士コラム/相続・遺言

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

改正相続法における配偶者相続人の保護

山下江法律事務所 弁護士 山口卓
 マイベストプロNo.189(城昌志弁護士)では,改正相続法における配偶者居住権についてお話しました。配偶者居住権により配偶者相続人の保護が期待されますが,配偶者居住権は遺言等がないと取得できません。配偶者短期居住権も一定期間の居住が許されるだけなので,配偶者相続人が生活の本拠地を失う可能性があります。
 そこで,配偶者相続人に居住用不動産と預貯金その他の相続財産を残せるようにするために,改正相続法において,「特別受益の持戻し免除の意思表示推定」制度が創設されました(2019年7月1日から施行)。これは,被相続人が,一定要件をみたす配偶者相続人に対して居住用不動産を遺贈又は贈与したときは,その遺贈又は贈与について,特別受益の持ち戻しを免除する意思があったと推定するという制度です。
 少し詳しく説明します。特別受益とは,相続人が被相続人から受けた遺贈又は贈与(婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本としてのもの)を言います。特別受益は相続財産の前渡しとして扱われ,相続財産額に特別受益額を加えて一応の相続分を算定し,その一応の相続分から特別受益額を控除した残額を,特別受益者の相続分とします(持戻しの計算)。持戻しを免除する,つまり,相続財産額に特別受益額を加えるなどの計算を行わないためには,被相続人が意思表示をすることが原則として必要です。
 しかし,改正相続法では,一定の要件をみたした配偶者相続人については,被相続人に持戻し免除の意思表示があったものと推定されます。その要件は,以下のとおりです。
  ①夫婦の一方である被相続人が,他の一方に対してする遺贈又は贈与
  ②①の夫婦の婚姻期間が20年以上
  ③遺贈又は贈与の対象物が,居住の用に供する建物又はその敷地
 この制度により,配偶者相続人は,居住用不動産の遺贈又は贈与を受けても,遺産分割においてこの点を計算に入れることなく,それ以外の相続財産を受け取ることが可能となります。
 ただし,あくまでも被相続人の意思表示が推定されるだけですので,被相続人が持戻しを求める意思表示をしていたことを立証できる場合には,持戻しの計算を行うことになります。
 相続においては,他にも様々なことが問題となるため専門的知識が不可欠です。お悩みがある方はぜひ当事務所にご相談ください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 山口 卓 (広島弁護士会所属)

弁護士  山口卓のプロフィール

相続専門サイトはこちら

■弁護士コラムバックナンバー【相続・遺言】
・vol.197 「相続財産の使い込みについて」 廣田 麻由美 2019/3/22
・vol.194 「遺産分割協議後に遺言が見つかったときは??」 宮部 明典 2019/2/8・vol.189 「相続時の配偶者の居住権」 城 昌志 2018/11/30
・vol.188 「遺言書の方式」 加藤 泰 2018/11/9
・vol.185 「遺言の制度が変わります。」 稲垣 洋之 2018/10/5
・vol.173 「遺産相続でもめないために」 加藤 泰 2018/4/6
・vol.167 「暴力息子にも自分の財産を相続されてしまうの?」 廣田 麻由美 2018/1/12
・vol.154 「適切な親の財産管理」 小林 幹大 2017/11/10
・vol.154 「相続放棄はいつでもできるか?」 柴橋 修 2017/7/7
・vol.152 「死んだら散骨してほしい!遺言に書いておけばいいの?」 廣田 麻由美 2017/6/9
・vol.151 『最近「終活」ってよく聞くけど必要?』 岡 篤志 2017/5/26
・vol.149 「相続放棄をすれば何も心配いらないの??」 宮部明典 2017/4/28
・vol.147 「法定相続情報証明制度が始まります」 青山慶子 2017/3/31
・vol.145 「預金債権と相続」 松浦亮介 2017/3/3
・vol.137 「続・相続における預金の取扱いについて」 宮部明典 2016/11/11
・vol.135 「共有物の分割」 青山慶子 2016/10/14
・vol.132 「遺言と遺留分」 加藤泰 2016/9/2
・vol.128 「遺言能力はどのように判断されるのか」 加藤泰 2016/7/8
・vol.127 「墓などの祭祀財産は一般の相続財産とは異なるルールで承継されます。」 笠原輔 2016/6/24
・vol.126 「遺産分割協議の解除と負担付遺贈」 山口卓 2016/6/10
・vol.125 「遺言書を見つけたら」 稲垣洋之 2016/5/27
・vol.122 「相続における預金の取扱いについて」 宮部明典 2016/4/1
・vol.117 「遺言書を作る理由」 松浦亮介 2016/1/22
・vol.113 「夫が亡くなりました。同居している義母に出て行ってもらうことはできますか?」 加藤泰 2015/11/27
・vol.103 「嫡出推定と法律上の父子関係」 松浦亮介 2015/7/10
・vol.99 「未成年の子どもがいる方は遺言を書こう」 加藤泰 2015/5/15
・vol.96 「相続人がいない人の遺産はどうなるの?」 稲垣洋之 2015/4/3
・vol.93 「遺産分割協議と行方不明者」 青山慶子 2015/2/20
・vol.92 「亡くなった親の介護をしていた相続人は通常より多くの遺産を取得することが出来るのか」 久井春樹 2015/2/6
・vol.89 「相続税制の改正」 松浦亮介 2014/12/26
・vol.83 「遺言無効確認訴訟」 山口卓 2014/10/3
・vol.71 「これからの信託」 加藤泰 2014/4/4
・vol.70 「将来認知症等になった場合に備える任意後見契約」 笠原輔 2014/3/20 
・vol.66 「エンディングノート」 副所長 田中 伸  2014/1/24
・vol.59 「非嫡出子の相続分」 城 昌志 2013/9/27 
・vol.52 「相続(その4)」 副所長 田中伸 2013.6.21
・vol.38 「遺産分割の対象となる財産の範囲」 山口卓 2012.11.22
・vol.35 「相続(その3)」 副所長 田中伸 2012.10.12 
・vol.28 「遺産相続でもめた場合には」 城昌志 2012.7.6 
・vol.19 「成年後見制度について」 山口卓 2012.3.2
・vol.16 「相続(その2)」 副所長 田中伸 2012.1.20
・vol.1 「相続」 副所長 田中伸 2011.6.17

この記事を書いたプロ

山下江

「相続」と「企業法務」を得意とする法律のプロ

山下江(山下江法律事務所)

Share
関連するコラム

山下江プロへの
お問い合わせ

マイベストプロを見た
と言うとスムーズです

お電話での
お問い合わせ
0120-7834-09

 

・法律相談は完全予約制で行っております。
・原則、弁護士との面談形式でご相談に対応しております。

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

山下江

山下江法律事務所

担当山下江(やましたこう)

地図・アクセス

山下江のソーシャルメディア

youtube
YouTube
2019-12-02
rss
ブログ
2019-12-12
facebook
Facebook