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弁護士コラムvol.178 「ファールボールが直撃して大けが。被害者は救済される?」 小林 幹大

弁護士コラム/いろいろ

2018年6月22日 / 2018年9月21日更新

ファールボールが直撃して大けが。被害者は救済される?


山下江法律事務所 弁護士 小林幹大
 広島では今年もカープの応援が盛り上がっていますが、プロ野球観戦には、思わぬ危険も潜んでいます。
 そこで、今回はプロ野球観戦中にファールボールが直撃し、大けがをしてしまった場合に被害者は救済されるのかという問題を取り上げてみたいと思います。
 このような場合に損害賠償を求める法的根拠は、不法行為(民法709条)ですので、損害賠償請求が認められるためには、球団側に過失すなわち一定の落ち度が認められなければなりません。
 プロ野球の公式戦を主催する球団は、観客と、入場料を徴収して野球を観戦させる契約を締結しています。この契約には、主催者として、単に試合を見せればよいのではなく、観客に対し安全に試合を観戦することができるようにするという内容が含まれていますから、十分な安全対策を取っていなければ、それが安全配慮義務違反として球団の落ち度といえるでしょう。問題は、どの程度の安全対策があれば十分なのかということです。
 そもそもプロ野球というスポーツは、投手が硬式ボールを高速度で投げ込み、打者がそれを打ち返すという、一定程度危険な行為であって、それがプロ野球の迫力を生み出しているという一面は否定できません。もし、主催者側に厳しい安全対策を義務付ければ、観客席を全て防護ネットで覆うことにもなりかねず、迫力や臨場感は損なわれるでしょう。
 実際の裁判例(仙台地裁 平成23年2月24日)でも、裁判所はプロ野球の球場施設に設置された安全設備について、その構造、内容や安全対策を含めた設備の用法に相応の合理性が認められる場合に、その通常の用法の範囲内で観客に対して危険な結果が実現したとしても、それは不可抗力ないしそれに準ずるものというべきであるとの判断をし、被害者の請求をすべて棄却しました。
 プロ野球では通常、相応に合理的な措置が施されているでしょうから、球団側に落ち度があるといえる場合は少ないでしょう。
 ただし、フェンスやネットの位置と高さ、注意を促すアナウンスの有無など安全対策程度はケースごとに異なりますから、必ず同じ結論になるとは限りません。お困りの時は、一度当事務所にご相談ください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 小林 幹大   (広島弁護士会所属)

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