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コラム

弁護士コラムvol.174 「未成年者の損害賠償責任」 城 昌志

弁護士コラム/いろいろ

2018年4月20日 / 2018年8月17日更新

未成年者の損害賠償責任



1 4月になり新生活が始まりました。小学生から大学生までたくさんの方が新たな学校に通い始める季節ですね。
  さて、小学校に通い出した子どもがふざけて友達を突き飛ばし怪我をさせてしまった、高校通学中に自転車を他人にぶつけて怪我をさせてしまった、18歳の子が無免許で親の自動車に乗り歩行者を怪我させてしまったといったときに、その子どもと親はどのような責任を負うことになるのでしょうか。

2 未成年者の責任
  民法上、未成年者が他人に損害を加えた場合には、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」(民法第712条)とされています。これは、未成年者が自分の行為が法律上違法なものであって責任を負わされるものなのかどうか判断することができる能力がない場合には損害賠償責任を負わないというものであり、この判断能力は概ね12歳から13歳程度で備わるものとされています。
  そのため、小学校に通いだしたばかりの子ども自身は相手に与えた怪我の責任を負わされることはありませんが、自転車通学を行う高校生や自動車を運転していた18歳の子は子ども自身が相手に与えた損害の賠償責任を負わされることになります。

3 親の責任
  先ほどの小学生のように、子どもが責任を負わない年齢である場合、子どもを監督する義務がある者は怪我をさせた相手方に対して損害賠償責任を負うことになります(民法第714条1項)。例外的に、監督義務を尽くしたことや監督義務を尽くしていても損害が発生したことを証明できた場合には損害賠償責任を負わなくて良いのですが、その立証は困難です。そのため、多くの事例では親は小学生の子どもが負わせた怪我の損害を賠償しなければいけないことになります。
  これに対し、高校に自転車通学していた場合や、無免許で親の車を運転していた場合には子ども自身が損害賠償責任を負うため、親は民法第714条1項の監督義務者としての損害賠償責任は負いません。
  もっとも、この場合であっても、判例上、親自身の監督義務違反と子どもが起こした事故等との間に因果関係が認められれば、親も損害賠償責任を負うこととされています。具体的には、無免許運転の子どもの場合には、子どもが無免許で運転していることを親が知りながら鍵の保管をきちんとしていなかった等といった事情があれば親自身も責任を負わされる可能性が高いものとなります。

4 最後に
  未成年者による他人への損害賠償は保険によって予防しておくことが一番ですが、万が一損害賠償を請求されてしまった場合には、そもそも責任が生じるのか、発生する場合には誰に責任が生じるのか等難しい問題がありますので専門家に相談して適切な対処を行うようにしてください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 城 昌志   (広島弁護士会所属)

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