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コラム

弁護士コラムvol.170 「未成年者の契約について」 稲垣 洋之

弁護士コラム/いろいろ

2018年2月23日 / 2018年9月18日更新

未成年者の契約について


山下江法律事務所 弁護士 稲垣洋之
 現在の民法では,未成年者が契約を締結するには,法定代理人の同意を得なければならず,法定代理人の同意を得ないで結んだ契約については,取り消すことができるとされています。
 これは,未成年者はまだ判断能力が不十分であり,知らず知らずのうちに不利な契約を結んでしまうという事態が予想されるため,それを防止して未成年者の保護を図るという考えに基づくものです。
 上記のような未成年者の契約に関する原則に対して,いくつか例外があります。
 まず,契約の内容が未成年者にとって単に権利を得たり,義務を免れるものである場合は,法定代理人の同意は必要ありません。この場合は契約締結により未成年者が不利な立場に陥る心配がないためです。
 次に,法定代理人が未成年者に対して,目的を定めて処分することを許していた財産については,その目的の範囲内であれば未成年者は自由に処分することができます。また,特に目的を定めないで処分を許した財産についても同様です。これらの場合は,すでに法定代理人が同意していると見ることができます。
 未成年者が「営業」(営利目的でなされる計画的,継続的な事業)を許可されている場合にも,その営業に関する契約については法定代理人の同意は必要ありません。営業を許可している以上,それに関連する取引,契約に関しても包括的に許可していると考えることができるためです。
 また,未成年者が婚姻した場合,成年に達したものとみなされるため(「成年擬制」といいます。),以後,法定代理人の同意は必要なくなります。いったん成年擬制があると,その後未成年者が離婚しても成年擬制の効果は維持され,契約にあたって法定代理人の同意は必要ないとされています。
 さらに,未成年者が自分が成年者であると相手に信じさせるため,身分証明書を偽造するなど「詐術」を用いた場合は,契約を取り消すことができないとされています。このような場合は,年齢を偽った未成年者よりも相手方を保護すべきという考えに基づくものです。

 子どもは,成長するにしたがって社会と接触する機会も増えていきます。周囲からの勧誘,誘惑により親の知らないところで子どもが契約を結び,必要以上に大きな買い物をしてしまうといったことも珍しくありません。
 そのような場合には被害の発生,拡大を防ぐため,速やかに専門家に相談されることをお勧めします。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 稲垣 洋之   (広島弁護士会所属)

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