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コラム

弁護士コラムvol.167 「暴力息子にも自分の財産を相続されてしまうの?」 廣田麻由美

弁護士コラム/相続・遺言

2018年1月12日 / 2018年12月11日更新

暴力息子にも自分の財産を相続されてしまうの?


山下江法律事務所 岩国支部長 弁護士 廣田麻由美
 子どもに暴力を振るわれる・暴言を言われる,子どもの借金を代わりに返している等,自分の子どもとはいえ,その行いに頭を抱えていらっしゃる方は少なくありません。
 ご存じのとおり,法律上は,子どもには親の財産を相続する権利があります。
 そして,それは,全く親の介護をしなくても,暴力,暴言等を向けていたとしても,原則,子どもである以上は有する権利です。
 では,そのような子どもに,自分の財産を相続させない方法はあるのでしょうか?

 一つは,相続欠格制度(民法891条)です。
 これは,親や子の意思表示を要さず,法律上当然に相続権が失われる,という制度です。
原則的にはどのような子どもでも持っている相続権が当然に失われる,というものですから,相続欠格となる場合の事由は,法律で限定的に列挙されています。
 たとえば,故意に被相続人を殺害した場合(同条1号)や被相続人の遺言書を偽造した場合(同条5号)などです。
 このように,相続欠格は,極めて限定された場合のみを想定していますので,この制度を利用できるケースは稀と思われます。

 もう一つ考えられるのは,相続人の廃除(同法892条・893条)という制度です。
 これは,被相続人の意思によって相続人の相続権を奪うものであり,「被相続人に対し虐待をし,若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき,又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき」に認められます。廃除が認められれば,相続資格だけでなく,遺留分という最低限保証されている権利も剥奪されます。
 ケースバイケースですが,原則的にどのような子どもでも持っている相続資格,遺留分を奪うことになるという例外的な制度ですので,廃除が認められるためには,そのような権利剥奪を正当化できる程度の事情が必要ということになります。
 過去には,暴力団員と婚姻した娘が婚姻に反対している父親の名前を披露宴の招待状に記載した事案や,多額の借金等の返済をさせた事案などで,相続人の廃除が認められています。

 今回は,特定の相続人に相続をさせたくない,というお悩みについてみていきました。
 このようなお悩み以外でも,自分の死後,自分の財産を巡って相続人間でトラブルが起きることを避けたいなど,ご自身の相続問題についてお悩みをお持ちの方は,是非,当事務所までご相談ください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 廣田 麻由美   (広島弁護士会所属)

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