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弁護士コラムvol.157「約款に関する規定の新設」 笠原 輔

2017年8月18日 公開 / 2020年8月6日更新

テーマ:弁護士コラム/いろいろ

コラムカテゴリ:法律関連

約款に関する規定の新設―電気、保険、インターネット、・・・約款は多様な取引で使われています―


山下江法律事務所 弁護士 笠原輔
 山下江法律事務所の弁護士の笠原です。平成29年5月26日、民法改正法案が成立し、平成32年6月2日までに施行されます。今回は、この改正で新設された約款に関する規定についての話です。

1 約款って何?
  約款とは、大量の同種の取引を迅速かつ効率的に行う等のために作成された定型的な内容の取引条項です。例えば、電気の供給約款、保険約款、インターネットサイトの利用規約等、多様な取引で広く使われています。

2 なぜ規定が新設されたの?
  民法の原則では、契約の当事者は、契約締結時に契約の内容を認識していなければ、契約に拘束されません。しかし、約款を用いた取引において、多くの顧客は約款の内容を認識していないのが通常です。そのため、どのような場合に約款の内容が契約内容となり、顧客が約款に拘束されるのか、これまでは不明確でした。そのため、約款に関する規定が新設されたのです。

3 定型約款って何?
  「約款」という用語は広く用いられているため、今回の改正で新設された規定の適用を受ける約款を「定型約款」と名付けました。
定型約款とは、
 ① ある特定の者が不特定多数の者を相手方とする取引で、
 ② 内容の全部または一部が画一的であることが当事者双方にとって合理的なものを「定型取引」と定義した上、この定型取引において、
③ 契約の内容とすることを目的として、その特定の者により準備された条項の総体
 のことをいいます。

4 契約内容となるには?
  次の場合は、定型約款の条項の内容を相手方が認識していなくても合意したものとみなし、契約内容となります。
   ① 定型約款を契約の内容とする旨の合意があった場合
   ② 取引に際して定型約款を契約の内容とする旨をあらかじめ相手方に表示していた 場合(ただし、「表示」が困難な取引類型の場合は、「公表」で足りる場合があります。)
  なお、定型取引の特質に照らして相手方の利益を一方的に害する契約条項であって信義則(民法1条2項)に反する内容の条項については、合意したとはみなされず、契約内容とはなりません。

 約款を用いた取引は民法の原則と異なる部分があり、様々な法的トラブルが発生するおそれがあります。契約を締結するにあたって不安がある場合や、契約締結後にトラブルが発生した場合等、困ったときは弁護士にご相談下さい。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 笠原 輔   (広島弁護士会所属)

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