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コラム
広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「家賃4か月分を滞納された。どうすればいい?」
2016年3月15日 公開 / 2021年3月3日更新
2016/3/14(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「家賃4か月分を滞納された。どうすればいい?」
家賃4か月分を滞納された。どうすればいい?
Q: 今月は、皆様からいただいた「身近に起こったトラブル」について、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
江さん、今日もよろしくお願いします。
A: はい、よろしくお願いします。
Q: 今日は、65歳の女性から、次のようなお手紙をいただきました。
早速ご紹介しましょう。
「私は所有している市内中心部のマンションを人に貸しています。
借主はとても良い方で、良好な関係を続けているのですが、実は最近、家賃の支払いが滞っているのです。
今月でもう4か月…、これまで何回か督促をしたのですが、その度に「すみません、早めに払います」と言われ、それ以上、何も言えず、もう少しもう少し…と待っていました。
これまで仲良くさせていただいていただけに、私も強く言うことができず、つい、先延ばしにしていたのがいけないのですが、これ以上滞納されると本当に困ります。
貸しているマンションの一室は、私が投資目的で購入したもので、私自身、まだ、ローンの支払いが残っているのです。
これまで家賃収入でローンの支払いをしてきただけに、その家賃が滞ると私までも支払いができないことになってしまいます。
今は貯蓄を崩しながら、ローンの支払いをしていますが、なるべく早いうちに家賃を回収しておかないと大変なことになると気が気ではありません。
できれば、賃貸借契約を解除して、出て行ってもらいたいのですが、まずはどうしたらいいのでしょうか?
教えていただけると幸いです。」
というご相談です。
最近は、投資目的に中心部のマンションを購入される方、増えているようですね。
この方も、そのおひとりですが、さぁ江さん、とりあえずはどうしたらいいでしょうか?
A: 借主と良好な関係だということが、ひとつネックになっているのでしょうね。
お手紙の中にもありましたが、なかなか強く言えない…というのが、問題ですね。
お気持ちはわかりますが、相談者のこの方も、ローンの支払いがあるわけですから、ここは大家として、毅然とした態度で、行動しなければなりませんね。
Q: そうですね。
早めに対処しておかなければ、相談者にとっても、死活問題になってきますからね。
お手紙の中には、賃貸借契約を解除して、出て行ってもらいたい。という文面がありましたが、賃貸借の場合、借り手側の方が強い!と聞いたことがあります。
出ていくように、申し入れできるものなのでしょうか?
A: よく言う「借り手側が強い」というのは、貸し手側の都合による解除の申し出があった場合です。
例えば、建物を建て替えるから出て行ってくれ、とか、違う人に貸したいから出てってくれなどという理由では、借主はそれに従う必要はないとされています。
しかし、借り手側に契約違反や信義則違反がある場合には、契約を解除することが可能です。
今回のご相談のように、家賃を滞納しているということは、契約違反ですから、それを理由に賃貸借契約を解除することはできます。
Q: なるほど、では今回のご相談は、あまり悩むことなく解決できそうですね。
A: ただですね、賃貸借契約のような継続的契約関係の場合は、判例上、信頼関係破綻の法理というものにより、解除権が制限されているんです。
Q: 解除権の制限?ですか…
A: つまり、継続的契約関係においては、両当事者の間の信頼関係を基礎として契約が成立している特質があること、特に、不動産賃貸借の場合は、当該不動産は借主にとって生活の基盤であり、些細な債務不履行により、解除を認めるのは適当ではない、ということから、債務不履行があっても、それにより契約当事者間の信頼関係が破綻しているといえないときには解除が認められないとされています。
Q: そんな決まりがあるのですね。
信頼関係が破綻していると判断されるのは、どのような場合なのでしょう?
A: これがですね…一律の基準がなく、個々のケースごとに、具体的な事情を総合的に考慮することになります。
例えば、家賃滞納の場合であれば、滞納期間、滞納金額の他、滞納の理由や、これまでの家賃の支払い状況など、諸々の事情を考慮して判断することになります。
Q: 家賃を滞納しているから、契約不履行…だから賃貸借契約は解除できる…という簡単なものではないのですね。
A: そういうことです。
では、家賃滞納の場合、貸主はどのように対処していくべきか、順を追ってお話ししましょう。
まず、家賃滞納が発生した場合、早いうちから支払いの督促をするべきです。
ついつい、まだ1ヶ月だから…と最初はさほど気にしていなかったという話はよく聞きます。
しかし、この1ヶ月が積もり積もって大きくなっていくのです。
ですから、1ヶ月単位できちんと督促をすることはとても重要なことなのです。
Q: 借主の立場からしても、そんなにしつこく督促されなければ、ちょっと甘えちゃおうかな…という気持ちになることもあるかもしれませんね。
A: そうなんです。
普段から、期日までにきちんと家賃を支払うように督促していれば、借主の認識も変わってきます。
期日までに払わなければ…と考えるようになって、その後、滞納する確率も減る可能性があります。
また、その後もし、長く滞納し、賃貸借契約を解除するための裁判を起こした場合でも、早い段階からきちんと督促をしていたという事実は、有利な基礎事情となります。
Q: …ということは、督促をする場合は、形に残る方法でしておいた方がいいということですか?
A: はい。
効力を持つ証拠として内容証明郵便で督促をしておくのがベストです。
1ヶ月程度の滞納で、様子を見ているという場合には、そこまでしないにしても、借主と連帯保証人に電話や手紙で家賃の支払いを請求し、その記録を残しておくべきです。
Q: きちんと督促をしていたという事実が必要なんですね。
手紙や電話での督促で支払ってもらえれば、それに越したことはありませんね。
しかし江さん、今回のご相談は、既に4ヶ月が過ぎています。
ここまで滞納されると、手紙や電話だけではどうにもなりそうにありませんね。
A: この場合はやはり、配達証明付き内容証明郵便で督促する必要があると思います。
その内容も、「ただちに支払うように、そして、もし支払わなかった場合には契約を解除する」とした旨の通知書を送付することです。
その際、貸主である相談者の名前で出すこともできますが、できれば代理人弁護士の名前で通知する方が良いと思います。
Q: 弁護士の名前で通知が来ると、裁判を起こされるのでは、という気持ちになり、貸し主がどのくらい本気で督促しているか…というのが伝わりますね。
A: その通りです。
これだけでも、相手に与える印象は、随分変わってきます。
Q: しかし、それでも支払いがなかった場合には、裁判ですか?
A: はい、借主とその連帯保証人に対して、賃貸借契約を解除し、未払い家賃の支払いと建物明渡を求める訴訟を提起することとなります。
この訴訟の過程において、借主や連帯保証人との間で、未払いの家賃支払いや建物明渡に関して和解が成立することも少なくありません。
Q: 裁判になると、督促があったのに家賃を支払っていない借主の方に非があるのは自分たちも分かっていますから、判決が出る前になんとかしておこうという気持ちになるのも分かりますね。
それでも支払いに応じない場合は…
A: 裁判での判決を仰ぐことになります。
万が一、借主が争ってくる場合には、上訴審での裁判が続くことになります。
Q: 判決が確定すると、どうなるのでしょう?
A: 判決を債務名義(強制執行をするために必要な書面のこと)として、建物明渡の強制執行手続きを取ります。
そして、未払い家賃やその後の不法占有に伴う賃料相当額の損害金について、借り主または連帯保証人の財産に対して差し押さえなどして回収を図ることになります。
Q: 家賃を滞納しているのだから、契約を解除されて当然。と思っていましたが、解除するのは簡単なことではないことがよくわかりました。
しかし、個々のケースによって、事情を考慮しながら進めていくということになると、素人では対応するにも限界がありそうですね。
やはりこのような場合には、法律のプロに相談することが得策のような気がします。
A: そうですね。
一度、事務所の方にご相談いただけたらと思いますね。
Q: 現在、山下江法律事務所では、様々な個人の相談については無料としています。
いろいろな問題でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。
それではここでフリーダイヤルをお伝えしておきます。
山下江法律事務所フリーダイヤルは0120-7834-09 0120-7834-09
この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
また、今日の番組の内容は、まちの専門家をさがせるウェブサイト「マイベストプロ」でもご覧いただけます。
今日は、「家賃を滞納されて困っている…」という女性の方からのご相談に答えていただきました。
江さん、今日はありがとうございました。
■次回のテーマ
「マンションの隣が騒がしくて困っている」について
2016/3/21 15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)
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