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弁護士コラムvol.96 「相続人がいない人の遺産はどうなるの?」 稲垣洋之

2015年4月3日 公開 / 2019年3月18日更新

テーマ:弁護士コラム/相続・遺言

山下江法律事務所 弁護士 稲垣洋之

相続人がいない人の遺産はどうなるの?

(ご相談)ご近所のAさんが亡くなりました。Aさんは高齢で身寄りもなかったため,何年も前から私が身のまわりの世話をしていました。Aさんには,300万円の預金があるそうですが,相続人はいません。Aさんからは生前「いつもお世話になっているから,私の財産はあなたにあげる」と言われていましたが,遺言はありません。私がAさんの遺産を受け取ることはできるでしょうか。

 本当にAさんの意思に沿っているなら,今回の相談者が遺産を受け取ってもよさそうですが,相談者はAさんの相続人ではないため,やはり当然に受け取ることはできず,一定の手続が必要です。
まず,故人に相続人がいないと思われる場合,利害関係人または検察官は,家庭裁判所に相続財産管理人の選任をしてもらうよう申立てをします。
家庭裁判所は,相続財産管理人を選任すると,それを官報に公告(掲載)し,公告から2か月以内に相続人が名乗り出ないと,相続財産管理人が遺産の清算に入ります。預貯金や不動産などの遺産を管理し,故人に借金などの債務があれば遺産から支払います。
その後,家庭裁判所は再度官報に公告し,相続人は一定期間(6か月以上)内に名乗り出るよう催促します(相続人捜索の公告)。その期間内に名乗り出る者がいないと,相続人がいないことが確定し,相続財産管理人による遺産の清算終了後に残った財産は,原則として国庫に帰属することになります。
ただし,故人と特別の縁故があった人(特別縁故者)は,相続人捜索の公告期間経過後3か月以内に,残った財産の全部または一部を分与してもらうよう家庭裁判所に申立てをすることができます。
これは,法律的には相続人ではないけれども事実上相続人と同じように考えてよい者については,故人の財産を受け継ぐことを認めるのが適当な場合もあるという考え方に基づく制度です。
この請求が認められるためには,請求者が「被相続人と生計を同じくしていた者,被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者」に該当し,財産の分与を認めることが「相当」であることが必要です。
今回のご相談のケースでは,相談者とAさんとのこれまでの関わり方の程度によっては,特別縁故者として財産の分与が認められるかもしれません。
もっとも,特別縁故者への財産分与が認められるかどうかは家庭裁判所の判断によるもので,必ずしも認められるとは限りません。
相続人ではない人に自分の財産を渡してあげたいと思う場合には,やはり遺言によりその意思を明示しておくに越したことはありません。
相続にまつわるトラブルやお悩み,遺言の作成等に関するご相談は,当事務所へお気軽にお問い合わせください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 稲垣 洋之 (広島弁護士会所属)

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