まちの専門家をさがせるWebガイド マイベストプロ広島
山下江

「相続」と「企業法務」を得意とする法律のプロ

山下江(やましたこう)

山下江法律事務所

コラム

弁護士コラムvol.78 「成年後見制度とは何ですか?」 新名内沙織

弁護士コラム/相続・遺言

2014年7月18日 / 2018年9月21日更新

山下江法律事務所 弁護士 新名内沙織

成年後見制度とは何ですか?

 後見制度とは,ある人の判断能力が不十分な場合に,本人を法律的に保護するため,申立を受けて家庭裁判所が本人に対する援助者を選び,その援助者が本人のために活動するという制度です。
 成年後見制度には,法定後見制度と任意後見制度の2種類があり,法定後見制度には,本人の判断能力の程度に応じて,成年後見,保佐,補助の3つの類型があります。以下では,この3つの類型の違いについてご説明いたします。(任意後見制度については,弁護士コラムvol.70をご参照下さい。)

①成年後見
 成年後見は,本人が一人で日常生活を送ることができないとか,一人で財産管理ができないというように判断能力が全くない場合に利用される制度です。
 その際,本人を援助するために裁判所で選任された人のことを後見人といいます。後見人には,本人に代わって財産的な行為をする広範な代理権が与えられ,判断能力のない本人自身では有効に行うことができない契約を,代わりに契約することになります。また後見開始後に,本人がしてしまった契約を取り消す権利が与えられます。
 後見人の職務が適正に行われているかについては,裁判所が監督することになっており,必要があれば後見監督人が選任されることになります。

②保佐
 保佐とは,本人一人で日常的な買い物など簡単な取引はできるが,金銭の貸し借りや,不動産の売却等の重要な行為はひとりではできない,というように判断能力が著しく不十分な場合に利用される制度です。
 保佐の制度で,本人を援助するために裁判所から選任される人のことを保佐人といいます。保佐人が選任されても,本人がした行為は原則として有効ですが,法律上定められた行為(例えば,不動産の売却,借金,遺産分割等:民法第13条1項)については,保佐人の同意を得た上で行わなければならなくなり,同意を得ずに本人がした行為については後から保佐人が取り消せるようになります。保佐人の同意を要する行為については,法律で決められたもの以外でも,裁判所の審判により同意事項を追加できます。
 その他,裁判所に認められ,本人の同意をえれば,特定の法律行為について代理権が保佐人に与えられ,本人の代わりに契約を結ぶことができるようになります。
 このように,後見の場合に比べると,保佐人の権限は限定的であり,本人の自己決定を尊重するような制度内容になっております。

③補助
 補助とは,保佐の必要性まではないが,本人が一人で重要な財産行為を適切に行うことができるか不安があり,本人の利益のために誰かに支援をして貰った方が良いと思われる場合など,判断能力が不十分な場合に利用される制度です。この場合に裁判所が選任する援補者を補助人といいます。
 補助の場合は,保佐の場合と異なり,あらかじめ法律で定められた補助人の同意事項がありません。必要に応じて,裁判所が,民法13条1項に列挙された事項の中から,補助人の同意を得なければならない行為をいくつか定めることになります。
 補助人が本人の代理をすることができる事項については,保佐の場合と同様,裁判所が定めることになります。
 以上のように,補助の制度の場合,保佐の制度に比べてさらに本人の権限が広く残され,本人の自己決定権が尊重されるようになっています。

 以上,3つの制度のどれが適用されるかは,本人の判断能力に応じて裁判所が決定することになり,本人の判断能力の程度に疑義がある場合は医師による鑑定が実施されます。
 例えば,後見開始で申立をしていても,鑑定が行われて保佐が相当という事になった場合,後見が開始されることはないので,保佐開始の申立に切り替える必要があります。
 以上,簡単ですが,後見制度の概略についてご説明いたしました。
 ご家族について,後見の利用を検討される場合,手続き等についてご不明な点等ございましたら,是非一度弁護士までご相談いただければと思います。
 

 執筆者:弁護士 新名内 沙織 (広島弁護士会所属) ※2017.3退所


■相続相談専門サイト 「成年後見制度とは」

■弁護士コラムバックナンバー【相続】
・vol.71 「これからの信託」 加藤泰 2014/4/4
・vol.70 「将来認知症等になった場合に備える任意後見契約」 笠原輔 2014/3/20 
・vol.66 「エンディングノート」 副所長 田中 伸  2014/1/24
・vol.59 「非嫡出子の相続分」 城 昌志 2013/9/27 
・vol.58 「嫡出でない子」 齋村美由紀 2013/9/13
・vol.52 「相続(その4)」 副所長 田中伸 2013.6.21
・vol.46 「相続でトラブルになりやすいケースについて」 蔦尾健太郎 2013.3.22
・vol.43 「ペットに財産を残せるか」 山本淳哲 2013.2.8 
・vol.41 「身近な人の判断能力に衰えを感じたら」 片島由賀 2013.1.11
・vol.38 「遺産分割の対象となる財産の範囲」 山口卓 2012.11.22
・vol.35 「相続(その3)」 副所長 田中伸 2012.10.12 
・vol.28 「遺産相続でもめた場合には」 城昌志 2012.7.6 
・vol.26 「遺言書の方式」 山本淳哲 2012.6.8 
・vol.19 「成年後見制度について」 山口卓 2012.3.2
・vol.16 「相続(その2)」 副所長 田中伸 2012.1.20
・vol.9 「遺産相続でもめないために」 齋村美由紀 2011.10.7
・vol.1 「相続」 副所長 田中伸 2011.6.17
 
弁護士コラム一覧

この記事を書いたプロ

山下江

山下江(やましたこう)

山下江プロのその他のコンテンツ

Share

山下江プロのその他のコンテンツ